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Another ★World 47

2010/10/26 (火)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

控え室で台本を眺めながら壁に掛かっている時計をチラリと見る。
その様子に、すかさず社が声をかけた。

「蓮、気になるんなら、止めれば良かったんじゃないのか?」

一週間程、キョーコは蓮の仕事の様子や体調管理などを把握する為同行していた。

「そう言えば、キョーコちゃん明日から2日ほど別行動だけど、どこか行くの?」

スケジュールの確認をしていた社は、キョーコのスケジュールを見てそう訪ねた。

「その日は実家に・・・・社長さんが折角帰ってきたんだら、お母さんに近況の報告に行って来るといいって言って頂いたので・・・・・・・折角なのでショーちゃんにも会いに行こうと思ってるんです。」

思わぬキョーコの言葉に社と蓮は顔を見合す。
驚く2人に、キョーコは言い難そうに言葉を続ける。

「本当は会うつもりなかったんですけど・・・・敦賀さんと仕事をするんなら、ちゃんと会って話した方がいいと思いまして・・・・・。」

もしショータローがこの事を知ったら・・・・・もしかしたら2年前から騙されてたと思うかもしれない。
キョーコは考えあぐねた末に、やはりちゃんと会って話した方が言いという結論に至った。
そうしなければ、蓮に迷惑がかかるかもしれない。

「確かに・・・・・・彼にはちゃんと説明しておいた方がいいかもしれないね。これから俺と仕事をする事を、彼がどこかで聞いたとしたら・・・・事情の知らない彼なら誤解するかもしれないしね。」

もし、本当に社長が絡んでいなかったとしても、蓮でさえ疑っていたのだから、何も知らないショータローが聞けば勘ぐられても仕方ない。
そうなれば、責められるのはキョーコ本人。
蓮の言葉にキョーコは頷く。
だが、社は腑に落ちない。

「そんな事言っても、蓮もキョーコちゃんもこうなるとは知らなかったんだから・・・・。」
「そうですけど・・・・いつかはショーちゃんと会わないといけないと思ってたんです。いい機会だから行ってきます。」

キョーコの言葉に、蓮も考えていた事があった。
ずっとこのままという訳には行かないだろう。
蓮も、不破とは一度ちゃんと話したいと思っていた。
そうしなければ、今後キョーコに気持ちを伝えるとしても、後ろめたさが残ってしまう。
どこかで、彼と決着をつけなくてはいけないと。
それはキョーコも同じなのだろう。
そう思えば、引き止める事も出来ず、キョーコは実家へと帰って行ったのだった。

「それじゃ、社さんお疲れ様でした。」
「明日は事務所集合でいいんだよな。」

最後の仕事が珍しく早く終わり、事務所に戻って来た蓮は、社に挨拶を済ませ帰ろうと踵を返した。
蓮の後姿を見送っていた社は、不意に鳴った携帯の表示に小首を傾げる。
その表示は登録されていない番号だった。
警戒しながら出た電話・・・・・相手の声に、聞き覚えがある。

「蓮!?」

駐車場に向かう蓮を慌てて追いかけ、社は引き止める。

「・・・・お前に代わって欲しいって・・・・・・。」

社が心配そうな顔でオズオズと携帯を差し出した。
その表情だけで、大体電話の相手は想像できる。
蓮は携帯を受け取ると、社に断りを入れ携帯を手に1人になれる場所へと歩いていった。

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Another ★World 46

2010/10/20 (水)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

その日、キョーコは久しぶりに実家へと戻ってきていた。
母に帰国した事と、自分が見つけた仕事の話をする為だ。
それに・・・・・・。

「女将さん、ご無沙汰してます。」

2年ぶりに訪れた松乃園。

「キョーコちゃん!?まあまあ、すっかり大人っぽくなって。一瞬誰か分からんかったわ。」

久しぶりに再会に、女将さんは喜びの声をあげる。

「どないしたん。帰ってくるんやったら連絡くれれば迎えに行かせたのに。」

女将さんは嬉しそうな表情を浮かべる。
だが、キョーコは女将さんに歓迎される事が心苦しい。
自分の我侭でここを出て行ったとキョーコは思っているから。

「帰国したので母に報告に・・・・・・・・それで・・・・・・・。」

ショータローに会いに来たなどと言い難い。
言いよどむキョーコに、女将さんは優しく微笑む。

「ショータローやったら、この時間は茶室でお客さんの相手してるはずやわ。」

普通では出来ない、お茶をたてる体験をお客さんにしてもらおうと始めたこの企画が好評らしい。
キョーコは久しぶりに旅館内を歩きながら、不思議な気分だった。
長い間過ごしてきた旅館なのに、知らない空気が漂っている。
知らない仲居がいるとか、そんな事ではなく旅館自体が昔より活気があるように思えた。
渡り廊下を歩き、庭園の見える茶室に向かう。
ちょうど、体験を終えた客達が口々に先生がかっこ良かったなどと言いながら、楽しそうに本館へと戻っていく。
キョーコはドアに手を掛け、自分を落ち着かせるように深呼吸した。
そして、意を決して扉に手を掛けた。
だが、それより先に、茶室の扉が開いた。

