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古城の華(3)

2009/08/29 (土)  カテゴリー/古城の華 全18話完結

少し時間の遅かったせいもあるのか、やはり温泉には誰もいなかった。
部屋のお風呂もアンティークで良かったのだが、やはり疲れを癒すには温泉だろう。
しばし、広い湯船を独り占め。

「それにしても・・・・・・敦賀さんあれからどうしたかな?」

ボンヤリ先ほどの気まずい食事の事を思い出して、ため息をつく。
気まずすぎてゆっくり味わって食べれなかった。

「ロケに行く度あんな感じなのかしら?社さんも大変だな・・・・・・・。」

独り言がお風呂場に響き渡る。
誰もいない貸切状態の温泉を暫く満喫する。

「そろそろ上がろっと、明日に備えて早く寝ないとね。」

髪を乾かすのもそこそこに温泉の入り口の扉を開けると、予想外の人物がそこにいた。

「つ、敦賀さん!?どうしたんですか?そんな所で?」
「え?いや・・・・・・その・・・・・・」

温泉に入った人がくつろげるスペースに蓮が座っていたのだ。
実は後から合流したスタッフ達に未亜を押し付け、フェードアウトし部屋に戻ろうとした時にキョーコが温泉に入るのを見かけて待っていたのだが・・・・・・・そんな事、言えるわけも無く・・・・・・キョーコの問い掛けにしどろもどろしている。
しかも、出てきたキョーコの濡れ髪姿に、己の理性が葛藤していた。
思わず、抱きしめたい衝動に掻きたてられるのを、少ない理性で押さえ込む。

「もしかして、敦賀さんも温泉に入りに来たんですか?」
「ああ・・・・そう・・・・そうなんだ。・・・・・でも、込んでるみたいでね。」

そう言いながら蓮はキョーコと目が合った。
その瞬間、抑えていた理性が吹っ飛んだ。

「最上さんこそどうしたの?髪も乾かさないで?」

座ったまま、キョーコの濡れ髪にそっと手を伸ばし指に絡める。
その妖艶な表情と仕草にキョーコは瞬く間に固まった。
それはまさしく夜の帝王。
しどろもどろしながら、何とか言葉を搾り出す。

「あ、あしたに・・・・・・・備えて・・・・・早く休もうと思いまして・・・・・・・・・。」
「そう。でもちゃんと乾かさないと風引くよ?」

蓮の表情に耐え切れなくなったキョーコは俯きながらそう言うのが精一杯。
―――――私、苦手なのよ・・・・・・夜の帝王の敦賀さんって。座ってるから顔が・・・・・近いし。
髪に触れる指先に、心臓の鼓動が早鐘の如く鳴る。
それを聞かれたくなくて、少ない気力を振り絞り、思わず一歩下がった。

「最上さん?どうかした?」
「い、いえ・・・・・敦賀さん、そろそろ戻りませんか?」

キョーコに一歩退かれた事に軽くショックを受けながらも、キョーコが一歩手の届かない所に離れてくれた事で、我に返ったのか心の隅で少しホッとしながら、このまま此処に居るのもまずいと思い部屋に送る事に。

「でも・・・・・・敦賀さんが温泉って・・・・・何だかイメージわきませんね。」
「そうかな?」

キョーコは想像して笑ってしまう。
―――――だって・・・・・頭にタオルとか乗せてる敦賀さんって・・・・・・。

「っぷぅ~!?」

自分の想像に噴出してしまう。
―――――ナイナイ・・・ありえないって。あの敦賀蓮よ?

「何かな?その笑いは・・・・・・。」

蓮は怪訝な顔でキョーコを見やる。

「最上さんが何を思ったか知らないけど、俺だって温泉くらい入るよ?」
「・・・・・・そうですよね・・・・・・・すみません。」

恐縮して謝った。
蓮はと言えば、キョーコになにやら偏見をもたれた事に大いに凹む。

「送っていただいて、ありがとうございました。」
「いや、いいんだよ。それじゃ、明日ね。」
「はい。おやすみなさい。」
「おやすみ。」

蓮はキョーコと別れ廊下を歩きながら自分を誉めていた。
―――――偉いぞ俺。もう少しで最上さんに手を出すところだった・・・・・。濡れ髪は反則だろう?
そんな事を思いながら、自室へと戻っていった。

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古城の華(2)

2009/08/25 (火)  カテゴリー/古城の華 全18話完結

一人でワクワクしながら城の中を歩いていく。
時折、出会うスタッフと挨拶を交わしながら、パンフレットを頼りにお城の中を見て回った。
豪華なシャンデリアのある応接室、ダンスパーティーが開かれていたであろうホール。
否応無くキョーコをメルヘンの世界へと誘っていく。

「天蓋付きベットの部屋もあったんだ・・・・・いいなぁ。」

パンフレットの部屋紹介を見ながら、愚痴をこぼす。
長い階段をどんどん登って行くと見晴らしのいいバルコニーで出た。
緑に囲まれたホテルの景色は、先ほど階段を登った疲れも吹っ飛ぶほど爽快。
背伸びをしながら、景色を楽しむ。

「そうだ!!ここで台本でも読もっと。こんな所にわざわざ来る人もいないだろうし。」

踵を返し、階段を駆け下りていく・・・・・・しかし、さすがに100段以上ある階段を先ほど登ってきただけに、足は思った以上に疲労したいた。

「きゃぁ!?」

思いっきり階段を踏み外した。
―――――お、落ちる~!?
目を閉じ歯を食いしばった瞬間・・・・・・“ドンッ”
―――――あれ?止まった・・・・・・?しかも、この香り・・・・どこかで・・・・・。
恐る恐る顔を上げると、そこには少し焦った蓮の顔があった。

