スポンサーサイト

--/--/-- (--)  カテゴリー/スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

もうはなさない 27

2013/07/26 (金)  カテゴリー/もうはなさない

ようやく交代の時間になった尚はいそいそとキョーコを探しに廊下を歩く。
もちろん、お化けの格好で手にはお化け屋敷のプラカードを持って・・・・・・。
そうしなければ、自分の事をあっという間に女子達が取り囲んでしまう。
こんなとき、自分の美貌と人気が憎い。
しかも、吸血鬼や狼男などになると似合ってしまう為、あえて顔を隠す為にフランケンの被り物をつけていた。

「っとに・・・・あいつら何処行ったんだ?」

先ほどのお化け屋敷で蓮にしてやられた尚は、悔しさをかみ締めながら、次の作戦を考えつつ、時折すれ違う顔見知りにキョーコ達の事聞きながら、足取りを辿って行く。
見かけた場所を訪れてもすでに去った後で、尚はクラスのブースを回る羽目になっていた。

「どれだけ満喫してるんだよ!?」

愚痴りながら通りかかったとあるブースの文字に何か閃いき、尚はにやりと笑うとそのブースへと入っていった。
お化け屋敷からようやく解放された後、キョーコは蓮とあちこちのブースを見て回っていた。
映研のブースで短編映画を視聴し、次に射的やバザーなど色々見て回っていたのだが、やはり蓮の様子がいつもと違う気がしたキョーコはふと足を止めた。

「最上さん?」

急に繋いでいた手が離れた為、蓮は振り返る。

「敦賀さん・・・・・やっぱり怒ってます?」

不安そうなキョーコを見て、蓮はばつの悪い顔をした。
先ほどのキョーコと尚のやりとりに、周りはいつもの事だとはやし立てていた事が気に入らなくて、つい態度にでてしまっていたのだろう。

「怒ってないよ。」
「本当に?本当に怒ってませんか?」

探るように、心配そうに蓮の顔を見るキョーコを見て、蓮はやっぱり可愛いな・・・・などと思いつつ、キョーコの不安を取り除くように、笑顔を返す。
それは、キョーコだけに見せてくれる蕩けるような笑顔。

「お、怒ってないんなら・・・・・いいんです。」

その笑顔にキョーコは恥ずかしくて視線をそらす。
本当に尚はろくなことをしない・・・・・。
やっと、蓮が普通に戻りホッとしていた時だった。

『お呼び出しいたします。2年B組の最上さん、琴南さん至急第2ステージ裏まで来てください。繰り返します・・・・・。』

急な呼び出しに、何事かとキョーコ達は小さなイベントが行われる第2ステージへとやって来た。

「キョーコ!?」
「モー子さん!?何かあったの?」

呼び出しの場所で再び再開した2人は顔を合わせて小首を傾げる。
出迎えたのは、今から始まるイベントの実行委員達だった。

「琴南さん、待ってたのよ。はい、あなたもこれ付けて。」

実行委員は、奏江と蓮に10番と書かれた名札を渡すと有無を言わせず無理やりステージに上がらせた。
あっという間の出来事にキョーコと社も何が起こったのかわからない。
舞台に立つカップルは皆、ラブラブイチャイチャ・・・・・・。
ステージの看板には“第10回 LME付属高校ベストカップル大会”と掲げられていた。

「琴南さん・・・・・どうする?」
「どうするって言われても・・・・・今更違いますっていえる雰囲気じゃないですよね・・・・。」

蓮と奏江は辞退しようと考えたが、とても言えるような雰囲気ではない。
その舞台には、2人をこのステージに立たせた犯人も予想外に立たされていた。

――――― くそっ・・・・・俺の完璧な計画が・・・・・・。

奏江と蓮をカップルとしてステージに立たせている間に、キョーコとゆっくり話をしようと思っていたのに、その目論見は三森によって阻まれた。
投票用紙に蓮と奏江の名前を書き、そっと投票して2人を舞台に立たせるところまでは良かった。
その後、なんだかんだと理由をつけて、一緒に来ていた眼鏡の男と引き離せば完璧だった。
なのに、舞台裏で三森に捕まり、あっという間にカップルとして舞台に上がらされてしまったのだ。
客席からは、三森に向かってブーイングが起こる。

『それでは、LME付属高校ベストカップル大会を開催いたします。なお、この審査は一般投票と2人の愛の深さを測らせていただく為、色々な事にチャレンジして頂き、よりお互いの事を知っているカップルが優勝となります。』

その放送にキョーコは我に返った。
舞台の上では、早速お互いの事をどのくらい知っているかのクイズが出題されている。
2人共、キョーコの事を心配して舞台の上から探すが見当たらない。