「すみません、さっき終わった所なのでお抹茶体験は次回の夕方・・・・・・・キョー・・・コ・・・・・。」

宿泊客だと思い、話しかけた相手にショータローは驚きの表情を見せた。
キョーコも突然扉が開いた為、驚く。
だからといって、いつまでもほおけている場合ではない。

「シ、ショーちゃん久しぶり・・・・・・・・。」

ぎこちないキョーコの言葉に、ショータローは懐かしそうに笑った。

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Another ★World 45

2010/10/13 (水)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

覚悟はして来たつもりだったが、否応にも緊張してしまう。
そんな待ち時間に帰ってきた社のメールに、キョーコは少し救われていた。

「私は良いけど、社さんは忙しくないのかしら?」

担当俳優が多忙なはずなのに、暢気にキョーコを食事に誘って大丈夫なのだろうか?
そんな事を考えていると、社長の秘書に声を掛けられた。

「最上さま、社長がお呼びです。」

その言葉に一気に緊張が戻ってくる。

「失礼します。」

扉を背にして座る2人の後姿・・・・・。
だが、緊張の余りその後姿を冷静に見る事ができなかった。
そして、蓮と社もそれは同じようで、その声に気づけなかった。
キョーコは社長に促され、彼らの前へと進みる。

「紹介しよう。アメリカでお前のマネージメントをしてもらう最上君だ。」

顔をあげたキョーコも、そしてキョーコの姿を視界に捕らえた蓮も社も驚きを隠せない。
そして、誰もが耳を疑った。
突然のサプライズに、3人は驚きのあまり誰も話さない・・・・いや、話せない。

「彼女は“クー・ヒズリ”の元で向こうのマネージメントを学んで来た。これからは彼女を交えて、蓮のサポートをしてもらう事になった。」

そんな驚く3人に満足したのか、社長は楽しそうに話を続ける。

「日本でのマネージャーは引き続き社に任せる。最上君と念入りに予定を立ててくれ。これから忙しくなるだろうからな。」

残された3人は、何から話せばいいのか、何を聞けばいいのか分からず戸惑う。

「まさか・・・・最上さんが向こうでの俺のマネージャーだなんて・・・・・。」

いまだに信じられない様子で、蓮は向かいに座るキョーコを見る。
目の前にいること自体、いまだに信じられない。

「だから、1年前帰国した時に付き人の真似事みたいな事してたの?」

あの時はジュースやお茶を大量に抱え込み、そのせいで蓮と社に再会したのだが・・・・・。
社の質問に、キョーコはただ頷いた。
前に社と事務所であった時も、多くを語れず、その話もしていなかった。
その事がずっと後ろめたかったのだが・・・・・。

「実は・・・・・先生の家で、ただホームステイしてるだけじゃ勿体無いから、先生について仕事先に行ったりして、そこでいろんな人と会話して・・・・・・。そのうち、付き人みたいな真似事をさせてもらうようになって・・・・・・。」

事情を知らないだろうと思い、キョーコは掻い摘んで説明する。
社長からは、余り詳しい話はしないように言われている。

「それで・・・ちょっと手伝って欲しい事があるって言われて・・・・・でも、まさか敦賀さんのマネージャーをする事になろうとは思いもしませんでした。」

その笑顔を、蓮は見定めるようにじっと見ていた。
本当は困っているのではないだろうか?
自分に付く事を、キョーコがどう思っているのか、不安になる。
なにせ、以前帰国した時は結局ちゃんと話しさえ出来なかったのだ。

「最上さん・・・・・まさかと思うけど・・・・社長が無理にさせてるとかって事・・・ないよね?」

あの社長の事だ。
キョーコの事をいまだに自分が想っている事などお見通しだろう。
ハリウッドの話を途中でやめると言わせない為に、彼女を自分に差し向けたとしてもおかしくはない。
もしそうなら、キョーコにとっては迷惑な話だろう。
こんな形で、彼女の夢に割り込む事などしてはいけない・・・・・。
困惑しながら、蓮は恐る恐るキョーコに聞く。
だが、キョーコの表情はにこやかだった。

「・・・・確かに最初は戸惑いましたけど・・・・今は楽しいし、やりがいのある仕事だと思ってますよ。先生についていろんな所に行って、いろんな人と話をして・・・・旅館の仕事とはまったく違うけど・・・・俳優さんや周りの方への気遣いとか、細やかな心使いは同じだと思うんです。」
「そう・・・・それなら・・・・いいんだ。」

そのまま、キョーコは社と2人で今後のスケジュールの話を始める。
そんな2人のやり取りを、蓮はただ黙って見守っていた。
まじめな顔で、社と話すキョーコ。
自分の意思で、ここにいると言うのなら蓮にしてみればこんなに心強い事はない。
一通り、これからの事を話した後、社は気を利かせて部屋を出た。
2人で積もる話しもあるだろうからと・・・・・。

