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Master and Servant 52

2012/02/28 (火)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

部屋の中に見張りが1人。
窓の外はテラスだが、2階から逃げるにはリスクが伴う。
扉の外にも、おそらく見張りが銃を持ち立っている事は予想できる。
少なく見積もっても、屋敷にさらいに来たのは矢崎を含めて7人・・・。
全員が銃を所持している事を考えれば、こちらは武器も取られお手上げ状態。
見張りがいる以上、下手な会話は出来ないとキョーコは蓮の様子を伺う。

「キョーコも飲んだら?せっかくのコーヒーが冷めちゃうよ?」

ソファーに座り、さっき入れたばかりのコーヒーを優雅に飲む元主の姿に、なんて緊張感が無いのかと思わずため息が漏れる。

「それで・・・これからどうするんですか?」

これだけ冷静にお茶を飲んでいるくらいだから、策でもあるのかと期待したが、蓮は首を横に振った。

「まったく思いつかないね・・・・・。」
「・・・・・・・・。」

自信満々にそう言われ、キョーコは返す言葉も見つからない。
あの矢崎が金を手に入れたからといって大人しく開放するとも思えない。  

――――― 武器も無いし・・・蓮様を連れて此処から逃げる事なんて出来るのかしら・・・せめて・・・武器さえあれば・・・・・。

「キョーコ・・・こんな所にシワ寄せてちゃシワが深くなるよ。」

蓮は床に座り考え込むキョーコの眉間にあるシワを人差し指で抑えながらにっこりと笑う。
その様子にキョーコはがっくりうな垂れた。

「蓮様・・・もうちょっと危機感を持ってください!!」

自分でも大きな声を出したと、キョーコは慌てて口を手で押さえると、ちらりと見張りの様子を伺う。
だが、見張りはいたって気にする様子は無かった。
裏を返せば、ここで逃げる相談をした所で、逃げられない自信でもあるのだろう。

「考えてても、なるようにしかならないだろ?それよりも・・・さっき矢崎が言ってただろ?時間があるからさっきの話の続きでもしてろって。」

見張りを気にする事無く そう言うと、蓮はキョーコをソファーに座るように促す。
だが、キョーコは座ろうとはしない。

「そんな事・・・ここから無事に戻ったらちゃんと聞きますから。」
「駄目だ。もし無事に戻れなかったら?俺は後悔するのは嫌なんだ・・・。」

真面目な顔でそう言われ、キョーコは複雑な表情を浮かべる。

「蓮様・・・無事に戻れないとか言わないでください。私の命に代えてもあなただけは守って見せます。」

胸を張るキョーコの姿に、蓮の表情は曇る。

「前にも言っただろ・・・自分を犠牲にしてまで俺の事は守らなくてもいいと・・・。」
「蓮様・・・それは私への侮辱です。私の仕事は守る事だって前にも言いましたよね。」

少し怒った口調でキョーコは蓮を見上げた。
その顔を見て、蓮はニヤリと笑みを浮かべる。 

「確かに・・・前にそう言って怒られたっけ・・・でも、キョーコの言い方が悪いんだよ。」
「言い方ですか?」
「そう。命に代えてもって、まさかそんなピンチな状況になる訳ないよね。キョーコは優秀なガードなんだから。」

