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Another ★World 34

2010/07/24 (土)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

虫の声と川のせせらぎが聞こえる草むらを目的の場所に向かって歩いていく。
初めて来た時は、退屈を紛らわせる為だった。
久しぶりに来た時は懐かしさと、もしかしたら彼女に再会できるかもしれないという好奇心からだった。
そして今、蓮はもう一度会いたいという思いを胸にあの思い出の場所を目指す。

「ドラマじゃあるまいし・・・・・そううまい話があるわけ無いか・・・・・・。」

辿り着いた思い出の川原。
そこには誰も居なかった。
近くの岩に座ると夜空を見上げる。
久しぶりにここを訪れた時も、月が綺麗に輝いていた。

「俺は・・・・・何を期待しているんだ?」

自問しながら、ため息をつく。

「アメリカに行くって言ってたっけ・・・・・・。俺がアメリカに帰れば、彼女に会えるんだろうか・・・・・。」

普段なら、決して思いもしない言葉を口にして蓮は再びため息をつく。
何の接点も持たなくなる今、蓮にはもうどうして良いのか分からない。
今まで、何人か付き合った経験上、別れて未練など残すことなど正直なかった。
なのに、キョーコの事になると、もどかしい気持ちになる。
どうにかして、居場所を聞き出せば良かったのだろうか。
もっとしつこく食い下がればよかったのだろうか。
結局、キョーコを困らせたくなくって何も言えなかった。
そして、ここで1人悶々としている自分が情けない。

「・・・・・そう言えば・・・・社長と何を話したんだろう。」

自分のスキャンダルの話なのだろうが、わざわざこんな所まであの忙しい社長がやって来たのだ。
それなりに何か企みがあっての事に違いない。

「だからって・・・・・あの人が素直に話してくれるとは思えないけど・・・・・。」

どうせ、蓮の想い人に興味を持って訪ねて来た事は明らかだろう。
何せ、社長は何だかんだ言いながら、蓮には甘い所がある。

「素直に話してくれるとは思えないけど・・・・・・。」

蓮は携帯を取り出すと、電話をかけた。

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Another ★World 33

2010/07/17 (土)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

部屋に戻り、キョーコは荷造りを済ませる。
母に借りたアタッシュケースには、実家で詰めた荷物とこの家にあった荷物が収まっていた。
その他の送るものも、一度実家に送ってから向こうに送る手はずになっている。
そんなややこしい事をするのも、ショータローに居場所を教えない為だ。

「後は・・・・・明日私がここを離れればいいだけね。」

本当に明日、ここを離れるのかと思うと複雑な気持ちになる。
今まで、ほとんどの時間をショータローの家で過ごした。
懐かしむように、部屋を抜けると旅館の中を歩く。
真夜中の旅館は静まり返っている。
ショータローと、よくかくれんぼした中庭。
慌しく料理を運んだ大広間。
お客様をおもてなしする茶室。
初めてここでお茶をたてた時は、本当に緊張して手が震えていたことを思い出す。
館内を思い出を胸に歩いていく。
さすがに母屋に行く事は出来ない。
一通り館内を歩いていると、向かいから女将がやって来た。

「キョーコちゃん・・・・・・さっき部屋訪ねたらおらへんみたいやったから。」
「すみません。最後にちょっと見ておこうと思って。」

仲居達の休憩室へとやって来たキョーコはお茶を入れると女将の前に差し出した、向かいに座った。

「女将さん・・・・・ショーちゃんにはちゃんと話しました。」
「そうか・・・・・。あの子は何て?」

さすがに蓮の事で脅されたとは言えない。

「最初は聞いてくれなかったけど、ちゃんと話して理解して貰いました。」
「そうか・・・・。それで?」

言葉を促すようにそう問われた。
だが、キョーコには続けるべき言葉が分からない。

「それで・・・・・・あの・・・・・。」
「アメリカにい行くんやろ?・・・・・その後、その後戻って来たらどうするんや?」

先のことなどまだ、考えてはいない。
もし、宝田社長の理想に沿えれば、もしかしたら将来LMEで働くかもしれないが、それはあくまで“もしも”の話。
それに、キョーコ自身も、今将来がどうとかよりも、目先のことで精一杯なのだ。
一体女将さんはキョーコの口から何が聞きたいのだろう。

