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Master and Servant 31

2011/04/29 (金)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

何事も無く終わるようにと、決して叶えられないだろう事を祈りながら、キョーコは扉を開いた。

「美緒、さっきは大変だった・・・・・・・・。」

万遍の笑みで覗かせた笑顔は、室内の状況で引き攣り顔に変わる。
それもそのはず、予想などまったくしていなかった人間が、あたり前かのようにその部屋にいたのだから。

「やあ、不破君だったかな?うちの美緒に何か?」

胡散臭いまでの笑顔を放ちながら、ゆっくりとキョーコの元へと歩み寄る蓮の姿に、後ろに控えている社と扉を開けたキョーコは気が気ではない。

――――― なっ・・・・なんでいるんだ・・・・。

一瞬気後れしたものの、蓮の言葉に慌てて態勢を立て直す。

「何であんたがここにいるんだよ。」

売られた喧嘩は買う。
それが蓮なら尚更だ。
尚は精一杯凄みながら、蓮を見据える。
後からやって来た奏江と飛鷹も、予想通りの展開に顔を見合わせため息をつく。

「彼女の船が占拠されたって聞いて、心配で迎えに来たんだよ。君は?まさか彼女を口説きに来たなんて事、無いよね。」

優雅に微笑み、キョーコの肩を抱き寄せながら尚に向かって鼻で笑う。

“おまえ如きが美緒を口説こう何て百年早いんだよ”

尚の耳にはそう聞こえた。

「あんた、彼女の何な訳?」

蓮が気に入らない尚は、益々食って掛かる。
このまま邪魔をされて黙ってられない。

「俺は彼女の保護者とでも言っておこうか?彼女の親に頼まれててね。変な虫がつかないようにって。」

尚を牽制するように、蓮は涼しい顔でそう言ってより一層キョーコに寄り添う。

「遠縁のお嬢さんの肩を気安く抱き寄せるようなあんたに言われる筋合いは無いと思うけど?」

一触即発の空気に、キョーコはいろんな意味でドキドキしすぎて倒れそうになる。

――――― な・・・・なんでこうなるのよぉ~。

ただ、平和に事を終わらせて欲しいと扉を開く前にあれほど頼んだのにも関わらず、予想した最悪の展開になっている。
ドキドキで目をまわしている場合ではない。

「れ、蓮・・・・・・・・。」

キョーコは小さな声で不安げに蓮の袖口を掴んだ。

「何?美緒。」
「そろそろ、迎えがきてる頃じゃ・・・・・・。」

この状況は打破するには、蓮と尚を同じ空間にいさせない事だ。
それに、尚にいつ正体がばれるとも限らない。
社も、尋常ではない空気に絶えかね、キョーコの話しに加勢する。

「そうだな。もう来てる頃だろうから行こうか・・・・そういうことだから悪いね不破君。」

強引に話を終わらせようと、社は尚に謝りながら蓮を追い立てる。

「飛鷹君たちも良かったら一緒に乗って行くかい?」

折角だからと、社は飛鷹にも声を掛ける。

「ああ、頼むよ。こんな場所一刻も早く立ち去りたい。」

飛鷹の言葉に、奏江も頷く。
いつまでも、尚と同じ空間に居たくないのはみんな一緒だ。
みんなの言葉を聞いた蓮は、迷う事無く突然キョーコを抱えあげた。

「きゃぁ!!何するんですか!?」

思わぬ行動に、つい敬語を使ってしまいハッとする。
こんな所で、尚に気づかれる訳にはいかない。
キョーコは、慌てて口を噤み蓮を真っ赤になりながら睨む。
だが、蓮はそれに気づかない振りをしてキョーコを抱えたまま下ろそうとはしない。
それどころか、キョーコの耳元で囁いた。

「足捻ったんだろ?」

確かに足は捻ったが、気づかれないように歩いていたつもりだった。
そんな些細な事に気がつかれ、キョーコはある意味関心する。
奏江も飛鷹もこの状況でよくやるものだと呆れたように溜め息を付く。
2人の様子を、尚は口をあけて唖然と見てる。

