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もうはなさない 24

2013/06/30 (日)  カテゴリー/もうはなさない

楽しそうに話をする親友と彼氏の姿に、一体何の話をしているのだろうと気になってしまう。

――――― だめだめ・・・気になるなら早くこれを終わらせればいいんだから。

おろそかになっていた手を動かし、キョーコは後輩数人とと共に衣装の破れや解れなどがないかチェックしては衣装を袋に入れていく。
こちらにいた部員達も、奏江が珍しく男の人と話をしていることを噂していた。

「ねぇ、琴南さんと話してる人誰かな?ちょっとカッコよくない?」

帽子を目深にかぶっていたってやっぱり分かるだろう。
その声に、一緒にいた女子部員達もカーテンの隙間からこっそり様子を伺う。

「彼氏じゃないの?」
「でも、聞いたことないわよ?」

部員達は口々に言いたい事を言っている。

「でも、お似合いじゃない?美男美女って感じでさ・・・。放ってるオーラが同じ感じがする。」
「そうよね・・・なんだか良い雰囲気じゃない?最上さんはあの人誰か知ってる?」
「えっ、何?ごめん聞いてなかった。」

聞こえていたのに聞こえていないふりをして、キョーコは作業の手を止めそう聞き返す。

「あ、ううん。なんでもないから作業続けちゃって。」

ドレスのチェックを邪魔してはいけないとそれ以上誰も何も聞かなかった。
衣装を全部袋に詰め終わると、キョーコは後輩達に休憩するように話し、自分ひとりで台車を押し、逃げるように教室を出た。

――――― どうして聞こえないふりしちゃったんだろ・・・。

自己嫌悪に陥りながら、とぼとぼと職員室に向かい歩き始めた時だった。

「あっ、キョーコちゃん!?」

その声にキョーコは顔をあげた。
廊下の向こうから社が嬉しそうに手を上げ、キョーコに駆け寄ってくる。

「社さん・・・どうしたんですか?教室にいたんじゃ・・・・・・・。」

てっきり社も教室にいると思っていたが、今思えば社の姿がなかった。
2人の姿に気をとられ、社の存在を忘れていた事に気づきキョーコはため息を付く。

「電話が掛かってきたから外で話してたんだ。で、戻ろうと思ったら教室の場所判らなくなっちゃって。」
「だったら携帯に電話すればよかったんじゃないですか?」

ホッとする社の手に握られたそのアイテムを見ながらキョーコはクスリと笑う。

「その手があったか。すっかり忘れてたよ・・・それ、衣装だよね?何処かに持ってくの?」

大きな袋をいくつか積み上げた台車は少し重そうに見える。
キョーコは職員室に持っていくと社に話した。

「重そうだね。蓮に手伝ってもらえばいいのに。キョーコちゃんの頼みなら、あいつ喜んで引き受けると思うよ。」

社のたわいない言葉に、キョーコの肩が微かに揺れた。

「これは衣装係の仕事ですから・・・。それに・・・敦賀さんならモー子さんと楽しそうには話をしてたので邪魔する訳にはいかないですよ。」

気のせいか、キョーコの言い方が少し怒っているようにも聞こえる。
だが、表情はどこか寂しそうで、社は戸惑う。

「だったら俺が手伝うよ。早く持ってって文化祭楽しもう。」
「社さん・・・ありがとうございます。」
「そうと決まれば・・・俺が台車押すよ。」

キョーコと台車の持ち手を代わろうとしていると、蓮が慌てた様子で廊下に飛び出してきた。

「社さん、何してるんですか?」
「何って・・・電話終わったから戻ろうと思ってたら場所わからなくなっちゃって、彷徨ってたらキョーコちゃんに見つけたからちょっと立ち話をだな・・・。」
「それだけですか?」
「それだけだけど?」

後からやって来た奏江は、その様子を眺めながらクスリと笑うと台車に手を掛けた。

「これ、先生に持ってくんでしょ?付き合うわ。お2人はもう少しここにいてください。すぐ戻ってきますから。」

それだけ言って、奏江は有無を言わさず台車を奪うと職員室に向かって歩き始めた。

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もうはなさない 23

2013/06/19 (水)  カテゴリー/もうはなさない

舞台が終わり、キョーコは先ほどのチケットを使いジュースを買い込んできた。
衣装係としてやらなければいけない事がある為、蓮と社に後で落ち合う事を提案したのだが、大量に買い込んだジュースをどうやって持っていくのかと蓮に問われ、蓮に押し切られる形で一緒に部室にやって来ていた。

「お疲れ様でした。差し入れ持ってきたからみんな持ってってね。」

着替え終わった演劇部員達にそう声を掛けるとみんな嬉しそうにジュースを手に取り今日の舞台の話に花を咲かせていた。

「キョーコ、どうだった?」
「モー子さん、やっぱり本番の方が断然よかったよ。」

本当は途中から背後に蓮の温もりにドキドキしすぎて、舞台に集中できなかったのだが、そんな事は言えない。
奏江に改めて2人を紹介し、舞台の話をしているとキョーコは先輩部員に声をかけられた。

「最上さん、みんなもう着替え終わったから衣装の片付けお願いね。」
「あっ、はい。」

衣装係の仕事は衣装を作るだけでなく着終わった衣装のほつれや破れなどがないかチェックし、それをクリーニングに出す為に職員室まで持っていかなくてはならない。

「モー子さん、ちょっと行ってくるね。」
「こっちは任せて、早く片付けてらっしゃい。」

奏江と一緒にいれば後輩も先輩も下手な事は聞いては来ないだろう。
そう思ったキョーコは蓮と社を奏江に頼むと急いでカーテンで間仕切りされた更衣室へと向かった。 
3人でキョーコを見送っていると社の携帯が鳴り出した。
着信画面に、社は渋い表情を浮かべる。

「取引先からだ・・・蓮、ちょっと向こうで話してくるよ。俺が戻ってくるまで待っててくれよ!」

部室は賑わっていて電話の声が聞き取りにくいと、社は急いで部室を出て行った。

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もうはなさない 22

2013/06/07 (金)  カテゴリー/もうはなさない

あちこちの屋台を観て周り、時折顔見知りに声を掛けられたりしているうちに公演時間が近づき、キョーコは慌てて食べ物の屋台を巡り、蓮達と共に軽い昼食を終えると急いで会場に向かった。
だが、昨日とは違い一般客も入れるとあって会場はごった返していた。

「もっと近くで見ようと思ってたのに・・・もう少し早く来ればよかった・・・。」

前方は全部埋まっている為、空いているのは後方の席のみ。

「仕方ないよ。席があるだけ良いと思わなくちゃ。ほら、早く座らないと席なくなっちゃうよ。」

ガッカリするキョーコにそう声を掛けながらちょうど3つ空いている場所を見つけ蓮はキョーコの手を引く。
仕方なく後方の座席に座ったキョーコは遠くの舞台を見回しながら息を付いた。
その時、ふとある場所で視線がとまった。
 
「そうだ!?」

キョーコは何か閃いたのか、急に立ち上がると一目散に体育館の奥へと向かう。
蓮と社は顔を見合わせ、急いで後を追いかけた。
立ち入り禁止の扉を開けて階段を上がって行く。

「キョーコちゃん、どこ行くの!?」

さすがに立ち入り禁止と書かれた場所に付いて行く訳には行かないと社は階段を上がっていくキョーコに声を掛ける。

「大丈夫ですよ。私関係者ですから。」
「いや、そうじゃなくって!?」

社の言葉に見当違いな返事を返し、キョーコは階段を上がって行ってしまった。

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