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Master and Servant 39

2011/07/27 (水)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

騒がしい会場を抜け出した蓮は逸美を中庭へと誘う。
この屋敷にはバラ園があり、とても綺麗で迷路のような造りになっていて面白いからと、この屋敷の主に進められたのだ。
どうせ宝田会長に何か吹き込まれているのだろう。
そう思いながらも、いつまでも騒々しい会場内に居たくなかった蓮は逸美を外へと連れ出した。

「敦賀さんって、噂通りの人ですね。」
「噂って?」

横を歩く逸美にそう言われ、蓮は聞き返す。

「温厚で優しいって・・・・それにカッコよくて凄く紳士的だって。正直そんな人居るわけないって思ってたんですけど・・・・・・・・。」

そう言いながら、嬉恥ずかしそうに逸美は笑う。

――――― 温厚で優しい紳士か・・・・・ある意味合ってるけどね。

その笑顔に、蓮は少し困ったように笑顔を返した。
この姿は表向きのものであって、蓮の本質ではない。
そう思われる為に、それ相応の態度と行動を心がけてきたのだ。

「でも・・・・どうして私となんですか?他にも沢山申し出はあったんじゃないんですか?私の友達なんてお見合い断られたって嘆いてましたよ。」

心当たりがありすぎる蓮は、その友達の名前さえ聞く気になれない。
それほど、無駄に申し込みが来ていていつも面倒だと思っていた。
だが、どうしてと言われて、正直に頼まれたから仕方なくなどと言える訳もない。

「仕事が忙しくて、なかなか機会がなかっただけですよ。それに、誰でも言いという訳でもないですし・・・・・。」

意味深な言葉に、逸美は頬を染める。
その様子に、蓮は再び苦笑する。

「逆に迷惑だったんじゃないですか?急に決まった話ですし・・・・・。」
「迷惑だなんてそんな・・・・・・。だってあの敦賀さんがパーティーでエスコートしてくれるなんて夢みたいです。」

なにせ、パーティーには滅多に出ない人物だけに、こうやってエスコートしてもらう事など夢のようだ。
しかも暗黙の了解ではあるが、これはお見合いの一環。
それだけでも、逸美にしてみれば嬉しい事だ。

「そう言ってもらえると、俺も嬉しいですよ。折角ですからこの中に入ってみますか?」

迷路になっているバラ園の入り口へと逸美を促す。
お互いの事を話しながら笑い寄り添い歩く2人。
中庭のバラ園は迷路のような造りの為、キョーコは人目に付かない屋敷の大きなテラスの一角で、上から蓮達を見守っていた。

――――― やっぱり・・・・蓮様にはああいう方がお似合いなのよ。

心の中でそう呟きぎゅっと掌を握り締めた。
仲睦まじく歩く2人を見ていると、自分との立場の違いを見せ付けられているような気がした。
自分の立場を弁えず、主に恋心を抱くなどあってはならない事。
心の中で想うだけで良いと思っていた気持ちが胸を焦がす。
側にいる為にこの気持ちを封じたのに、側に居ればこんな光景を後何度見なければいけないのだろう。
矛盾の切なさに葛藤していたキョーコは、自分に近づいてくる人の気配に気づいていなかった。

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Master and Servant 38

2011/07/22 (金)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

いつもより少し離れた場所で、キョーコと社はそれぞれの持ち場に就き、蓮の様子を伺いながら待機していた。

「お見合いって言うから、和室で向かい合って話をして・・・・後は若い2人でとかかと思ってました。」

インカム越しにキョーコはパーティー会場を見渡しながらそう言った。

「まぁ、一般的にはそんな感じなんだろうけど・・・・。見合いって言っても、そんな堅苦しい物じゃなくて雑談程度だったり、今回みたいにエスコートしたりして知り合いになるところから始まるから・・・・。」

お見合いと言っても、一対一ではなくパーティーの中で行われると言う。
毎夜繰り広げられる社交界の真の目的は、自分の娘や息子を少しでも良い縁へと結びつける為の、言わば親同士の腹の探りあいのようなもの。
宝田会長から言い渡されたのは、今日開かれるパーティーで百瀬財閥のお嬢様のエスコートをする事だった。
その為、初対面にもかかわらず家まで迎えに行く所からスタートして、現在逸美嬢と共に他の客達と蓮は談笑している。

