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もうはなさない 44

2014/12/26 (金)  カテゴリー/もうはなさない

何処に向かえばいいのか見当がつかない。
尚はキョーコが気を失っている間に、持っていた地図を広げて居場所を確認していた。
何せ、新しい地図にこのコースの事は載ってはいない。
こんな長距離のコースなら、絶対に監視員の小屋があるはずだと信じて尚はひたすら歩いていた。

「ショーちゃん、あれ!!」

キョーコの指す方向に、何か大きな影が見えるような気がする。
近づくと、そこは古びた小屋だった。
手入れされた形跡はなく、でも吹雪を防ぐ事くらいは出きるかも知れない。
尚は持っていたストックで窓ガラスを最小限に壊すと鍵を開け、中に入りキョーコが待つ入り口の扉を開けた。
中は、思ったよりもそんなに荒れてはいなかった。

「建物の中でもやっぱ寒いな。」

雪のお陰で、真っ暗ではいない室内で2人は燃やせそうなものと火を探す。

「ショーちゃん、この雑誌燃やそ。」

キョーコは机の上にあった古い雑誌や新聞を暖炉に投げ込む。
尚は置いてあった机の引き出しや棚の中を火をつける何かを探した。

「ラッキー。ライターがあった。」

小屋の中には灰皿があり、タバコの吸殻もそのまま残っていた事を推測した尚は、何処かに持ち帰り忘れたライターやマッチがあるのではないかと推測していた。

「それ点くの?」

古そうなライターは油の中身の見えるタイプのいわゆる100円ライターだったが、見るからに油は入っていなかった。

「やってみないとわからないけど・・・これに賭けるしかねぇだろ。」

尚はライターを数回振ると雑誌に向かって火を点けてみる。
カシュ、カシュ・・・・・何度も火をつけてみるが火のつく気配はまるでない。
キョーコもライターに火がつくのを祈る。

「くそっ!!1回でいいんだ、1回つけばそれで・・・・・・・・。」

ライターを振り、もう一度ライターを雑誌に近づける。
シュボッ・・・・・。

「「ついた!!」」

2人で歓喜の声を上げ喜んでいると火が消えかけた。
慌てて雑誌に点火する。
漸く燃え出した暖炉の火に、まずは一安心する。
不思議とパニックにはならなかった。
それは、一緒に遭難したのが幼馴染だったからだろか・・・・・。

「ショーちゃん、ごめん・・・・・・私のせいで・・・・・。」

謝るキョーコの側に座ると、尚はキョーコを抱き寄せた。
その瞬間、キョーコは反射的に尚を突き飛ばした。

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もうはなさない 43

2014/12/04 (木)  カテゴリー/もうはなさない

気がつくと、誰かの背中にキョーコはおぶられていた。
吹雪で視界が悪い中、キョーコを落とさないようにしっかりと背負い歩いている。
その背中が誰のものなのか、キョーコは知っている。
幼い頃、キョーコが怪我をした時に家まで背負って帰ってくれた小さな背中は、今では大きくてたくましい。

「ショーちゃん・・・・・・。」

吹雪に中、呟くように呼んだ声にその足は立ち止まると首だけをこちらに向けた。

「キョーコ、気がついたか・・・・・・・。」

少しホッとしたような口調に、今までの事を思い出す。

「私・・・気を失ってたの?」
「ああ、痛いところとかないか?」

気遣う尚の言葉にキョーコは自分の体を確認するように少し腕を挙げてみたりする。

「大丈夫みたい。自分で歩くから下して。」
「本当に大丈夫なのか?」
「うん。それに尚ちゃんも疲れてるでしょ?」

こんな吹雪の中、キョーコを背負い歩いていた事を思えば大変だっただろう。

「わかった。」

尚はゆっくりとキョーコを下した。
雪の中に下ろしてもらい、キョーコは尚の手を握った。
こうしなければ、はぐれてしまいそうなくらい視界は悪い。
尚は少し戸惑っていたが、振り払う事無くキョーコの手を握り返した。
そもそも、2人が遭難したのには訳があった。

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