スポンサーサイト

--/--/-- (--)  カテゴリー/スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

もうはなさない 49

2015/05/13 (水)  カテゴリー/もうはなさない

散々な修学旅行先から戻ったキョーコは、母が家にいたことに驚いた。
尚の両親には帰る日にちを伝えてあったが、まさか仕事が忙しいといつも家にいなった母が待っているとは思いもしなかった。
遭難した時、現地に行かなかったのは、現実を見るのが怖かったからだろうと、尚の母親がこっそり教えてくれた事を思い出す。
キョーコの顔を見た母の反応は期待していたよりも遥かに薄かったが、それでもキョーコは嬉しかった。
昔は構ってもらえず寂しかったが、大人になるに連れて、母の事を少しずつ理解してきたつもりだ。
女でひとつでキョーコを育てる事がどんなに大変か・・・。

◇◆◇◆

「ごめんね、キョーコちゃん。早く帰りたいところなのに・・・・。」

新学期、高3になったキョーコはクラス持ち上がりだった為、今年も奏江と同じクラスになり嬉しくて仕方ない。
そして教育実習でやって来た実習生は顔見知りだった。

「いえ、今日の日直私ですから気にしないでください。光先生。」

冗談めかしにそう言って、キョーコは笑う。

「先生だなんて何だか照れくさいよ。」

キョーコは先程の授業で先生が集めたノートを、石橋光と共に抱えながら廊下を歩く。
いつもは日直に頼んでいるのだが、折角だからと実習生に持ってくるように頼んでいたのだが、小柄な光が持って行くにはさすがに可哀想な量だった為、手伝うことを申し出たのだ。

「それにしても、光さんが実習で来るなんでビックリしました。」
「俺も、キョーコちゃんがこの学校だったなんて、すっかり忘れてたよ。」

去年の夏に短期のバイト先で知り合った光が、教育実習でキョーコの学校にやってきたのだ。
海の家でのバイトは始めてだったので先輩である光に色々教えてもらっていた事もあり仲が良かった。

「光さんは先生になるんですか?」
「なりたいんだけどね・・・・これがまた狭き門って話しだし。それで今、保険代わりに塾のバイトしてるんだ。そう言えば、キョーコちゃんは進学するの?それとも就職?」
「進学するつもりなんですけど・・・・そう言えば、光さんは何処の大学でしたっけ?」
「俺は明泉大だよ。」

明泉大と言えば、蓮と同じ大学。
世間はなんて狭いんだろ。
蓮が通う大学に興味はある。
でも、去年の学園祭に蓮に行きたいと頼んだが、大して何もないからと連れて行ってもらえなかった。

「キョーコちゃんも来ればいいんだよ。そうすれば・・・・・って、キョーコちゃんが入学してきたら俺は卒業してるんだっけ・・・・・。」

そんな光の言葉に、キョーコは笑いながらも、内心同じような事を考えていた。
もう1年早ければ、蓮と楽しいキャンパスライフを送っていたのだろうか?

「俺、留年しようかな・・・・・。」
「光さん・・・・単位足りないんですか?」

光の告白まがいの言葉も、鈍いキョーコには伝わらない。

「・・・・・そんな事はないけど・・・・。」

そう言って、光は誤魔化すように笑った。

続きを読む

スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。