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もうはなさない 41

2014/10/25 (土)  カテゴリー/もうはなさない

スキー最終日、集大成ともいえる最終滑走をしていたのだが、天候が荒れて来た為に中級者コースを滑っていた奏江はインストラクターに誘導され、何とかホテルまで戻って来ていた。
天候が回復しそうにない為、とりあえず大広間に集められる。
みんな明日の観光の話しで盛り上がっている中、奏江はキョーコを探していた。
だが、戻って来た上級者コースのメンバーの中にキョーコの姿が見当たらない。
奏江は同じ上級者コースに行っていたクラスメートに、キョーコの所在を聞こうと声をかけた。

「それが、最上さん先に滑ってたはずなのに集合場所には姿がなかったのよ。だからてっきり先にホテルに戻ってると思ったんだけど・・・。」

外は先程よりも激しく吹雪き始め、日もとっぷりと暮れている。
先生達は、何か忙しそうに動き回っている。
奏江は何かあったのだと直感した。
別室に向かう先生の後を追い、そっと部屋の様子を伺う。

「行方不明になっているのは、2組の最上と1組の不破です。」
「2人は上級者コースで滑っていて、吹雪で迷ったのかもしれない・・・・。」

――――― 何ですって!!不破も行方不明なの!?

奏江の脳裏に嫌な予感がよぎる。
まさか2人一緒に遭難したのだろうか・・・・・・。
嫌な予感にさいなまれていると、部屋の隅で震えながら泣いている 三森を見つけた。
友達に慰めら、号泣しながらごめんなさいを繰り返している。
その言葉が気になり、奏江は三森に近づいた。

「七倉さん、どうかしたの?」

心配そうに、三森の友達の一人に話しかける。

「それが・・・・三森、中級コースを滑っていたんだけど・・・・・自分のせいで2人が遭難したって泣いてるのよのよ。」

友達の話しによれば、行方不明になった2人と途中で出くわし会話したあと遭難したので、最後に話をした自分のせいだと動揺しているのだろうと思っている。
だが、それにしては尋常ではない取り乱し様・・・・・。
それに、運動神経抜群のキョーコがちゃんとインストラクターの指示に従い滑っていて遭難するなど考えにくい。
何か事情を知っていそうな三森に、奏江は声を掛けた。

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もうはなさない 40

2014/10/11 (土)  カテゴリー/もうはなさない

窓の外を流れる白銀の世界景色を見ながら、キョーコは何度目かの溜め息をついた。

「あんたね・・・・・さっきからため息がうるさいんだけど?何不貞腐れてるのよ?」

隣に座る奏江は、演劇部の台本を読んでいる手を休めてキョーコを見る。

「べ、別に不貞腐れてなんか・・・。」

ネックレスを触りながらキョーコは唇を尖らせる。
4泊5日の修学旅行。
付き合って初めての蓮の誕生日は修学旅行3日目とかぶりお祝いする事ができない。

「それ、敦賀さんに貰ったやつでしょ?雪の中でなくさないようにしなさいよ。」
「分かってる。滑る時にはちゃんとはずすから。」

誕生日に蓮に貰ったネックレス。
キョーコが見ていた雑誌に載っていて、密かに欲しいと思っていたことを蓮は気づいていたらしい。
誰かと過ごす誕生日は随分久しぶりで、楽しかった事を思い出す。

「あんた、顔がニヤケてるわよ。どうせ思い出してたんでしょ?こないだの誕生日デートの事。いいわよねぇ、フレンチ食べてプレゼント貰ってドライブして・・・・。」
「ちょっと、モー子さん。こんな所でその話しないで!!」

騒がしいバスの中、誰もキョーコ達の話など聞いてはいない。
それでも、奏江に話した誕生日の出来事を口に出されると恥ずかしくなる。

「だって、いいじゃない。私なんて悲しいクリスマスだったわよ。弟妹甥姪共のクリスマスパーティーの準備手伝わされた挙句、面倒まで見させられて。」

奏江の家は大家族な為、それがいやで自分でバイトしながら今はひとり暮らしをしている。
騒がしいし、煩わしいから嫌と言いながらも、イベントがある時には必ず実家に帰り子供達の面倒を見ている。
口では嫌だといいながらも、本当は家族の事をちゃんと大切にしているのだ。
キョーコにしてみれば、家族で過ごすクリスマスだって十分大切だと思う。

