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もうはなさない 48

2015/03/27 (金)  カテゴリー/もうはなさない

緊迫した空気が流れる中、キョーコは今から何が起こるのかとハラハラしていた。

「あんたさぁ・・・・キョーコに遭難中のこと聞いたか?」

挑発するような話し方に、キョーコの顔が曇る。
やはり尚は何処までいっても尚なのだと・・・・・。
蓮の事が気に入らないのは分かるが、幼馴染とし大人しく見守っていてくれと言ったばかりなのに・・・・。

「聞いたよ。キョーコに無理やりキスした挙句に凍死させようとしたんだってね。」

蓮の言葉に尚は唖然とする。

―――――キ、キョーコだと?こいつ何呼び捨てにしてんだよ!!

蓮がキョーコの事を今まで最上さんと呼んでいたのに、急に名前で呼んだことに尚は動揺する。
自分が熱で魘されていた間に、一体何があったのか気になってしょうがない。

「俺が彼女の名前をそう呼ぶ事に何か問題でも?」

そんな尚の動揺を感じ取ったのか、蓮は涼しい顔でそう返す。
そう言われてしまえば、その通りだけに尚は言い返す事が出来ない。

「それよりも、いつまで彼女の肩に腕を回しているつもりだ?いくら病人でも、そろそろ俺にも限度がある。」

刺々しい口調に変わったかと思うと、蓮はキョーコの肩から尚の腕を引き剥がした。
そして、キョーコは聞こえない所まで引きずっていき、部屋の隅で尚の耳元で囁く。

「告白してふられたんだろ?俺を挑発しても無駄だ。キョーコはちゃんと俺に何もかも話してくれたよ。それに、俺は彼女を許した。きさまのした事は許せないが、ふられたみたいだから今回は大目に見てやる。今度お前が彼女に触れたら、俺が雪山におまえを埋める。」

冗談とは思えない事を真顔で話し、蓮は尚を解放した。
その態度は、本当にキョーコの事を思っているのだと実感するには十分だった。

「そんなに熱くなるなよ・・・・。キョーコがあんたに合わせる顔が無いって言うから、ちょっと試しただけだよ。」

その言葉は半分は本当だが、もう半分はもしかしたらと言う淡い期待がなかったかと言えば嘘になる。
遭難した雪山で、自分の彼女が他の男と一晩を過ごした事を、尚なら絶対に疑う。
正直に話したところで、真意は当事者達しか知らないのだから。
だが、蓮はキョーコの話を信じ、そして許した。
揺るがない蓮の気持ちに、付け入る隙も無い。

「良かったな、キョーコ。寛大な彼氏でよ。」

冗談めかしにそう言って、尚はひらひらと手を振り病室から出た。
残されたキョーコは蓮の様子を伺う。

「つ、敦賀さん・・・・・・。」

その言葉に、蓮はうそ臭い笑顔で振り返った。

「キョーコ、俺と約束したよね。これからは名前で呼ぼうって。」
「うっ・・・・・・・・・・・・。」

確かに、遭難の事を話し謝ったキョーコを蓮が許す代わりに、お互い名前で呼び合おうと言われた。
だが、いくら彼氏とはいえ年上の名前を呼び捨てになど、キョーコには考えられない。

「そんなに俺の名前は呼びたくないんだ・・・・・不破の名前は呼ぶくせに。」

少し不貞腐れたように、蓮は横を向く。
完全に拗ねモードに入っているらしい。
だからと言って、急に呼び名を変えるのも恥ずかしい。

「でも、昨日敦賀さんゆっくりでいいからって・・・・・・・。」
「だから、敦賀さんじゃないだろ?蓮って呼んで。」
「・・・・・・れ、蓮・・・・・・さん・・・。」

真っ赤になりながらキョーコは何とか彼氏の名前を呼ぶ。
そのあまりの可愛さに、蓮はキョーコを抱き寄せた。

「今日はそのくらいで許してあげるよ。でも、そのうち慣れてね。」

キョーコのおでこに軽くキスを落とし、蓮は微笑んだ。

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もうはなさない 47

2015/03/06 (金)  カテゴリー/もうはなさない

キョーコを落ち着かせる様に、蓮は再び椅子に座るとキョーコの手を握り締めた。

「落ち着いて。俺は何処にも行かないから。」

蓮の優しい言葉に、急に恥ずかしさが込み上げてくる。

「すみません・・・・・私ったら・・・・・・。」

自分の中で、ひとり考えひとりパニックになって、本当に心配ばかりかけている。
今から話すことはきっと蓮の表情を曇らせるだろう。
それがわかっていても、やはりちゃんと話さなければとキョーコは自分を落ち着かせるようにひとつ深呼吸した。

「私・・・敦賀さんに話さなければならない事があるんです。」
「何?」

脳裏の過ぎる嫌な想像に、動揺しそうになるのを何とか沈めて、蓮は平静を装いそう。

「実は・・・・・・」

キョーコは遭難した時の事を蓮に話し始めた。
山小屋で、尚と何を話し何をしていたのか。
蓮は、キョーコの手を握ったまま、ただ黙って話を聞いていた。

「それで・・・・告白されて・・・・・・・キスされました。」

その言葉に、繋いだ手から動揺が伝わってくる。
それがどちらの物なのかは、分からない。
蓮はその言葉に、密かに納得していた。
尚が運ばれて来た時、凍傷とは違う怪我を尚の唇に見た。
それは、キョーコがキスに抵抗して、噛み付いた後だったのだろう。

「で・・・・。」

少し震える声で、蓮が話しの先を促す。
キョーコは自分がその時思ったこと、そしてその場を逃げ出した事、そして寄り添うようにして眠った事を赤裸々に話した。
蓮には、包み隠さずちゃんと話しておきたかった。
この話を尚の口から蓮の耳に入るくらいなら、嫌われてもいい・・・・・自分の口から伝えたかった。
もし、最悪な結果になったとしても、後悔しないように。

「信じてもらえないかもしれないけど・・・・・・ショーちゃんとはちゃんと話をして・・・・・元の幼馴染に戻ったんです・・・・・・。」

言いながら涙が溢れる。
泣くなんてずるいと思いながらも、涙が止まらない。

「ごめんなさい・・・・・・・私・・・・・・私・・・・・・・。」

キョーコの気持ちは痛いほど伝わってくる。
蓮を裏切ったと言う思いが今、渦巻いているのだろう。

「最上さん、泣かなくていいから・・・・・。俺は最上さんの事を信じるから・・・だから泣かないで・・・・・。」

そっと手を伸ばし、キョーコの頬を伝わる涙を拭う。
泣きながら、それでも真実を話すキョーコを責める事などできるはずが無い。
その涙は蓮を想って流す涙なのだから・・・・・・。

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