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もうはなさない 53

2015/09/08 (火)  カテゴリー/もうはなさない

あの場所にどうしても居たくなかった。
2人の姿がお似合いで急に居た堪れない気持ちになり逃げ出してしまった。
見学者達の間を走りぬけ、気が付けば自分が何処にいるのか分からない。
キョーコは近くのベンチに座ると大きなため息をついた。

「はぁ・・・・絶対怒ってるだろうな・・・・・・。」

蓮がキョーコを自分の彼女だと紹介しようとしてくれた事は嬉しい。
だが、あの状況で紹介される事がどうしても嫌だった。
親しげに話をする蓮と逸美。
誰がどう見ても、逸美のほうが蓮に似合っている。
奏江が聞けばまた怒られそうだが、心のどこかでそんな不安をいつもキョーコは抱えていた。
携帯が鳴っているが、それは蓮から・・・・・きっと探してくれているのだろう。
あんな風に立ち去った手前、気まずくて顔も合わせづらい。

「でも・・・・モー子さん達と合流しないといけないし・・・・・・。」

そうなれば嫌でも、蓮と顔を合わせる事になるだろう。

「こんなに広くて人も沢山いるのに、どうして会っちゃうかな・・・・・・・。」

これほど、蓮に会うのが嫌だと思ったことはない。

「はぁ・・・・・こんな事なら来るんじゃなかった。」

蓮の言う事を素直に聞いていれば、こんなブルーな気持ちにならなかったのに・・・・。
でも、知ってしまった現実を忘れる事など出来るはずもない。
予想はしていたが、やはり学内で綺麗なお姉さん達と話している姿を改めて見るとショックだった。
選り取り見取りなのに、どうして蓮は自分と付き合っているのかと、また考えてしまう。
だが、いつまでも凹んでいる訳には行かない。
そもそも、オープンキャンパスに来たのだから。

「いつまでもここに居ても仕方なし・・・。」

自分の居場所を確かめる為、キョーコはベンチから立ち上がった。

「キョーコちゃん?キョーコちゃんじゃない!?」

その声の方を向くと、そこには男3人組みが嬉しそうにこちらへとやってくるところだった。



「キョーコちゃん、お茶でよかった?」
「すみません・・・おごってもらっちゃって・・・・。慎一さんも、雄生さんもお久しぶりです。」

光からペットボトルを受け取りながら、懐かしい顔に改めて挨拶を交わす。
キョーコを囲む、3人の懐かしい顔に自然と顔が綻ぶ。
3人はオープンキャンパスの手伝いに借り出されのだとキョーコに話してくれた。

「キョーコちゃんの事、よく話してたんだよ。教育実習で偶然出会えたから、これはもう運命の出会・・・ぐふっ・・・・・・。」

慎一の言葉を光は慌てて口を塞いで止める。
だが、今度は雄生がその続きを話し始めた。

「そうそう。バイトで連絡先きいとけばよかったとか、後悔しまくってさぁ。」
「2人とも、いい加減にしろよ!?キョーコちゃんが困ってるだろ!?」

だが、、肝心のキョーコはその真意が何処にあるのかわからず小首を傾げる。
今時の娘と少しずれている所がキョーコらしくて、そこが好きなのだが、小さなアピールでキョーコが光の気持ちに気づく事はなかった。

「それで、キョーコちゃんも大学の見学に?」
「まさか、光に会いに来たとか?」

冷やかす2人に、光は目くじらを立てる。
からかいすぎると、キョーコとの仲がうまくいかなくなっても困ると、2人は冷やかすのをやめた。

「実は・・・・友達と来たんですけど、はぐれちゃって・・・・・。」

さすがに先ほどの事は話せない。
光たちもこの大学の学生。
何処で噂が広まるか分かったものではない。

「携帯で連絡取ればいいんじゃないの?さっきから鳴ってるし。」

先ほど、マナーモードにしたもののバイブの音は鞄越しに響いている。

「そうなんですけど・・・・・・・・。」

奏江に連絡しようにも、立て続けに蓮からの電話が来る為奏江にメールも打てない。
だからと言って、携帯を無視しているのも不自然がられてしまう。
仕方なく、キョーコは携帯に手を伸ばした。
その瞬間、電話が切れた。

「キョーコ!?」

その声に振り向けば、今までで一番最高に恐ろしい・・・・否、まぶし笑顔で優雅な歩行で歩み寄る蓮の姿があった。

「キョーコちゃん・・・・敦賀君と知り合いなの?」

驚く光の声はキョーコの耳には届いていない。
今から蓮に、どんな恐ろしい嫌味な言葉で怒られるのかと思うと、このまま気を失いたい気分だった。

「随分探したよ・・・・・携帯にもでないし。」
「ご、ごめんなさい・・・。」

恐ろしくて、顔がまともに見れない。

「携帯にでれないほど何かあったんじゃないかと思って心配した。」
「本当に、ごめんなさい・・・・。」

一方的に怒られているキョーコを気の毒に思い、事情の知らない光たちはキョーコに助け舟を出す。

「何があったか知らないけど、キョーコちゃんも反省してるし、そんなに怒らなくても。」
「そうだよな。見知らぬ場所で不安そうにしてたんだし・・・・。」
「君達には関係ないだろ。」

蓮のいつにないキツイ口調にキョーコは顔を上げた。
光達がキョーコを擁護する発言が気に入らないのだろう。

「その言い方はないんじゃないの?俺達はキョーコちゃんの知り合いなんだし。」
「そうだよな。敦賀君がキョーコちゃんとどんな知り合いか知らないけど、俺達だって久しぶりに会って話してる途中で乱入された挙句、その言い草はないんじゃないの?」

一食触発・・・・・だが、そこに割って入ったのは光だった。

「まあまあ、落ち着いて。キョーコちゃんも驚いてるし・・・・。敦賀君が怒るのにも何か訳があるんだろうし・・・・・ね、キョーコちゃん。」

その訳を話せるはずもなく・・・・・。
どうすればいいのかキョーコにも分からない。
とにかく、蓮をどこかに連れて行かなくては・・・・・。

「光さんも、慎一さんも雄生さんも・・・すみませんでした。私、もう行きますね。」

そう言って蓮の方に歩み寄るが、話はまだ終わってないとばかりに誰も動こうとはしない。
それどころか、雄生が食って掛かった。

「敦賀君はキョーコちゃんのなんな訳?」

その言葉に、光も慎一も同じ事を思っていたのだろう。
いっせいに蓮を見る。

「俺は彼女の彼氏だ・・・。突然いなくなった彼女を探して、怒って何が悪い?」

迷う事のない蓮の言葉に、一番驚いたのは光だった。

「キョーコちゃんの・・・・・彼氏?」

光の声に慎一も雄生もお互いに顔を見合す。
真実を確か見るように、3人は一斉にキョーコを見た。

「キョーコちゃん・・・・本当なの?」

真実を確かめようと、慎一が問う。
その言葉に、キョーコはチラリと蓮を見た後、頷いた。

To be continued

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