「それじゃ、不破君。出来ればもう2度と会いたくないものだね。」

尚が反論する前に、蓮はすばやくキョーコを抱えたまま部屋を出た。

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Master and Servant 30

2011/04/20 (水)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

静かな船内を歩きながら、キョーコは1人苦笑する。
今から一戦交えるというのに、ワクワクしてしまうのは先ほどの奏江との会話のせいだろう。

『こっちはいつでも準備OKよ。作戦通り、不破のガードに雑魚を任せて、あんたは乗り込んできなさい。その代わり・・・・できれば正体を明かさないようにうまくやるのよ。』

キョーコだって、尚に自分の正体をばらしたくはないが、今は緊急事態。
ばれたらばれた時だと、腹を括ってパーティー会場へと向かう。
その姿に、あっという間に捕まえられ会場の中へと連れて行かれた。

「お嬢さん、一体何処に隠れてたのかな?」

ボスらしき男が銃をつきつけながらキョーコに近づいてくる。
奏江の言った通り、会場の外の見張り2人を合わせこの会場内にいるのは8人。

「私・・・・・部屋で休んでただけで・・・・隠れてたなんてそんな・・・・・。」

瞳に涙を浮かべながらそう訴える。
こんな事、キョーコだったら絶対にありえない。
これも、尚に美緒というキョーコとはまったく正反対のキャラを植えつける為の作戦だった。

「とにかく、大人しくしていろ。」

腕を縛られ、キョーコは奏江の近くに座らされた。

『守備は?』
『上々。船の中の見張り達は祥子さんに任せたから予定通りよ。あれから何か動きはあった?』
『犯人は、あそこにいる博士のデーターが目的だったみたいだけど、この船には持ってきてなかったみたい。』

奏江の話によると、今日発表される予定が急遽キャンセルになり、犯人達の目論見が外れたらしい。
今、博士の助手に連絡を取りデーターをこの船まで持ってくる事になったという。

『それじゃ、この騒ぎは外部に漏れるって事よね。』
『でも、人質を取られてるから下手に通報は出来ないでしょ?』
『そっか・・・・。それじゃ、やっぱり私達がやるしかないのよね。』
『そういう事。でも、不思議ね。今から一戦交えるって言うのに、私ワクワクしてるわ。』
『モー子さん・・・・それは私もよ。』

頭の中で会話を終えると、2人は視線を交わして微笑みあった。
それだけで、2人が同じ事を考えているのがわかる。
まるで、護衛育成学校時代に戻ったみたいだと、2人とも思っていた。
2人が組めばいろんな意味で最強だったから・・・・・。

「美緒、大丈夫か?」

キョーコが座らされた斜め後ろにいる、尚が馴れ馴れしく小声で話しかけてくる。
折角いい気分になっていたのに、一気に気分が悪くなる。
出来れば一番遠くにいて欲しかったのに・・・・・・。

「・・・・美緒・・・・・怖い・・・・・腕も痛いし・・・・・・。」
「すぐに助けが来るから・・・・・俺のガードが何とかしてくれるから怖がらないで。」

本当に、キョーコだと分かっていないのだろうか?
美緒だと思っているのならそれに越した事はないのだが・・・・。
紳士的な尚の言葉に、キョーコは心の中で舌をだしていた。

「もうすぐあんたの助手がデーターを持ってこの船に来る。それさえ手に入ればもうここに用はない。」

その言葉に、手下達は、カバンから何かを取り出した。
手にしていたのは爆弾。

「船にこいつを仕掛ける。俺達はデーターを頂いたらこの船からおさらばさせてもらう。あんたらは船と共に楽しいパーティーを続けるといい。」

その言葉に犯人達はにやりと笑う。
だが、これで予定は大きく狂った。
万が一の為に、予定外の事になった場合の対応策は練ってあるが、その為にはこの会場を出なければならない。

「あ、あの・・・・・・・。」

キョーコは弱々しい声を上げた。

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Master and Servant 29

2011/04/13 (水)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

船室に1人戻ったキョーコは、部屋で時間を持て余していた
先ほど、飛鷹が頼んでくれたボーイが食事を持ってきてくれた。
デザートも食べ終わったが、やはり1人の食事は味気ない。
蓮達とそろって食事をするのが当たり前のようになっていた事をこんな時実感する。