「それはそれでいいじゃない。私なんて小さい頃から自分の家でクリスマスなんてした事なかったもの。いつもクリスマスはショーちゃんの家で一緒にやってたんだから・・・・。」

思い出すクリスマスの思い出は、いつも誕生日プレゼントではなくクリスマスプレゼントだった。
だから、蓮と過ごす誕生日は特別でとても楽しかった。
それを思い出すとやはり顔が緩んでしまう。

「何思い出してるのよ、キョーコのえっち。」

単純なキョーコの思考は奏江には手に取るように分かる。
その言葉に、キョーコの顔は紅くなる。

「え、えっちって・・・へんな妄想しないでよ!!」

ぽこぽこと奏江を両手で叩きながら怒るキョーコに奏江は謝りながら、それでも彼氏の誕生日に一緒に居れない事を、きっとキョーコは申し訳なく思っているだろうと思う。
そんなキョーコを可哀想に思い、奏江は話題を変えた。

「誕生日で思い出したけど・・・・・あれどうしたの?」
「ああ・・・・・ショーちゃん?結局返せなかったというか受け取ってもらえなかったというか・・・。」

思い出して、深々とため息を付く。
キョーコの誕生日、慌しくデートの準備をしていたキョーコの部屋の窓をノックする音。
どうせ尚だろうと無視をしていると今度は携帯がなり始めた。
仕方なくカーテンを開けると、やはり携帯片手に尚が立っていた。

「何か用?私これから出かけるんだけど?」
「俺だってこれから仲間とクリスマスパーティーに行くんだよ。」

窓越しの会話。
中々キョーコが部屋に入れてくれれない為、寒そうにしながらドアを開けるようにジェスチャーする。
だが、尚を部屋に入れてるとろくな事が無い。

「中に入らないから、ちょっとここ開けろって!!」

信用のない尚の言葉ではあったが、キョーコも余り時間が無い。
早く用意をする為にも、仕方なくキョーコは窓を開けた。

「何よ?」
「これ、やるよ。」

尚はリボンのかかった小さな包みをキョーコに向かって差し出した。
だが、キョーコは怪訝な顔をする。

「何、これ?」

警戒しまくりのキョーコは素直には受け取らない。

「何って・・・・誕生日のプレゼントだよ。」
「ショーちゃんが・・・・私にプレゼント!?なに企んでるの?」

今まで、キョーコが尚にあげたことはあったが、尚がキョーコに何かくれた事などなかった。
何か企んでいるとしか思えない。

「おまえなぁ・・・・・俺をなんだと思ってるんだ?」
「何って・・・・わがままで自意識過剰で、世の中のすべての女子がショーちゃんの事が好きだと思ってる私の幼馴染。」

的確な答えに、尚は言葉に詰まる。
さすが、長い間幼馴染をやっているだけある。
そして、長い間近くにいすぎたからそれが当たり前だと思い、安心していた。
キョーコが自分から離れていく事はないと。
だが、そんな油断からキョーコは見知らぬ年上の男に取られてしまったのだ。
そして、そのとき初めて尚はキョーコの事を、唯の幼馴染ではない事に気づいてしまった。

「そこまで言うか?」
「だって本当の事でしょ?とにかく、それは受け取れないから。」
「何でだよ?折角お前に買ってやったんだ。有難く受け取れよ。」

そう言って、キョーコの手に無理やり持たせると止めるまもなく、出かけていってしまった。

「敦賀さんには話したの?」
「うん。話したら、貰っておけばって言われた・・・・。」

それはそれはにこやかな笑みを浮かべて言われたが、その瞳の奥は笑ってはいなかった。
蓮にしてみれば、尚と接して欲しくないからそう言ったのだが、肝心のキョーコには伝わっていなかった。
あれは絶対に怒っている・・・・・そう感じ取ったキョーコは、何度か返そうとしたが受け取ってはもらえなかった。

「中は見たの?」
「ううん。返す物なんだから見てない。そもそも、ショーちゃんが私に物をくれる事事態気味悪い。今まで私に何かくれた事なんてなかったのよ?キョーコのものは俺の物なんていってたんだから。それがいきなり・・・・私に彼氏が出来たとたんにそんなのくれるなんて・・・・・・絶対、また何か企んでるのよ。」

まさか自分に想い寄せているとは、微塵も思っていないキョーコは、奏江の目の前で憤慨している。
そんなキョーコをなだめながら、奏江はこの修学旅行が無事に終わる事を祈っていた。
そんな奏江の願いは3日目にして、無残にも砕け散った。

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