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Master and Aervant 58

2012/05/27 (日)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

不破邸を出たキョーコはキャリーバックを引きながら、何処へ行けばいいのかと考えあぐねていた。
頼れる親友の奏江は飛鷹家に常時居る為、訪ねる事は躊躇われる。
行けば歓迎してくれるかもしれないが、事情をすべて話すのは、今のキョーコには辛過ぎた。
かといって、他に頼るあても見つからずキョーコは公園のベンチに座るとため息を付いた。

「宝田邸にはもう戻れないし・・・・・。」

不義理で出てきた以上、今更戻る事も出来ない。
夜空を見上げながら、キョーコはもう一度ため息を付く。

「とりあえず・・・今日泊まる所探さなくちゃ・・・・・それと・・・これからどうするかも・・・・。」

職を失ったとはいえ、ガードの仕事はそれなりに給料がよかった為、今すぐ食うに困る事はないが、やはり仕事をしていないと張り合いがない。

「思い切って・・・他の仕事探してみようかな・・・・。」

夢も消えた今、まったく別の仕事につく事も悪くないかもしれない。
ひたすら誰かを守る為に生きてきたのだから、これからは自分の為に生きていくのも悪くはないのだろう。

「それとも・・・この際長期休暇をとったつもりで世界一周とか・・・・。」

ずっと仕事に明け暮れていた日々。
どうせなら行ってみたかった旅行に行くのもいいだろう。
いろんな事を思い浮かべ、思いを馳せる。
その時一台のリムジンが公園の入り口に停車した。
場違いな車に、誰もがそちらに視線を向ける。
キョーコもそのざわつきに気づき、そちらに視線を移した。
車の扉が開き、降りてきたのは以外な人物だった。

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Master and Servant 57

2012/05/18 (金)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

祥子と共に尚を待つ部屋に少し急ぎ足で向かう。
一体眠っている間に何があったのか・・・祥子の言葉が気になって仕方なかった。 

「遅せぇよ!いつまで寝てるんだか。」

部屋に入ったとたん尚にそう言われ、キョーコは少しむっとする。
自分がゆっくり休めと言ったくせにと内心腹立たしく思っていたが、その思いはTVから流れる声にかき消された。
大型TVからは何かの会見の模様が映し出されていた。

『それでは・・・今まで身を隠す為に別人になっていた訳ですね。』

質問する報道陣の言葉と共に、激しいフラッシュを浴びながら映し出されたのは、蓮の姿だった。

「キョーコ・・・・あいつ・・・自分から正体をバラしたぞ?」

愉快そうな口調で尚はそう言いながら、キョーコの様子を伺う。
だが、キョーコの耳に尚の言葉は届いていない。

「どうして・・・・一体どう言う事なの・・・・・。」

独り言を呟きながら、TVの前まで来ると会見の映像に釘付けになる。
会見に集まった記者たちからの質問に、蓮とそして宝田が会見に応じていた。
プツッ・・・
急にTVの画面が真っ暗になった。
一瞬故障したのかと思ったが、よく見ればTVの暗い画面に尚がリモコンを持っている姿が映しだされていた。

「ちょっと!どうして切るのよ!!」

今からが肝心なのにと、キョーコは憤慨する。
そんなキョーコに向かって、尚は新聞を差し出した。

「夕刊に誘拐の記事が出たんだ・・・・。それで会見を開く事になったらしい。まぁ、おまえの所の会長がこの新聞社にうまく話を持ってったみたいだがな。」

見出しにはでかでかと“財閥の御曹司誘拐”と文字が躍っている。
その他にも、別人として生きてきた本当の理由と題して、過去にヒズリ家の一人息子が襲われ、危険を感じた両親が彼の安全を考え敦賀家に保護してもらい、養子として過ごしていたと記載されていた。

「なんにせよ、これであいつが世間の目を欺き、別人として過ごしてきた事実は美化された訳だ。」

確かに書かれている内容は事実とは異なるが、蓮が別人になって過ごしてきた事が命を守る為であったなら、誰もが仕方なかったと納得し、深く同情するだろう。

「それで・・・おまえを起こしたのは他でもない・・・これからどうするか、だ。」
「これからって?」

尚の言葉に、キョーコは訝しげに尚の表情を伺う。

「今回の誘拐事件で、あいつの正体が世間に知れ渡っちまった・・・・これでおまえは義理堅く俺との約束を守る必要はなくなった訳だ・・・。」

確かに、尚とは蓮の正体を公表しない代わりに、LMEを辞め尚のガードになると言う約束だった。
その効力がなくなった今、キョーコがここに居る理由はなくなった訳だが・・・。
その時、ふと祥子との会話を思い出した。