蓮はキョーコのプライドを巧みにつく。

「あ、当たり前です。あれは物の例えで・・・。」
「それじゃ、この話は此処までにしよう。」

見張りもいる為、下手な話はするものじゃないと蓮はそこで話を切った。

――――― なんだかうまく丸め込まれたような気がする・・・。

負けた気がして、キョーコはがっくりうな垂れる。

「それで?キョーコは俺の事、どう思ってるの?」
「またその話ですか?」

再び話を蒸し返され、キョーコは少し呆れたように返す。
今はそんな話をしている場合ではない。
まず、この場所から無事に帰る事が先決なのだ。

「まだ返事を聞いてないからね。で、どう思ってるの?」
「さっきも言ったじゃないですか・・・。私とあなたとじゃ立場が違うと・・・。」

キョーコは先程蓮に言った言葉を繰り返す。
だが、キョーコは心の中で自分自身に問いかける。

――――― もし本当にこれで最後だったら?・・・せめて本当の事を伝えても・・・ううん・・・やっぱり・・・。

ガートという立場とキョーコ自信の気持ちが交錯する。

「俺が聞きたいのはそんな事じゃないよ。まったく・・・君は頑固だね。」

呆れるようにそう言って、蓮はポケットから先ほどの小箱を出すと中にある指輪を取り出した。

「それじゃ、こうしよう。帰ったらちゃんと返事を聞かせて・・・指輪はその時までキョーコに預けておくよ。」

そう言うと、蓮はキョーコの右手の薬指に指輪をはめる。

「さすが飛鷹の新作・・・急いで作らせた割にはサイズもぴったりだ。」

その言葉に、キョーコは慌てて蓮の顔を見上げた。
何か言おうとしたが、それより早くキョーコを引き寄せると耳元で何か囁いた。

「おい!?何をコソコソ話してるんだ!!」

さすがの見張りも、コソコソ話す行動が気に障ったのだろう。
銃を向けながら離れる様に指示する。

「何を話すなんて、野暮な事聞かないで欲しいね。さっきの会話聞いてたんなら大体想像つくだろ?」

蓮の言葉に、見張りは舌打ちすると交代の時間なのか部屋を出て行った。

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Master and Servant 51

2012/02/10 (金)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

カーテンの揺らめく場所から現れた人影はゆっくりと2人の前に歩み出た。

「せっかく良い所だったのに、邪魔して悪かったなぁ。」

悪かったと言う割には悪びれた様子は一切ない。

「あいつは確か・・・・・。」

顔は憶えているが昨日記憶が戻っただけに名前までは思い出せず、蓮は記憶を手繰るように頭に片手を当て考える。

「矢崎・・・。」

キョーコは憎々しくその名を呟く。
怒りのこもった声がかすかに震えるのは恐ろしいからではない。
あの時、自分の力が及ばなかった悔しさが、キョーコの声を、体を震わせる。

――――― そうだ・・・・彼の名前は・・・矢崎・・・。

父親にクビにされた腹いせに自分を襲った男。
その男がここに居るのは偶然でもなんでもないのだろう。

「彼に俺の情報を売ったのはあなたですね?」

キョーコを宥めるように肩に手を置きながら、キョーコの横に立つと確信を得たように横に立つとそう聞き返す。

「その様子だと・・・記憶が戻ったんですかな、久遠様?」

お伺いを立てるような丁寧な口調にキョーコは怒りを抑えきれない。

「馴れ馴れしくその名を口にしないで!?大体あなたはあの事件の後収監されてたはずじゃ・・・。」
「ああ・・・でも未遂だったし、模範囚って事で3ヶ月ほど前に出てきたのさ。」

キョーコの怒りが心地良いのか、矢崎は嬉しそうに嫌な笑みを浮かべる。
その笑いが益々キョーコを不愉快にさせていく。

「それにしても驚いたよ。出所してみればヒズリ家のご子息は失踪して行方知れず・・・探してみれば別人として世間を欺いてるとはな。」

その言葉にキョーコはそっと蓮の様子を伺う。
だが、蓮は動じる事も無くきれいな笑みを浮かべていた。

「俺にも色々事情があるんですよ。しいて言えば“あなたのようなやからに命を狙われる”とかね。」

こんな状況でも、蓮はさらりと嫌味を返す。
矢崎は口元を歪めて笑うと無く無線に耳を傾けた。

「もう少し話したい所だが・・・どうやら不破の坊ちゃんがお譲ちゃんに発信機を付けるみたいでね・・・もうすぐ此処にたどり着きそうだから・・・大人しく来てもらおうか。」

その言葉と共に電気が消え、武装した数人が現れあっという間に取り囲まれた。
銃を突きつけられては庇う事はおろか守れない。

「おっと、動くなよ。」

そう言いながら一人がキョーコのブレスレットを奪い取り、胸についているブローチを外すと床に叩きつけた。
割れたブローチから小型の発信機が転げ落ちる。

――――― まったく・・・あいつったら何考えてるんだか・・・・。

踏みつけられる発信機を見つめながらキョーコは呆れながらもこの場に間に合って欲しいと願う。
だが・・・社と尚が駆けつけたその場所には誰もいなかった。
床に散らばる発信機の残骸・・・。
尚は事の重大さを今更ながら認識した。
自分が招き入れてしまった災い・・・それは取り返しの付かない事態へと向かっている。

――――― 矢崎・・・あいつ・・・最初からそのつもりで近づいてきたのかよ!?