「とにかく、俺達がベストカップルになることはまずないとして・・・・・・これを仕組んだのは・・・・。」
「・・・・・きっとあのバカですよ。まったく・・・・ろくな事考えないんだから・・・・・。」

憤慨する奏江は、同じステージに立つ尚を睨みながら、出されたクイズに仕方なく答える。
だが、そのクイズにお互い意外なくらい正解してしまった。
それはキョーコが、2人にお互いの話をよくしていたから・・・・・・。
蓮には奏江の話を、奏江には蓮の話をしていた為、初対面にもかかわらず答える事ができてしまい、そんな自分達が嘆かわしい。
社はキョーコと舞台を交互に見ながらハラハラしていた。

『10番のカップルは、今のところ全問正解ですね。彼氏は在校生じゃないから、がんばって後夜祭の出場権利をゲットしてくださいね。』

その言葉に蓮は、奏江に尋ねる。

「琴南さん、これに優勝したら後夜祭出られるの?」
「えっ、ああそうですね。確か一般客もこれに優勝したら、特別に後夜祭に参加できるってリーフレットには書いてましたね。それが何か?」

別に大した優勝商品でもない。
参加しているカップルを見れば、在校生よりも一般客と参加している方が多い。
みんなお目当ては後夜祭の参加権利なのだろう。
一般客は締め出されるから・・・・・・・・。

「琴南さん・・・・・優勝したいんだけど協力してくれるかな?」
「えぇ!?優勝って・・・・・敦賀さん、私があなたの事をすべて知ってる訳ないじゃないですか!?私はあなたの彼女でもないのに・・・・・。」

キョーコの心情を考えればそんな事は出来ないし無理。
只でさえ、先ほど蓮と奏江がお似合いだなどと弱気な事を言っていたのに、ここで優勝なんてしてしまったらキョーコに合わせる顔がない。

「どんなに仲のいいカップルだって、すべてを知っている訳じゃないよ。頼むよ、俺は後夜祭に参加したいんだ。」
「後夜祭にですか?」

それがなにを指しているのか、すぐに予想できる。
・・・・・でも、やはり優勝できるとは思えない。

「・・・・・がんばってはみますけど・・・・・期待しないでくださいね。」
「ああ、助かるよ。わからない時は、最上さんの事を書こうか。それならお互いわかるだろ。」

その提案に奏江は笑みを浮かべる。
確かにお互いキョーコの事に関しては、負けない自信がある。

「わかりました。それと・・・・・ちゃんとキョーコに誤解されないように話してくださいよ。只でさえあの子、妄想癖があるから・・・変な誤解して良からぬ事考えてると思うんで・・・・。」

今頃、ステージを見ながら一人で勝手な誤解をして、落ち込んでいるに違いない。
その予想通り、社と共に舞台裏からステージの様子を見守るキョーコはどんどん自分の思考の中にはまっていた。

続きを読む

スポンサーサイト

もうはなさない 26

2013/07/17 (水)  カテゴリー/もうはなさない

真っ暗な迷路を小さな懐中電灯を頼りに歩いていく。
時折聞こえてくる叫び声に、キョーコのものではないかと耳を済ませる。
きっと彼女も心細くこの迷路の中を歩いているのだろう。
そう思うと、迷路を歩く速度も知らず速くなる。
何度目かの行き止まりに突き当たり蓮はその場に止まると何やら考え込む。

「確かさっきは通路だったような・・・・。」

自分の勘違いかと思いながら、脅かしてくるお化けたちを無視してキョーコを探しながら暗闇を彷徨う。

「やっぱり・・・移動してるのか?」

先ほど通った時、井戸の向こうは通路だった。
今は壁になっていて通る事ができない。

「そう言う事か・・・・・・・。」

このお化け屋敷のからくりを見破った蓮はどうしたものかと考える。
どこかに隠しカメラでもつけたあるのだろう。
そして、最初に渡された蛍光カラーの腕輪。
先ほどからすれ違う女子だけのグループや男性達のグループはつけていない。
単独で探索する男子と女子にはつけられていた。
そう考えれば簡単な推理だ。

「俺と彼女が出会えないように仕組まれてるのか・・・。」

高校生とはいえ浅知恵が働くと感心しつつも、どこかでこの様子を見ているであろう尚の考えそうな事に思い当たる。

「狙いは彼女か・・・。」

何かしら仕掛けてくるだろうとは思っていたが、こう来るとは・・・。
モニターされているなら、出会えないことは確実だろう。
そんな事を考えながら歩いていると、キョーコの怒りの声がかすかに聞こえた。