『・・・・・ちゃんとふって欲しいの・・・。未練が残らないようにね。』
『尚様は・・・本当はわかってるのよ・・・キョーコちゃんが誰の事を想ってるのか。』

祥子はキョーコに気持ちがないならここを出て行って欲しいと告げた。
それはひとえに尚の為・・・・・。
キョーコは戸惑いながらも尚に向き直った。

「なんだよ?開放してやるって言ってるんだぜ?もっと嬉しそうな顔すればいいだろ?それとも何か・・・・・。」

尚は言葉を切り、キョーコの様子を伺う。

「俺の側に居たいっていうんなら・・・このまま居させてやってもいいけど?」
 
祥子にはそれが尚の精一杯の虚勢である事がわかる。
ここでキョーコがどう出るのか・・・祥子は事の成り行きを黙って見守る。
キョーコもその言動が尚の強がりである事はわかっていた。  

「・・・・あんたねぇ。」

全部の逃げ道を奪い、キョーコを此処にこさせたくせに、簡単に出て行っても良いと口にする尚。
それがたとえ尚の強がりだとわかっていても、やはり許せない。

「なんだよ?はっきり言えよ。出て行くのか、このまま此処に残るのか?」

余裕そうな顔でそう言う尚の顔をキョーコは睨んだ。

「私が・・・どんな思いでLMEを辞めたと思ってるの・・・あそこは・・・私の職場で・・・・私の家だったのよ・・・。何もかも捨てて此処にきたのに・・・・何が居させてやるよ!!えらそうな事言わないで!!」

尚も前にある机をドンと思い切り両手で叩く。
悔しさで涙が出そうになるのを、キョーコは何とか耐えた。

「キョーコ・・・おまえ・・・・・。」

それだけ大切だったものを捨てたのはすべて蓮の為・・・・。
もうとっくにキョーコの気持ちに気づいていたはずなのに、尚は何かないかとキョーコの隙を探す。

「おまえ・・・本当にあいつを庇う為だけに此処にきたのか?」

確かめるように、尚はキョーコの顔色を伺う。

「当たり前でしょ。あの人は・・・・私のたった一人の大切な人なんだから・・・・。」

右手の指輪に視線を移しながら、少し苦しそうにキョーコは答える。

「それって、幼い頃から探してたって意味でか?」

探るような尚の言葉に、キョーコは首を左右に振った。

「・・・・・最愛って意味でよ。」 

その言葉に尚の体はカッと熱くなる。
どんなに強気な事を言ってみても、脅して側にいるように仕向けても、キョーコの中に揺るがない存在が居る事にやはり代わりなかった。
 
「だったら、さっさとあいつの所に行けばいいだろ!!別の男の事を想いながらガードなんてされたくもない!」

悔しさに顔をそむけながら、尚は拳を握り締める。

「言っとくが、やっぱり気が変わって雇ってくれって泣きついてきても遅いんだからな。」

背中を向けている為、表情は伺えないが、それは尚の精一杯の嫌味だった。

「蓮様の所には行かないわ・・・・・・。」

少し寂しそうなキョーコの言葉に尚は振り返った。

「何でだよ?」
「私にはもう・・・その資格がないから・・・・。」

悲しげに俯き、キョーコは肩を落とす。

「資格がないってどう言う・・・・LMEを辞めたって個人的にあいつに雇って貰えば済む話じゃないのか?」

自分がそうしたように、キョーコ個人が頼み込めば蓮だって喜んで雇うに決まっている。
だが、それは尚だからこその発想だろう。
この世界に身を置いているものなら誰もが知っていいるルールがある。

「あんたが思ってるほど、事は単純じゃないのよ。」
「なんでだよ!!なんで好きなくせに離れるんだよ!?俺は納得いかねぇ!!」

尚は声を荒げる。

「好きなら、その想い押し通せよ!?誰かに見咎められてあっさり離れられるほどの気持ちなら捨てちまえ!!」
「・・・・・・」

勝手な事を言う尚の言葉に、何か言い返そうと思いながらも・・・キョーコは言い返す言葉が見つからない。
なぜなら尚の言う事は正論だから・・・・・でも、それは一般的な考えであってキョーコはやはり考えを変えることなどできない。

「とにかく、もういいのよ・・・私はもう用済みみたいだから出て行くわ。」

そう言うと、キョーコは逃げるように扉に向かうと尚の方に向き直った。

「もう会う事はないと思うけど・・・祥子さんの事、あんまり困らせちゃだめよ・・・。今までありがとう・・・さようなら。」

キョーコはそれだけ言って頭を下げると部屋を出た。

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Master and Servant 56

2012/05/07 (月)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

ひとり残された社はとぼとぼと部屋に戻る。

「やっぱり・・・俺が悪いんだよな・・・・。」

そう呟きため息を付くと力なくソファーに腰を落とした。

『キョーコがずっと探してた相手があいつで・・・あいつにはもう決まったガードがいたんだ。あんたが逆の立場だったら、そんな場所にいつまでも居れるか?』

尚の言う事には一理ある。
確かに、ガードにと夢見た相手にはすでに決まったガードが居た。
そんな場所にいつまでも、契約ガードとしているのは辛い事だろう。

『社さん、私が戻らないのはそれが理由じゃないんです。だから、気にしないでください。』

キョーコは社にそう言い残しながら、半ば強引に尚に連れて行かれた。
否定してくれたが、もしかしたら今頃蓮の横に居たのはキョーコかもしれない。
そう思うと、社は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