「蓮様、ちゃんと食事してるかなぁ・・・・・。社さんは甘いから・・・・・。」

言わなければいけない事はちゃんと言うが、それでもなんだかんだと、社は蓮に甘い所がある。
主従関係を抜きにしても、お互いに信頼しあっているのが側にいて良くわかる。
そんな2人を側で見ていると羨ましくなる。

「はぁ・・・・。一体どこにいるんだろう・・・・・。」

未だに消息のわからない相手の事を思い、ため息をつきながら備え付けのソファーに身を沈めた。
ガードの仕事は常に気を張っていないといけない為、今日は誰も守らないで言いと言う事もあり、船に揺られながらいつの間にか眠り込んでいた。
だが、その眠りは乾いた破裂音により破られた。
一体何が起きたのか・・・・明らかにクラッカーの音ではない。
ドアに近づくと床に耳を近づけ通路の様子を伺う。
慌しい足音と共に、何か怒鳴るような声がする。
やがてその音はキョーコの居る船室から遠ざかっていった。
キョーコはそっと船室の扉を開けた。
通路を歩く武装した男達・・・・。
銃を突きつけられ歩く奏江達が見える。

――――― モー子さん達・・・・・一体何があったの?

状況が分からないだけに、ここで助けに飛び出して何も解決はしないだろう。
それに、奏江と飛鷹だけならまだしも、その後ろに尚もいる。
ここで正体を明かすことは出来ない。
キョーコは気づかれないように、そっと部屋の扉を閉めた。

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Master and Servant 28

2011/04/07 (木)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

夕食の後、蓮は宝田に部屋に呼ばれキョーコの探している人物の話を少しではあるが聞く事が出来た。

「その人物はな、キョーコが幼い頃に1週間ほど一緒に過ごしたらしい。その時事件に巻き込まれてな。その後、キョーコはその人物を生涯の主にしようと思ったらしい。でも、そいつはある日突然姿をくらましたんだ。」

ため息をつきながら、葉巻に火をつける。
その明かりを蓮はぼんやりと見ていた。
宝田の話は、以前にキョーコが教えてくれた話と同じだった。
だが、宝田ならその人物についてもっと詳しく知っているに違いない。

「その人物は一体どうして姿を?」
「それはなぁ・・・・おまえなら分かるだろう。家の名前に押し潰されそうになっている人間の気持ちが・・・・。」

その言葉に、蓮はグッとコブシを握り締める。

「もうそろそろいいんじゃないのか?おまえはもう立派にやっていけると思うがなぁ・・・・。敦賀も喜んでたぞ。傾いていた会社をここまで盛り返してくれたって・・・・・。」

感心するようにそう言って蓮の様子を伺う。
しかし、蓮は苦い顔をしていた。

「今は俺の話はいいでしょう。その人物の名前とかは分からないんですか?」
「知っているとして、おまえはその人物を本気で探すつもりか?それとも興味本位でか?」

蓮の心を見透かしたうえで、試すように問う。
先程も聞かれた質問・・・・。

「もちろん、ちゃんと探します。」
「もし探し当てたとして、その後はどうするんだ?彼女をその人物の所に笑って送り出してやれるのか?」

そう言われ、すぐに答える事ができない。
会わせてあげたい・・・・・・でも、その後は?
その人物の所に行ってしまえば、もう2度と自分の所で働く事はないだろう。

「俺は・・・・・。」

言葉がうまく出てこない。
昔の自分なら1人の人間にこんなに執着する事などなかった。
いつも一定の距離を保って来た。
それが、いつの間にかこうしてキョーコを追いかけてこの屋敷まで来てしまっている。

「おまえが誰かに執着するのはいい事だ。だが・・・・・好きにはなるなよ。」

意味ありげな表情で宝田は蓮に釘を刺す。

「な、何を突然そんな事・・・・・俺は別に・・・・・・。」

急に心の中を読まれ蓮は焦る。
言いよどむ蓮に、宝田は尚も言葉を続ける。

「主従関係の男女間に恋愛は禁止されてる。もしそうなれば・・・・お前も契約書を読んで知っているだろう?」

ガードが契約違反をして解雇されたとしても、その雇い主さえ許可すれば、もう一度雇う事が出来る。
だが、主従どちらかが恋心を抱き、その事を口にしたならば契約は破棄され、相手が恋心を抱いていなくても2度とその相手に仕える事も、そして会う事も許されない。
主が仕えている者と恋愛関係になる事は許されない世界。
立場もそして住んでいる世界も違うのだ。