「敵は彼女を手中に収めたか・・・?」

ここまで、蓮に喧嘩を売ってくる相手の期待に応えるべく蓮はこれからどうするか考える。
とりあえず、此処を出なければどうする事も出来ないと考えた蓮はキョーコと会う事を諦めると、出口を探して歩き始めた。

「きゃぁぁぁぁ!?」

突然、女性の叫び声と共に誰かが蓮の体に後ろから抱き付いてきた。

続きを読む

もうはなさない 25

2013/07/09 (火)  カテゴリー/もうはなさない

笑顔でキョーコ達を呼び込む尚に、キョーコはあからさまに嫌な顔をした。
尚に関わるとろくな事はない。
特に、蓮と一緒に居る時は何を仕掛けてくるか判ったものじゃないと、キョーコは警戒する。
先ほど喫茶店に来た時とは違い、ヴァンパイアの格好はなかなか似合ってはいるものの、褒める気にもなれない。

「嫌よ。チケットが勿体無い。」
「おごってやるから入っていけよ。それとも何か?おまえお化けが怖いんだろう?」
「そんな訳ないでしょ!?」

さすが幼馴染だけあって、キョーコの事なら大抵の事はわかる。
売られた喧嘩は絶対に買うのがキョーコなのだ。
そんな単純な手に引っかかって、キョーコは尚と言い合いを続ける。
その横で、取り残されたような複雑な気分で、蓮は2人のやり取りを見ていた。
自分と居る時とは違う空気で話す2人。
そこに蓮の入る隙間はないように思えてくる・・・そう思うだけで、胸の奥がモヤモヤする。
尚のイタズラで蓮がキョーコに会いに行ったあの日も、2人はこうして目の前で2人だけの空気を作っていた。
まるで、それが自然であるかのように・・・。
そう思った瞬間、胸の奥に痛みが走った。

「ほら、こんな所で言い合ってたら他のお客さんに迷惑だよ。」

にこやかに、蓮は2人の会話に滑り込む。
蓮の言葉にキョーコは慌てて謝った。

――――― なんだよ・・・折角こっちのペースに持ち込んだって言うのに・・・・。

そのやり取りに尚は舌打ちをする。

「で、入っていくのかいかねぇのか。」

今度はキョーコにではなく、蓮に向かって聞く。

「折角だから入っていこうか。」

明らかに蓮に向けられた挑戦的な瞳。
尚が相手では、一歩たりとも引く事は出来ない。
その声に、尚は心の中でガッツポーズをする。

――――― よっしゃ!?これでキョーコと話が出来るぜ。うまく行けば・・・一石二鳥とはこの事だな。

尚は自分のたてた作戦に自信があるのかほくそ笑んだ。

「それじゃ、男はこっちから女はこっちから。」
「どうして一緒じゃないのよ!!」

別々の入り口に案内されキョーコは非難の声をあげる。

「このお化け屋敷は、男女が別々の場所から入って、中で合流すれば愛が深まるってコンセプトでやってるんだよ。もちろん、出逢えないこともあるけどな。」

嫌な言葉に、キョーコは不安げに蓮を見る。
その表情に蓮はクスリと笑うとキョーコにそっと耳打ちした。

「大丈夫、俺が必ず見つけてあげるから。」

その魔法のような言葉で、キョーコの不安な表情は晴れていく。
何を言っているのか聞こえない尚は、悔しさで唇をかみ締めた。

「言っとくけど携帯は禁止だからな。って言っても連絡しあったって、たどり着けないと思うけどな。特にカップルはほとんど出会えねぇから。」

勝ち誇るようにそう言って、尚は2人に同じ色の蛍光リングを渡すと部屋に入るように促した。
足を踏み入れた部屋は、真っ暗でよく見えない。
渡された小さな懐中電灯の明かりを頼りに、漸く暗闇に慣れてきた目で歩いて行く。
普段は講堂として使われている場所だけにいくら半分だけ使っているとはいえ広い。
中は迷路になっており、上に何か吊るしてあったり井戸や柔らかい床、時折脅かしに出てくるお化けなど結構本格的に作ってある。
あちこちから、叫び声も聞こえてくる。

「はぁ・・・・・こんなに広くて出逢えるのかなぁ・・・・。」

不安になりながらも、蓮を信じてキョーコは前へと進む。
何度目かの行き止まりにため息を付いていると、キョーコの腕を誰かが掴んだ。
もしやと思い、振り返るが暗闇でも分かるシルエットは探し求める相手ではなかった。

「ちょっと・・・・きゃぁ・・ふが・・・んっ・・!?」

何をするのと言おうとしたのだが、口をふさがれ立ち入り禁止の場所へと連れ込まれた。

続きを読む

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。