「社さん?」

部屋に戻ってきた蓮は、ぼんやりしている社に声を掛けた。
その声に、蓮が戻ってきた事に漸く気づいた社は慌てて立ち上がる。

「ああ・・・蓮、戻ったのか。会長との話はどうだった?」

少し疲れた表情を隠すように社は話す。
宝田に呼ばれたのは、蓮の正体が知れた今、世間に公表するかどうかの話し合いだった。

「会長は俺が決めれば良いと言ってくれました。俺もそろそろ潮時かと思ってます。」
「そうか・・・それじゃ、戻るのか?」
「まだそこまでは・・・とりあえず、矢崎が誰に俺の正体をばらしたかわからないので、今後の対策を話してきましたから・・・すぐに戻るかどうかは、また別の話です。」

とりあえず、騒ぎが大きくなる前に先手を打つことで話はまとまった。
いつか正体がばれる日がやってくる事は覚悟していたが、こんなに早いとは予想していなかった。
その心配で社は浮かない顔をしているのかと思いきや、いまだ社の表情は暗い。

「社さん・・・俺がいない間に何かあったんですか?」

屋敷に戻って来た時よりやつれているように見える。
心配そうに聞く蓮に、社は申し訳なさそうな表情を浮かべた。
 
「いや・・・俺がお前と契約してなければ、今頃お前の側に居たのはキョーコちゃんだったのにと思ってさ・・・。」
「急にどうしたんです?」

驚く蓮に、社は正直に先ほどの出来事を話した。
もちろん怒られるのは覚悟の上で・・・。

「そんな事言われたんですか・・・・・・。」
「ああ。正直凹むよ・・・。」

がっくりうな垂れる社の姿に、蓮は正直に話そうか迷う。
キョーコが去ったのは、そんな事が理由ではない。

「なぁ蓮・・・キョーコちゃん俺の事恨んでるかな?」

余りにも悲壮な顔でそう言われ、蓮はいたたまれない気持ちになる。

「社さん・・・それは不破が言っただけで、彼女が言った訳じゃないでしょう。俺のガードを辞めたのはそんな事が理由じゃありませんよ。」
「キョーコちゃんも違うって言ってくれたけど・・・彼の言っている事は事実な訳だし・・・一体お前達の間で何を話し合ったって言うんだ?」
「社さん・・・・・。」

自分の事を生涯の主にと決め、側で守ってくれる社には話さなければならないだろう。
そう思い、冷やかされる事も覚悟して、蓮はキョーコと何が合ったのか話した。
もちろん、キスした所は伏せて・・・・・・。

「だから、社さんが気に病む事は無いんですよ。」
「それが本当なら・・・少し気が晴れたよ。でも蓮、良いのか?本当にこのままで・・・。」

確かに守られる者と守る者の色恋沙汰はご法度。
もし、外部にこの事が知れれば大変な事になる事間違いない。
間違いないが、蓮ならそんなもの、何とかしてしまえそうなのにと社は考える。

「キョーコの事を考えれば、これで良かったんですよ。」

浮かない表情で答え、蓮は寂しそうに笑った。
その顔を見て社は蓮が無理しているように思えてならない。

「蓮、お前らしくないぞ。そんな守りに入るなんて・・・。何時ものお前なら・・・。」
「俺だって側に居て欲しいですよ・・・でも・・・彼女は頑固ですからね。何の立場もない、守るべき対象でさえなければって言われましたよ。」

そう言って苦笑する蓮の姿に、社は何とか力になりたいと思う。

「蓮・・・お前が何の立場もない相手ならってキョーコちゃんそう言ったのか?」
「ええ・・・そう言われましたけど、それが何か?」

社は何か引っかかる事があるのか、何やら考え込んでいる。
その様子を蓮は不思議そうに見ていた。
しばらくして、社が不意に顔を上げた。

「なぁ、蓮・・・・お前が“蓮”になった時の事、憶えてるか?」

社の意味深な発言に、蓮は何を言おうとしているのか感じ取ったのだろう。

「でも、社さん・・・・・・・。」

戸惑う蓮に社は笑いかける。

「俺の主はおまえだからな。たとえ無一文になろうが俺は何処までだって付き合うよ。」
「ありがとうございます。それじゃ早速準備に取り掛かりましょう。俺はもう一度会長に会ってきます。」

戻ってきたばかりの蓮は、再び宝田の所へと向かった。

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