「俺の知り合いでそうなった2人を知ってるが・・・・・結局その2人は幸せになれなかった・・・・・・。」

宝田は昔の事を思い出したように、悔しそうな表情を見せた。
その様子を、蓮は何も言えずただ黙って見る事しか出来ない。

「まぁ、おまえも分かってるだろ?自分の立場ってものを・・・・。結局責められるのはいつだって立場の弱い者だ。俺はな・・・あの娘には幸せになってもらいたいんだよ。だから、いくら相手がお前でも、LMEの社員はわが子同然だからな。社員を守る為にも俺は反対だ。」
「俺は別に・・・・・・・・。」

はっきりと違うと否定する事が出来ない。
今日この屋敷を訪れたのは、只単に宝田にしてやられた悔しさだけではない。
蓮の気持ちも行動も、宝田にはお見通しなのだろう。
黙り込む蓮に、宝田は一息つく。

「まあ良い・・・・・。それより話を戻そうか。彼女の探してる相手・・・・・もし見つかったら、一番におまえに教えてやるよ。」

何か企むように、ニヤリと笑う宝田の顔が蓮の頭に過る。

「絶対、何か知ってて隠してるな・・・・・・。」
「何か言ったか、蓮?」

お茶を入れていた社が蓮の独り言に答える。

「いえ、何も。」

蓮は首を振って、窓際に立つと空を見上げた。
静かな夜のひと時・・・・。
いつもなら、キョーコがお茶を淹れ、冗談を言ってからかって怒られて・・・・・それが当たり前になっていた。
数ヶ月前からは考えられないくらい、いないと寂しく思えてしまう自分に苦笑する。
そして、宝田に釘を刺された言葉に蓮は凹んでいた。
だが、その静寂を破ったのはこの宝田会長の秘書だった。

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Master and Servant 27

2011/04/01 (金)  カテゴリー/Master and Servant 全62話完結

なんとなく視線を感じ、その視線を確認するとそこにはキョーコと一緒に居るはずのない人物が立っていた。
キョーコの顔はこわばっているのが遠目でもはっきりと分かる。
最年少の将来有望な少年と、一言でも話そうと群がっている人々を掻き分け、奏江は飛鷹に耳打ちする。
その言葉に慌ててキョーコの元へとやって来た。

「これはこれは、天才少年の上杉君。お初にお目にかかります。」

からかうようにそう言って、丁寧にお辞儀をする。
飛鷹はムッとしながら尚を睨んだ。

「そんな怖い顔しないでほしいなぁ。何度もアポを取ったのに、いい返事をもらえないからこうしてツテを頼って来たんですよ。」

嘆かわしげにそう言って飛鷹と奏江を見る。
どうやら、キョーコの事はまだバレていないらしい。
それならば、キョーコと悟られないように振舞うしかない。

「不破さんって、飛鷹君に会いに来たんですか?」

会話のながれなら、誰だってするような質問をして様子を伺う。
自分がキョーコとバレていないならそう聞くのが自然だろう。

「実は探している人がいんだけど、誰も行方を知らないっていうから・・・・。でも、彼女の親友ならきっと知ってると思ってね。美緒さんも彼らと知り合いなの?」
「えっ!!あ・・・はい。私の友達が来る予定だったんだけど、行けなくなったから代わりに・・・・・。」

なんとなくそれらしい理由をつけてキョーコはこの場を何とかやり過ごす。
話の流れで、まだキョーコだと気が付いていない事を悟った2人は何とかキョーコをこの場から退場させようと考える。

「話なら、向こうで聞くわ。美緒は部屋で休んでなさい。」
「う、うん。それじゃ、不破さんごきげんよう。」
「ああ、話が終わったらゆっくり付き合ってよ。この前は邪魔が入ったから。」

それは明らかに蓮の事を指しているのだろう。
だが、蓮があそこで助けてくれなければどうなっていたか・・・・・。
軽くウインクされ、キョーコはげんなりしながら部屋へと戻っていった。

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