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Master and Servant 48

2011/12/22 (木)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

通された部屋を見渡しながら、キョーコは複雑な気分になっていた。
再びこの屋敷に足を踏み入れる事になろうとは思わなかった。

「キョーコ、よく来たな。」

客間に入ってきた尚はそう言いながらキョーコの向かいに座る。
だが、キョーコに笑顔はなかった。

「おまえがここに来たって事は・・・」

疑うようにそう言いながら、キョーコの顔色を疑う。

「ちゃんと言われた通りにしてきたわよ。だから・・・あんたもちゃんと約束は守ってよね。」

昨日の電話で、キョーコは尚から耳を疑う話を聞かされた。

『あいつの具合はどうなんだよ?』

自分のせいで蓮に怪我をさせた事を少しは気にはしているのだろうか。
その言葉に、キョーコは蓮の様子を話して聞かせた。

『なんだ・・・命に別状ないのかよ。』

つまらなさそうにそう呟き、尚は一息置く。
その態度に、キョーコは怒りを覚えたものの、そんな事を確認する為にかけて来た訳ではない事は分かる。
蓮の容態については、社が祥子に報告したはずだ。
それ以外の事を話す為に、わざわざ夜遅く、キョーコが仕事を終えた時間帯を見計らってかけてきたのだから。

『本題に入ったら?今日は1円にもならない仕事をしたから、物凄く疲れてるんだけど。』

抑揚のない声でけん制する。
自分を守る事は1円の価値もないと言われ、尚はムッとする。

『おまえなぁ・・・・・まぁ、今回の事は俺が悪い訳じゃないけど、狙われたのはこの俺だからな。それについては謝っておいてやるよ。俺が大物過ぎて悪かったな。』

謝罪など期待していなかっただけに、キョーコは聞き流した。

『それで?早く用件を話せば?』

何のリアクションも返さないキョーコの言葉が面白くない。 
だが、キョーコに喧嘩を吹っかける為に電話した分けではない。
尚は言いかけた言葉を飲み込むと本題に入った。

『・・・・実はな、俺なりに色々調べたんだ。』
『何を調べたって言うのよ。』

勿体ぶる尚の言葉に、キョーコは先を促す。

『これはな、不破財閥だから調べられた事なんだが・・・・・。』

自分の力をキョーコに知らしめるかのような言い方に、キョーコは相変わらずだと思いながらも耳を傾ける。
だが、キョーコは尚の言葉に凍りついた。

『キョーコ?もしかして、ショックで声も出ないのか?そりゃそうだよなぁ。おまえの仕事は信用されて何ぼだからな。それなのに主に隠し事されてたなんてショックだよなぁ。』

愉快そうに話す尚の声が遠くに聞こえる。
尚が掴んだネタ・・・・それは蓮が敦賀家の御曹司ではなく、行方不明とされているヒズリ財閥の一人息子のクオンだという事だった。

―――――どうすればいいの・・・・。

尚に蓮の正体を知られてしまった。
もしこの秘密が世間に知れてしまえば、蓮は世間を欺き生きて来たと酷評されるだろう。

―――――そんな事・・・私がさせない・・・・・。

蓮がどんな思いで、今まで別人として生きてきたか・・・・。
その苦労は並大抵の事ではなかったであろう。
それなのに、こんな形で世間に広まる事など許されない。
キョーコは気持ちを建て直し、尚に問う。

『それって、あんたしか知らないの?』

もっと驚くかと思っていたのに、帰ってきた言葉は尚の聞きたい言葉ではなかった。

『もしかして・・・おまえは知ってたのか?』
『そんな事どうでもいいでしょ?それよりもどうなの?他の人には話したの?』
『話す訳ないだろ。この情報はこの“俺様”だから掴めたんだ。キョーコ、おまえ一体・・・・・。』

何の心配をしているのか・・・・。
尚はキョーコを奪還する為の策略があった。
自分が使えていた主が、大きな秘密を話さなかったという事は信用問題になりかねない。
その事をネタに、キョーコに蓮の所を辞める様にと、そそのかすつもりだったのだ。
なのに・・・食いついたのはそこではなく、その事に対する主への気遣い・・・・。
だったら、その事をネタにするしに越した事はない・・・・。