「俺がサプライズするつもりだったのに・・・・・社長には敵わないな・・・・・。」

そう呟いて、社は近くの椅子に座る。
折角、久しぶりに蓮とキョーコを再会させようと目論んでいたのに、社長のサプライズに自分も巻き込まれてしまった。

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Another ★World 44

2010/10/05 (火)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

社長から、蓮が見送りに来ると聞かされたが、やはり会う訳には行かない。
だからと言って、社の言葉も気になっていた。

「社長さん・・・・これを敦賀さんに渡していただけませんでしょうか?」

恐る恐る差し出した二つ折りにした一枚の紙。
急いで切ったため、切り口がギザギザになってしまった。

「直接渡せばいいじゃないか?」

隣にいたクーにそう言われ、キョーコは困ったように俯く。

「最上君は彼に会いたくないのか?」
「・・・・・会いたくないと言うよりも・・・・私にはまだ会う資格が・・・・・。」
「まだ、自分に自信がないと?」

こんな話、前にも一度宝田社長としたような気がする。
あれは確か、社長がキョーコに初めて会いに来た時だった。
あの時も、蓮について出てこないかと言われ、資格がないと断った。

「自信と言うか・・・・語学の勉強は十分出来てると思います。只、仕事の方はまだまだなんです。だから・・・・。」
「キョーコは十分やってくれてると思うがな・・・・。俺に付いてあちこち駆け回って、最近ではトラブルも治めてくれてるし・・・・・・。俺が認めてるのに、お前は何がそんなに不安なんだ?」

クーも何処に出しても恥ずかしくないくらい立派な仕事ぶりだと思っている。
だが、本人が納得しない限り周りが何を言っても無駄だろう。
特に、目の前にいる娘に関しては・・・・・。
とにかく、根性があると言うか負けん気が強いと言うか・・・・・。
教えられた事はすぐに飲み込み、自分のものにしていく。
そんな性格ゆえ、クーも周りも教えがいがあった。

「先生はもともと大物俳優じゃないですか・・・・・。私がもし宝田社長に認められたとして、大事な俳優さんをお世話する訳ですよね?」
「まぁ、そうなるが・・・・クーに聞いた限りじゃ、君はもう十分やっていけると思うが?」
「そう言ってもらえるのは本当に嬉しいです。でも・・・・もう少しだけ時間が欲しいんです。自分が納得出来ないといい仕事は出来ません。」

言い募るキョーコ。
確かに、キョーコの言い分は正しいかもしれない。
他人の評価を真に受けるよりも、自分自身がこれでいいと思えなければいい仕事は出来ない。

「キョーコの気持ちは良く分かった・・・・。無理に連れてきて悪かったな。」

クーの言葉に、キョーコは首を横に振った。

「そう言う訳だから、ボス・・・・・もう少しキョーコは預からせて貰うよ。」
「仕方あるまい・・・・。本人が納得してなければ意味がない。」
「彼によろしく伝えてくれ。」

こうして、キョーコは蓮に会うことなく帰国していったのだった。
そうしてまた、1年がたった・・・・・・・・。
キョーコは再び、今度はひとり日本へと帰って来た。
着いた足で、LMEへと向かう。
約束の時間には少し早いが、何事も早めの行動が大事だ。

「長旅ご苦労だった。もう少ししたら、来ると思うからここで待っていてくれ。」
「はい。」

ひとり残された部屋で、キョーコはアメリカでの最後の日の事を思い出す。
この1年、今度はクーにではなくジュリについて仕事をしていた。
男性と女性ではケアの仕方も違うし周りへの接し方も違う。
どちらに付くとも分からないキョーコにしてみれば、本当に環境に恵まれていた。
アメリカを立つ前、ジュリは号泣してキョーコを放してくれなかった。
前もって、旅立つ日にちもちゃんと伝えていたはずなのに、いつまでもごねるジュリにキョーコとクーは2人がかりで慰め、再び仕事で戻って来た時には必ず顔を出すからと約束をして、何とか帰国してきたのだ。
残して来たクーの事が少し心配になる。
本当に、仲のいい夫婦だった。
そして、クーはキョーコの中では尊敬する父親像になった。

「一体どんな人と私は仕事をするんだろう・・・・・・。ハリウッドに呼ばれるくらいだからきっと大物なんだろうな・・・・・。気難しいおじさんだったらどうしよう・・・・・・。」

相手の事を何も聞かされていなかったキョーコは、期待と不安でいっぱいだった。
本当に、ちゃんとやっていけるのだろうか?
クーにしてもジュリにしても、ちゃんとした土台があった為、キョーコは難なく仕事をこなせた。
売り込みも、“クー・ヒズリ”と言うネームバリューがあったからこそだったのだと今では思う。
今度は1から、担当する俳優を売り込まなくてはならない。
その人が売れるか否か、キョーコの腕にもかかっているのだ。

「そうだ・・・・。社さんに連絡しなくちゃ。」

約束を一度守れなかった事を気にしていたキョーコは、帰国した事を短いメールにしたためた。

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