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もうはなさない 21

2013/05/25 (土)  カテゴリー/もうはなさない

蓮と社に廊下で待ってもらい、キョーコは急いで用意する。

「最上さん、さっきの人達誰なの?」

先ほどの騒ぎで、校内一モテ男の尚と対峙していた人物が気になるらしく囲まれてしまった。
キョーコは思わぬみんなからの質問になんと返答すべきか考えあぐねていた。

――――― みんなに彼氏だなんて話したら絶対放してもらえなくなるわよね・・・。

奏江が聞けばそれは言い訳だろうと言われそうだが、恋話大好きなみんなに蓮の事を話せば出会いから根掘り葉掘り聞かれる事は必死。
そんな事を話している時間は今のキョーコにはない。

「あの人たちは・・・バイト先の常連さんなの。」

嘘は言ってはいないと、キョーコは自分に言い訳をしながらその場を誤魔化した。

「蓮・・・・俺達見られてないか?」

廊下でキョーコが来るのを待っている間、こちらを遠巻きに見ている視線に気がついた社は蓮に小声で話す。

「そうですね・・・・・。まぁ、すぐ来るでしょうから暫く我慢しましょう。」

気にする様子もなく、廊下の壁にもたれながら、蓮は腕組をしてキョーコが来るのを待っている。

「それにしても・・・・さっきはヒヤッとしたよ。アレが噂の幼馴染だったのか?」

一触触発とはこの事を言うのだろう。
社は蓮から大体の事情を聞いているだけに、尚を実際目の当たりにして、やっぱりふざけた奴だと憤慨する。

「社さんがそんなに怒らなくても・・・。」

自分の事のように怒ってくれるのはうれしいが、社が先に怒っていては蓮は怒る事もできない。

「何もなかったからいいじゃないですか。」
「それはそうだけど・・・それにしても蓮、どうしてそんな格好してるんだ?」

眼鏡など普段しないのにと、社は不思議そうに聞き返す。

「最上さんが心配するからですよ。俺は彼女一筋なんですけどね。」
「・・・・・あっそっ。」

そんな惚気を聞きながら、社はいまだに自分達をチラチラ見ているキョーコのクラスメイトに愛想笑いをする。

「お待たせしました。」

やってきたキョーコは赤頭巾の衣装のままだった。

「最上さん、その格好で行くの?」
「はい。折角作った衣装ですし、文化祭くらい制服じゃない格好も良いかなって思って。」

そういながらフードを外して笑う。

「それじゃ、行こうか。劇まであまり時間もないだろうし。」
「そうですね。それじゃ、案内しますね。」

そう言いながら歩き始めたキョーコをクラスの男子達に呼び止められた。

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もうはなさない 20

2013/05/17 (金)  カテゴリー/もうはなさない

肝心な所で誰が邪魔するのかと、尚は憎らしげに顔を上げるた。
そこには深々と帽子を被った長身の眼鏡の男が凶悪なオーラを放って立っていた。
だが、そのオーラは一瞬にして消え去りうそ臭い笑顔へと変わった。

「赤頭巾ちゃんは忙しいんだ。君だけのものじゃないんだよ、オオカミ君。」
「誰がオオカミだよ!?」

これからと言う時に邪魔をされて、尚は声を大きくしながら腕を払う。
その声に、室内が静まり返った。

「ショーちゃん、声が大きいって。」

みんなの注目を浴び、キョーコは恥ずかしそうにしながら尚に注意する。
だが、尚にしてみれば今の状況が気に食わない。

「おまえなぁ・・・いつまで見知らぬ男に手ぇ取られてんだよ!?」

今度は尚が男とキョーコの手を放そうと躍起になる。
だが、尚の伸ばした手をかわしたのは意外にもキョーコの方だった。

「ショーちゃん、私は後夜祭には出ませんから。ほら、ショーちゃんのファンが待ってるわよ?」

廊下には何の騒ぎかと集まった人達に紛れ、今朝から尚を探していたファン達が中の様子を見ている。
その中の1人が3人の側までやってきた。

「ショ~ちゃ~ん、どこにいるのか探してたのよぉ。どうして携帯に出てくれないの?三森、心配したんだから。」

華奢な身体ながらも豊満な胸を尚の腕に押し付け、こちらを睨んでくる姿にキョーコは聞こえないため息を付いた。

――――― 心配しなくても、七倉さんはショーちゃんのストライクゾーンだと思うけどなぁ。

尚と同じクラスで、尚の事が大好きな三森は、尚と幼馴染であるキョーコの事が気に入らないらしく何かに付けてライバル視してくる。
昔は確かに好きだったが、今はもうそういう感情を持っていないキョーコにしてみれば迷惑な話だ。

「ポチリ・・・・おまえ、どうしてここが・・・・・・。」
「だって、お化けの格好で騒いでるって言うから見に来たの。最上さんのクラスだし・・・。ショーちゃん、後夜祭はもちろん私と参加してくれるよね?」
「えっ、いや、俺は・・・・・・・。」

言いよどむ尚にキョーコはにんまりと笑う。

「良かったじゃない。後夜祭に一緒に行ってくれる人がいて。」
「ちょっと待てってキョーコ。俺はおまえを・・・・ってポチリ、放せよ!?」

三森は尚を有無を言わさず教室から引きずっていく。
廊下には、いまや遅いしと尚のファン達が手ぐすね引いて待っている。

「放せって!?俺の話はまだ終わってないんだって・・・・おい、キョーコ!?」
「ありがとうございました。」

何とか三森から逃れようとキョーコに助けを求めるが、キョーコは笑顔で見送る。
尚はキョーコに何も話せないまま、三森に連行されて行った。

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もうはなさない 19

2013/05/08 (水)  カテゴリー/もうはなさない

雲ひとつ無い秋晴れの空。
昨日は校内だけの開催だったが、今日は招待状を持った一般人も入場出来るとあって、昨日よりも来客者が多く生徒達は呼び込みや接客などに追われていた。
キョーコも受付や接客、手が空けば裏方でお茶やケーキの用意と、クラスメートと共に忙しく動き回っていた。

「キョーコ、今日は午後から抜けれるんでしょうね?」

魔女の衣装を身にまとった奏江が、トレイを手に戻ってくるとキョーコに確認する。
人の良いキョーコは、昨日はクラスのサボっている人の変わりに、自分の番でもないのに働いていた。
そのせいで演劇部でありながら奏江たちの劇を見損ねてしまい、それを知った奏江に怒られた。

「今日は大丈夫。昨日の変わりに、今日は午後から模擬店手伝わなくていいってみんな言ってくれたし。」
「それじゃ、午後からゆっくり出来るわね。で、いつ来るの?」

一般客で賑わう店内を見渡しながら、奏江は楽しみにしていた。
キョーコの彼氏に会える事を・・・・・。

「最上さん・・・・・じゃなくて赤頭巾ちゃん、3番テーブルご指名よ。」
「は~い。ちょっと行って来るね。」

おとぎ喫茶は、物語に出てくるキャラの格好で接客する訳だがただウエイターをするだけではない。
教室の入り口にメニュー表とともに、それぞれの衣装を身にまとった個々の写真が貼ってあり、メニューを注文すると共に誰に持ってきてもらうかを指名する。
指名されたらそのお客と5分ほど談笑すると言うものだった。

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