『キョーコ・・・・俺ならこの事実を握りつぶす事だって出来るんだけどな。』

含みを持たせた言い方に、キョーコは息をのむ。

『俺の条件をのむなら、この話は永久に葬ってやる。』

その条件とは、キョーコが蓮の所も所属しているLMEも辞め、フリーのガードとして自分に仕える事。
キョーコは二つ返事でその条件をのみ、こうして尚の所にやって来たのだ。

「もちろん、約束は守るさ。」
「なら良いわ。私の部屋は前と同じ所かしら?」

無表情でそう聞きながら、キョーコは立ち上がる。

「ああ。その前に早速仕事・・・いや、今日は俺様の友人として付き合ってもらうぜ。祥子さん、後は頼んだ。」
「はい。それじゃ、キョーコちゃん一緒に来て。」
「はい。」

キョーコは祥子と共に部屋を出て行った。
その後姿を見送り、尚はソファーのクッションに拳を叩き付けた。
自分の思い通りに事が運んでいるはずなのに、どうしてこんなに虚無感を感じるのか・・・。

「キョーコはあいつより俺を選んだんだ・・・あせる必要なんてないんだ・・・・。」

尚は自分にそう言い聞かせ、ソファーに身を預けた。

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近況&お礼

2011/12/10 (土)  カテゴリー/独り言

いつも訪問&拍手&コメントありがとうございます(。◡‿◡。)

早いものでもう12月。
皆様も何かと忙しい日々を過ごしているかと思います。
かくいう私も少し忙しくてゆっくりPCに向かう時間が
“kurokuma cafe”を始めた頃よりも少なくなってしまいました。
まぁ、それだけ一昨年、去年の私とは違う日々を過ごして来たという事なのでしょうが・・・
遊びに来てくださる皆様にしてみれば、あまり更新されていないと
がっかりして帰られている事と思います。

“Master and Servant”も終盤に入ってまいりました。
年内には終わらない事確実ですが←さりげなく宣言しておきます(^_^;)
がんばって創作しますのでしばしお待ちいただけると幸いです(◡‿◡✿)ペコリ❤


下記、個々にお礼です。
ずいぶんお礼してなかったので、さかのぼってお礼させて頂きます。
もしかしたら書いてくださった方の中に、お名前が無い方もいらっしゃるかもしれませんがその時は申し訳ありません(>_<)

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Master and Servant 47

2011/12/10 (土)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

蓮の来訪をマリアから聞いていたのか、それとも予想していたのか、早朝にもかかわらずあっさりと宝田に会うことができた。

「どうして辞表を受理したんですか!?」

部屋に通された蓮は宝田を見るなりそう詰め寄る。

「そんな息巻くな・・・とにかく座れ。」

メイドが運んできたお茶を優雅に飲みながら、宝田は蓮に座るように促す。
その落ち着きぶりが、ますます蓮をイラつかせた。

「で・・・どうして受理したんですか?」
「そんな怒るような事なのか?たかが雇っていたガードが辞めたくらいで・・・・。」

あきれるようにそう言いながら、宝田は蓮を一瞥する。
いつも余裕そうな顔をしているのに、今日の蓮にはそれがなかった。

――――― いい顔になったじゃねぇか・・・。

今までの蓮は名前と素性を隠し、ひたすら違う人間として生きる為に他人と深く関わる事をしなかったし、しようともしていなかった。
それは必要ないと感じていたからだろう。
だが、キョーコに出会い接しているうちに、忘れていた何かを思い出したかのように活き活きしていた。
宝田だって、そんな風に蓮を変えたキョーコが居なくなる事は望んでなどいない。

「言っておくが、俺はちゃんと引き止めたぞ。お前のガードは辞めてもいいと言ったが、LMEには所属して欲しいとな。だが、あの性格だ。キョーコがどうしてもと言って聞かなくてな・・・・。」