「物凄い作り笑いですね。どうして誰も気づかないんだろ?」

キョーコの言葉に、ヤシロは苦笑する。

「あいつ・・・・こういうの本当に嫌いなんだよ。他人の自慢話とか、ごますりとか・・・・・でも、相手のお嬢様が素直そうなのがまだ救いだよ。」
「そうですね。百瀬財閥のお嬢様・・・・・私の知っているお嬢様方とはまるで違う・・・・あれこそが本物のお嬢様ですよね。」

その言葉には力が篭っている。
なにせ、尚の護衛をしていた時、中高一貫のお金持ち学校だった為、キョーコが尚のガードだと知らない女子達から良くいじめられていた。
もちろんそんな事でくじけるようなキョーコではなかったが、さすがにお金持ちのいじめ方は陰険だった。
あの頃は、本当に金持ちの女なんて根性悪の性格ブスだと思ったものだ。

「そうれよりもキョーコちゃん・・・・・本当に変装しなくて良かったの?」

キョーコが過去の最悪な出来事を思い出していると、社が思い出したようにそう切り出した。
只でさえ不破が探し回っていると言うのに、変装もしないで蓮の護衛についてる等、不破に見つけてくれと言っているようなものだ。
今回は同伴者がいるからとキョーコは美緒になる事も、そして他の誰かに変装する事もしなかった。
その事で今朝からちょっとした言い合いになったのだが、これだけはどうしても譲る事が出来なかった。

「私がここにいる事がバレるのも時間の問題なんです。」

船の中での祥子の言葉に、キョーコはいつまでも逃げる訳には行かないと考えていた。
それに加えて今回尚が敦賀家の事を調べているとなれば、尚更隠れているなんて事は出来ない。
どうせばれるなら、下手な小細工など必要ない。

「コソコソするの、もう嫌なんです。どうせバレるなら堂々と蓮様のガードとして迎え撃ちたいんです。だから・・・お願いします。」

そこまで覚悟を決めているキョーコに、蓮は自分の我侭をこれ以上押し付ける事などできない。

「わかった・・・・。その代わり、彼が現れたら真っ先に俺か社さんに知らせる事。絶対に2人で話をつけようなんて思わないで・・・・。今は俺が君の主だ。勝手な行動は謹んで・・・いいね。」

蓮の言葉に、キョーコは頷いた。

「蓮はさ・・・・キョーコちゃんの事が心配なんだよ。」

今朝の出来事を思い返しながら、社はインカム越しにキョーコにそう話す。

「心配してもらえるのは嬉しいですけど、これは私の問題なんです。仕事に支障が出ないようにちゃんとやりますから。」

――――― そうじゃなくて・・・・・・・・って言っても分からないか。

蓮が心配なのは、再びキョーコが不破と会う事だろう。
なんだかんだと数年間、キョーコは不破と家族のように過ごしてきたのだ。
情のような物がないとは言い切れない。
それに比べて、蓮とまだ1年も仕事をしていない。
単純でお人好しのキョーコが、不破の口車にうまく乗せられないとは言い切れない。
そんな事になれば、蓮は再び以前のようになってしまうのではないか・・・・。
社はそれを心配していた。

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Master and Servant 37

2011/07/14 (木)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

蓮は社からいつものようにスケジュールを聞いていた。
だが、社の言葉に怪訝な顔をする。

「社さん・・・・・そのての話は断って下さいって、いつも言ってますよね。」

少し苛立たしげにそう言って、蓮は書類から顔を上げる。
いつもの社なら、蓮に相談する前に断っているような話。
なのに、なぜ今回に限って受けたのか?
そんな蓮の態度に、社は困った顔をした。