「女将さん・・・・・・その後の事はまだ何も・・・・・・。」

困った様に、キョーコは首を横に振る。
その様子に、女将は少し遠慮気味に話す。

「キョーコちゃんさえ良かったら、留学から帰ってきたらここで働いてもええんやで。このご時勢、外国のお客が多いし、少しでも語学に堪能なスタッフがおったほうがこっちも助かる。もちろん、ショータローの事は抜きにしてや。」

不安そうなキョーコの気持ちを汲んだのか、女将はそう言って笑いかける。
だが、その言葉は遠まわしにここに戻ってくる事を女将が願っているのが良く分かる。
出来れば、ショータローと再び一緒になって欲しいのだろうか。
キョーコに、振るならちゃんと振ってやって欲しいと言っていても、やはり母親。
自分の息子にも幸せになって欲しいのが現実だ。
不破家には恩がある。
でも、これだけは譲れなかった。

「女将さん・・・・・気持ちはとても嬉しいです。でも、私はここを離れた時点でここに戻ってくる資格は無いと思ってます。だから・・・・・・。」
「キョーコちゃん・・・・・悲しい事言わんといて。資格が無いのはショータローの方や。キョーコちゃんが敷居が高いって言うんやったら・・・・・・。」
「女将さん!!そうじゃなくて・・・・・うまく言えないけど、私はここではない場所で自分を作っていきたいんです。その為にここを離れる事にしたんです。だから・・・・・戻ってくる気はありません・・・・・ごめんなさい・・・・・・・。」

本当はこんな言葉女将さんに言いたくはなかった。
でも、この事だけははっきりさせておかなくてはいけない。
もう、ショータローの婚約者でもなければ若女将でもない。
息子の幼馴染で、よくこの旅館に預けられていた知り合いの娘。

「そ・・・・・そうか・・・・・・。キョーコちゃんがそこまで言うんやったら、うちはもう何も言う事はないわ。」

少し動揺しているのが分かる。
キョーコがここまではっきりと女将にたてついた事など今までなかった。

「明日の朝、チェックアウトしてここを出ます。他の皆さんには明日出発する前に挨拶していきます。」

仲居のみんなには良くしてもらっていただけに、黙っていくのは気が引ける。
最後ぐらいちゃんとお礼を言っておきたいし、自分が何処へ行って何をしたいかを話しておく必要があった。
みんな心配してくれたので、ちゃんと話しておきたいのもあるが、蓮よりも先にここを出なければ、仲居の間で変な噂が広がるかもしれない。
たとえショータローがリークしなくても、何処でどう噂が広がるか分かったものじゃない。
女将と別れ、キョーコは再び懐かしむように思い出の場所を彷徨い歩いた。

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Another ★World 32

2010/07/06 (火)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

時計を見ながら、時間が早く来て欲しいような来て欲しくないような・・・・・。
ソワソワしながら、社も約束の時間になるのを待っていた。
自分でもこんなに落ち着かないのに、当の本人は一体どんな気持ちでいるのだろう。
少し早く行こうかと思い立ち上がると、不意に部屋のチャイムが鳴った。

「キョーコちゃん?」

のぞき窓の向こうに見える相手に“?”マークを浮かべながら慌てて扉を開く。

「・・・・・・蓮の部屋って言ってなかったっけ?」

約束の時間にはまだ早い。
首を傾げながらも、立ち話もなんだとキョーコを部屋へと招き入れた。

「すみません・・・・・ひとりで敦賀さんの部屋に行く勇気がなくって・・・・社さんと一緒に行こうかと・・・・。」

申し訳なさそうな、情けない顔をしてキョーコは誤る。
これから話す事で、2人の人間の人生を左右するかもしれないと思うと、緊張しすぎてひとりで居られなかったのだろう。

「まぁ、気持ちは分かるよ・・・・。俺としては蓮と一緒に行ってほしかったんだけど・・・・・キョーコちゃんが決めたんなら仕方ない。」
「すみません・・・・・。折角心配してもらった挙句にご期待の添えませんで・・・・・。」