明け方近くに、突然現れたキョーコ。
その手には辞表が握られていた。

『今回の事、全部私の責任です。なので・・・責任をとって辞めさせてください。』

最初は蓮の護衛をかと思っていた。
だが、話を聞いていくうちに、LME自体辞めるつもりだと言う・・・。
あんなにガードの仕事に誇りを持っていたキョーコだっただけに、宝田は驚きを隠しきれなかった。

『それは・・・あいつの正体を知ってしまったからなのかね?』

迂闊だったのかもしれない。
夢に敗れたキョーコが、ガードの仕事から遠ざかろうとしているのならば、宝田にも責任はある。
だが、キョーコは首を横に振った。

『そうじゃありません・・・。むしろ知れて良かったんです。私はただ・・・・・これは私のわがままなんです・・・・申し訳ありません。』

精一杯頭を下げるキョーコ。
頑固な性格のキョーコが宝田の説得で考え方を翻すとは思えない。
だが・・・。

『どうしてLMEまで辞める必要がある?今回の責任をとってあいつの所を辞めるのはかまわない。だがな、LMEまで辞めるとなれば・・・うちの会社としては痛手だ。優秀なガードが一人いなくなるというのは、LMEに多大な損害を与える。』

自分を優秀と認めてくれる事は嬉しい。
だが、キョーコにはどうしても譲れない理由があった。

『本当に・・・申し訳ありません。』
『どうしても辞めないといけないのかね?わたしには君を預かった責任がある。』

キョーコの母親から預かり、今まで娘のように気にかけてきた。
今まで弱音など吐いた事もなかったキョーコだけに、こんな時こそもう少し頼ってくれてもと、宝田は少し寂しくなる。

『それは・・・ここまで色々お世話になって、感謝してます。でも、どうしても・・・ガードとして、私ができる・・・私にしかできない事をする為には・・・辞めるしかないんです。』

“ガードとしてしなければならない事をする為にLMEを辞める”
言っている事は支離滅裂だが、悲壮な表情でそう言われると、何か深い訳があるのだけは分かる。
覚悟を決めてここに来たキョーコを、これ以上引き止める事は無駄なのだろう。
宝田はそれ以上何も聞かずに辞表を受け取った。

「意志の強いキョーコの事だ。誰が何を言っても無駄だろう。」

――――― それが、想いを寄せてしまった相手の言葉でも・・・。

キョーコの態度で大体の見当は付く。
大方、想いを寄せた人物が自分のもっとも尊敬する、そして忠誠を誓おうとしていた相手だからこそ、離れようと決めたのだろう。
だが、それだけの理由でLMEをも辞めるとは考えにくい。
何かがキョーコの身に・・・しいては蓮の身に降りかかったと考える方が自然だ。
だからこそ、キョーコはあんな事を言ったのだろう。

「そんな事、分かってますよ・・・。俺はただ・・・・・・。」

どうして気が付かなかったのかと、悔しさだけが込み上げてくる。

「どうしてそこまでキョーコに執着するんだ?」

宝田は、あえて意地悪な質問を投げかける。

「それは・・・・こっちにだっていろいろ都合があるんですよ。」

宝田の目論見通り、キョーコの事を好きになったなどと言える訳もなく・・・。
それを口にしてしまえば、それこそ2度と傍に置く事は叶わないだろう。
そう思った蓮は、分が悪いと言葉を濁す。

――――― そんな顔してたらバレバレだ・・・・。

ポーカーフェースを崩した蓮の表情を見れば一目瞭然。

「せっかく朝早く来たんだ。朝食くらい食べていくだろう?また後で会おう。」

メイドに準備をさせるよう促すと、宝田は席を立った。
それと入れ替わるように、社が急いで入ってきた。

「蓮!?キョーコちゃんの携帯の履歴調べてきたけど・・・・最後に電話した相手が・・・・・。」

その名前に、蓮はため息を付いた。

「社さん・・・とりあえず屋敷に戻りましょう。」

ここに居ても時間の無駄だと思った蓮はそういうと立ち上がった。

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