それを拾い上げた尚は悔しそうに握りしめる。

「不破君・・・俺はLMEに戻って今後の事を話さなくちゃいけないから、これで失礼するよ。」

社は足早にその場を後にする。

「ちょっと待てよ、俺も一緒に行く。このままコケにされてたまるかよ!!」

後を追いかけてきた尚は怒りに満ちた表情でそう吐き捨てた。

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Master and Servant 50

2012/02/01 (水)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

蓮がキョーコと共に会場を後にする姿に、尚は慌てて後を追おうとした。
だがいつの間にかドアの前に立ちはだかった社によって部屋を出ることができない。

「どけよ!?」
「君には答えて貰わないといけない事があるんだ。それが終わったらどくよ。まさか、自分から言い出しといて忘れたなんて事、ないよね?」

社には尚から聞かなければならない事がある。
立ちふさがられ、遠まわしに嫌味を投げかけられた尚は舌打ちする。

「わかったよ。さっさと話せ!?」

イラつきながら、尚は座る事もせずに社と対峙する。
社も座ってのんびり話すようなことでもないと蓮の代わりに質問を始めた。

「それじゃ、早速だけど・・・誰に聞いたの?」
「何をだよ。」

尚はワザととぼけて聞き返す。
そうあっさりと話すのは釈然としないとばかりに、鼻を鳴らす。
だが社にも尚攻略の考えがあった。

「君が惚けるのは勝手だけど、そうしてる間にあの2人が何話してるのか気にならないのかい?」

痛い所をつかれ、尚は不機嫌そうに表情をゆがめると仕方なく話し始めた。
尚の話によれば、その人物に出会ったのは2ヶ月程前だったらしい。
少し怪しげなパーティーに参加していた尚は、そこで知り合いからその人物を紹介された。

「俺が敦賀がムカつくって話に食いついてきたんだ・・・。そいつもなんか恨みがあるとかで、意気投合して・・・それで良いネタがあるって・・・。」
「それが蓮の過去だったんだね。」
「ああ・・・。最初は半信半疑だったけど。元ヒズリ家のガードだった事は確認できてる。なんかミスしてクビになったらしいけど・・・詳しい事はLME絡みだから情報が掴めなかった。」

尚の話を聞きながら、社は今朝の宝田との話を思い返していた。
昔、宝田邸で起きた事件。
その人物が数ヶ月前に釈放となり、宝田はその人物の動向を密かに探っていた。
だが、先月から姿をくらまし所在がわからなくなったという。
そして心配な言葉を口にしていた。

――――― 昔ガード・・・・・まさか・・・・。

ガードなど何人も入れ替わっているが、このタイミングで聞けば疑わずにはいられない。 

「不破君・・・そいつの名前ってもしかして・・・・・・。」

社が聞いた名前に、尚は頷いた。

「そうだけど・・・あんた知ってるのか?」
「知ってるも何も・・・・・まさか彼の助言で俺たちをここに呼んだのか?」
「いや・・・あんたらを呼んだのは俺の発案だよ。でも・・・キョーコをあんたらから引き離す話を持ってきたのはあいつさ。」

事情が掴めないまま、尚は社にそもそもキョーコを自分の所に戻す為の策を練っている時にあの話を聞いたと話した。

「今回の情報の見返りに、このパーティーに参加したいって言うから、安いもんだと招待したけど・・・そいつが一体何だって言うんだよ。」
「なんだって!?この会場にいるのか!!」

社は焦ったように大きな声を出す。

「あ、ああ・・・さっきまであそこに居たけど・・・。」

マジックミラー越しに指差す方角に、その姿は無かった。

「一体それが何だって言うんだよ?」

訳がわからず、尚は不機嫌そうに社に聞く。

「彼は・・・・15年前に蓮を襲って・・・キョーコちゃんの背中に傷を負わせた男なんだ!?」
「なっ・・・・・・。」

絶句する尚を残して、社は携帯をかけながら蓮とキョーコを探す為部屋を出た。
その後ろを尚が追いかけてくる。

「ちょっと待てよ!昔襲った奴が一体なんだって言うんだよ。」

社の肩を掴むと、尚は慌てて引き止める。
電話の通じない社は、仕方なく立ち止まると尚に向き直った。

「不破君・・・早く2人を・・・・・あいつは・・・・あの男・・・あの2人に復讐するつもりなんだ。2人が危ない!?」

社の言葉に、尚は慌てて自分の携帯をとりだした操作し始める。
携帯を覗き込んだ社は、画面に赤い点滅を見た。

「もしかして・・・キョーコちゃんに発信機を持たせてるのか?」
「持たせてるんじゃなくて、黙って付けてるんだよ。こっちだ。」

尚の言葉に半ば呆れながらも、今回ばかりは功を奏したようだと、社は何も言わずに尚の後を追い掛けた。

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