再び、申し訳なさそうに深々と謝る。
そんなキョーコに苦笑しながら、社はペットのお茶を差し出した。

「ねぇ、キョーコちゃん。連絡先とか教えてくれない?」
「それは・・・・・・・・・。」

社に教えれば、蓮にもばれかねない。
このことは誰にも知られないように極秘に進めなくてはならないのだ。

「ごめんなさい・・・・・社さんにも教えられないんです。」
「俺に話したら、蓮に筒抜けだから?」
「そうじゃなくって・・・・・・。」

騙しているようで心苦しい。
いっそうの事、LMEがらがらみだと言ってしまいたくなる。 

「絶対蓮には言わないから・・・・・俺って信用ない?」
「そんな事ありません・・・・・でも、社さんや敦賀さんと連絡を取ったら、ショーちゃんにも場所を教えなくちゃいけなくなっちゃいます・・・・・。」

慌てて社の言葉を否定する。
そんなキョーコの心情を社は感じ取ったのだろう。

「ごめんね、キョーコちゃん。確かに俺達に教えたら彼にも教えないとフェアーじゃないか。でも、女将さんには?女将さんにも教えないの?」
「それは・・・・・女将さんにも教えないつもりです。連絡は母を通して・・・・・・いえ、私が自分で成し遂げたと思えるまで、誰にも連絡は取りません。」

その言葉は、キョーコの決意の表れだった。
知らない場所で、ひとりで新しい事をする。
そのために、弱音を吐かない為誰とも連絡を取らない・・・・・。

「・・・・・・キョーコちゃんの決意は良く分かったよ。」
「本当に・・・・社さんには感謝してます。会って間もない私の話を親身になって聞いて下さって。本当にありがとうございます。」

深々と感謝の気持ちを込めて頭を下げる。
その様子を、社は複雑な心境で見ていた。
社がキョーコの話を聞いているのはキョーコの為でもあるが、蓮の為でもある。
少しでも、キョーコが蓮の事を思っているのなら・・・・・隙あらば説得をなどとやましい事を思っていただけに、素直に感謝されると心苦しい。

「キョーコちゃん・・・・感謝してくれてるなら一つ、俺の頼みをひとつ聞いて欲しいんだけどいいかな?」
「なんでしょうか?」

どんな事を頼まれるのか、キョーコは首を傾げる。
これだけ言っているのだから、社が無茶な事を頼んでくるとは思えないが・・・・・。

「もし、キョーコちゃんが戻ってきたら・・・・・・一番最初に俺に連絡もらえないかな?」
「社さんにですか?」

どうしても、蓮に迷惑をかけたくないと思っているキョーコの事だ。
自分から連絡を取る事など絶対にしないだろう。
それでは、蓮との縁が途絶えてしまう。
どんなに細くて切れそうな糸でもいい・・・・・・何かキョーコと再び出会える足がかりのようなものが必要だと社は考えていた。
蓮が連絡をして欲しいなどと絶対に言わない事も解っている。
だったら、自分が2人の糸を繋ぐ存在になるしかない。

「これでも一応キョーコちゃんの事、妹みたいに思ってるんだよ。だから、キョーコちゃんが自分で納得できるようになったら、俺に連絡して欲しいんだ。それもダメかな?」

なるべく重くならないように、さりげなく尋ねてみる。
もしこれで、ダメだといわれたらもうこれ以上取り付くしまもない。

「社さんにそんな事言ってもらえると、嬉しいです。・・・・・もし私が自分に納得して戻って来たら、最初に社さんに連絡します。」

社にそこまで言われれば、無理ですとも言えない。
それに、戻ってきたらキョーコは社の同僚になるかもしれない。
それはキョーコ次第だが・・・・・。
あっさり連絡をくれるといわれた事に拍子抜けしながらも、念を押す社に苦笑しながらキョーコは時計を見た。

「社さん、そろそろ行きましょうか。もしショーちゃんが先に来てたら、それはそれで怖いですし。」

同じ部屋に2人でいる事を想像して、社は身震いする。
険悪な雰囲気の中、無言で待っている2人・・・・・・。

「キョーコちゃん、早く行こう。何か起こる前に早く。」
「あっ、社さん。待ってください。」

キョーコの心の準備もまだ終わっていないまま、急ぐ社の後ろをキョーコは慌てて追いかけた。

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