「俺だって、断れるものなら断ってるさ・・・・・。相手が宝田会長じゃなければな。」
「会長が?」

眉を顰めて、蓮は聞き返す。

「ああ・・・・会長にしてみれば、シージャック騒ぎで恩があるから、さすがのお前も断れないと踏んだんだろ?」

そう言いながら、ヤシロは預かっていた封筒を蓮の前に差し出した。

「これは?」
「詳しい資料と相手の写真・・・・・。」

宝田会長からの話となれば、突っぱねる事は出来ない。
何を企んでいるのか分からない食えない相手ではある。
だが、蓮の事を気に掛けてくれる数少ない理解者でもある。

「・・・・・とにかく、今回は会長の顔を立てて行きますけど・・・・・・・これからはこんな話が来ても断固断ってください。いいですね。」

最後の言葉には物凄い凄みが込められていた。

「分かってるよ・・・・・俺だってお前に恨まれたくはないからな。」

誰よりも近くにいて、性格だって熟知している。
社は怒らせたら洒落にならないと、乾いた笑いを浮かべた。

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Maste rand Servant 36

2011/07/08 (金)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

こんな夜中に話など、心当たりはひとつしかない。

「とにかく座っててください。お茶でも入れますから。」

そうい言いながら、手の中に握っていたものを終おうと机の上に置いてあったがま口に手を伸ばす。

「何を終ったの?」

興味ありげにそう聞かれ、キョーコは一瞬戸惑ったもののがま口の中身を蓮に見せた。
掌にすっぽり収まるくらいの大きさの少し紫がかった碧い石
その石を見た瞬間、初めて見たはずなのに何処か懐かしさを感じ胸がざわつく。

「・・・・これって?」
「これは・・・私が今探してる方に貰った物なんです。」

毎日の護衛の訓練のきつさと、母に会えない寂しさから毎日のように泣いていた。
そんな時に出会った彼に少しでも悲しみが減るようにともらった石。
それを宝物として持っているキョーコの姿を見ながら蓮は複雑な気持ちだった。

「それで・・・話ってなんですか?」

明日もスケジュールビッシリの蓮には早く休んでもらいたい。
遅かれ早かれ言われるだろうと思っていたキョーコは腹を括るとカップを蓮の前に置きながら話を促した。

「俺がキョーコを同行させない理由を話そうと思ってね・・・・・。」

マリアに余計な事を話してしまった事を戒めに来たと思っていたのにそうではなかった。
だが、何度となく理由を聞いても教えてくれなかっただけに、それは是非とも聞いておきたい。
キョーコは黙って頷いた。

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Master and Servant 35

2011/07/02 (土)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

目の前では、いつも天使のように愛らしい少女が悪魔のような形相でキョーコが教えるクッキーの生地を捏ねている。
その姿はまるで、魔女が呪いをかけているかの様にそれはそれは憎々しく・・・・。
キョーコはうかつな事を話してしまったと後悔していた。

「マリアちゃん・・・・・・・あれはあくまでも私の想像だし・・・・・。」

クッキーを焼く間にテーブルをセットしようとやって来たテラスで、キョーコはクロスを広げながらマリアの謝った。
物凄い形相で迫られ、キョーコは誤魔化す事もできないままマリアに蓮に置き去りにされている事への不満と、先日来たお客と蓮との関係について、自分が思っている事を話した。
その話を聞いたマリアは真実を確かめるべく、蓮が帰ってくるやいなや蓮を問い詰めていたようだが、話をして戻ってきても怒っているマリアの態度にキョーコはいささか不安を覚える。

「お姉様が謝る必要なんてないわ。悪いのはちゃんと理由を話さない蓮様の方なんだから・・・・・。」

敷かれたばかりのクロスに頬杖をついて、マリアは面白くなさそうにそう言った。

――――― ううん・・・悪いのはあの男よ・・・・。蓮様も、お姉様にちゃんと話さないからややこしい事になるんじゃない・・・。

蓮にキョーコの推理を話したマリアは、逆にどうしてそんな事をと問われる始末。
その様子からして、キョーコの推理は外れていると確信した。
それよりも、あの男がキョーコを探して敦賀の家の事を嗅ぎ回っていると言う事に怒りを覚えた。
だが、蓮との約束も合ってその話はまだキョーコには伝えられない。
そのもどかしさから、クッキーの生地を憎らしげに捏ねていたのだった。

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