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古城の華(1)

2009/08/23 (日)  カテゴリー/古城の華 全18話完結

「最上さん、そんなにはしゃいでいると転ぶよ?」

蓮の声もどこ吹く風。
キョーコは間近に近付く建物に夢中だった。
今日から2時間サスペンスドラマの撮影の為にロケ地に来ていた。
もちろん主役は蓮。
舞台はドイツから移築したお城をホテルに改造した建物。
森の中にひっそりと佇んでいる。
今日から、ここに泊まるのかと思うだけで、ウキウキしてくる。

「日本にもこんなお城があるなんて知りませんでした。」
「そうだね。何でも先代のオーナーが大のお城好きで、趣味が高じて本物のお城を移築したらしいよ。」
「そうなんですか。凄いですね。」

キョーコに追いついた蓮が説明してくてた。
先々代のオーナーはドイツに住んでいた事があり、このお城にもゆかりがあったとか。

「最上さんって、お城とか好きそうだよね。」
「お城って言うよりも・・・・・・・・・・・・。」

あらぬ妄想が膨れあがる。
―――――お城では毎夜舞踏会が繰り広げられ、とある国の王子様がお城のお姫様に恋をするのよ・・・・・・・。でも、2人の恋は引き裂かれるの・・・・・・・。か、かわいそう・・・・・・。

「ヨハン~!?」

突然あらぬ方向を見ながら叫んだキョーコに蓮はギョっとなる。
またもメルヘンの国へ行ってしまったようだ。

「も、最上さん?」
「ハッ!?・・・・・・す、すみません。」

―――――また、やっちゃった・・・・・・・・。
恥ずかしくて顔が上げられず、俯いたまま歩いていく。

「蓮、キョーコちゃん。俺先に行ってチェックインしてくるから。」

後ろから追いついた社が、立ち止まって話す・・・・・蓮とキョーコの横をニコニコしながら通り過ぎる。

「えっ?社さん。私も行きます。」
「いいよ、いいよ。今回俺は同じ事務所として、キョーコちゃんのマネージャーも兼ねてるからね。」
「でも・・・・・・・・。」
「いいから、いいから。蓮と一緒にゆっくりおいで。」

“ゆっくり”を強調され、ニヤニヤしながら社はお城に入っていった。

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拍手お礼

2009/08/20 (木)  カテゴリー/感謝

『嘘つきな関係』も無事、完結しました。
最終話をUPした後、あんな終わり方でよかったのかなぁ・・・・
なんて少し思ってました。←私的には満足ですが・・・・。
まぁ、初めてあんな長いお話を書いたので、不安も大でして・・・・。
でも、皆さんに拍手を頂き、大変うれしく思っています。
もちろん、遊びに来てくださった方もありがとうございました。

完結することが出来たのも、皆様の温かい拍手のお陰です。
途中、煮詰まって“書くのを辞めようか・・・・”“何か新しい話を書こうか・・・・”
なんて思った時もありました。
でも、誰かが読んでくれてると思ったら書き甲斐がありました。


次回はオリジナルに登場しないキャラも出てきます。
勝手に登場人物増やすなよ!?
って方もいると思いますが、それを踏まえて読んでくださるとありがたいです。



以下、拍手お礼です。

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本誌感想・・・・・愚痴?

2009/08/20 (木)  カテゴリー/独り言

ACT.145読みました!?
衝撃です!?
あまりの展開に唖然・・・・・・・・。
そして・・・・・・思わず涙が・・・・・・・・・( p_q)
なんか、物凄く悔しい気分になったのは、私だけでしょうか・・・・・・・・。

以下、ネタバレ・・・・・・って程、書いてませんが・・・・・・。
ほぼ、感想と言うか愚痴ですφ(..) 
拍手お礼を書こうと思ったのですが、先に愚痴らせていただきますΣ( ̄◇ ̄*)
お礼は後ほど・・・・・・・。

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嘘つきな関係(53)

2009/08/19 (水)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

いつまでも、蓮から逃げていても仕方ない。
どうせ同じ会社に行けば、いくらと社長とはいえ、いつかは顔を合わせる事もあるだろう。
キョーコは意を決し頷いた。
飛行機が見える屋上に場所を移す。
手すりにもたれ掛かりながら、蓮の言葉を静かに待つ。

「こないだは・・・・・・・ちゃんと本心を言えなかったから・・・・・・・・聞いてくれる?」

頷くキョーコを確認して、蓮は一呼吸する。
今までで、こんなに緊張した事はないかもしれない。

「キョーコとは、キッカケは確かに嘘だったかもしれないけど、一緒に過ごした時間も、俺がキョーコを思う気持ちにも嘘は一つもなかったよ。」
「蓮さん・・・・・・・・、でも私は・・・・・・・・。」
「キョーコは、俺の事が嫌い?やっぱり今までの事は全部嘘だった?」

思い切り首をフル。
戻れるものなら戻りたい。
今、素直にならないと本当に後悔するような気がする。

「今度は嘘からじゃなくて・・・・・・・・・ちゃんと始めたい。最初から・・・・・・出会う所からもう一度。」

空港の雑踏の中、蓮の声だけが聞こえる。
キョーコだって、出来る物ならもう一度始めたい。

「私・・・・・・私は・・・・・・・。」

でも、その前に言わなければいけない事がある。
言っておかなければ、自分が後悔する。
蓮に嘘をつく事はもう出来ない。

「・・・・・・・・私、ショーちゃんとキスしたんですよ?そんな都合よく戻るなんて事・・・・・・・。」

思い切って告白した言葉に、蓮の顔がみるみる固まる。
怒っている訳ではなさそうだが、困惑しているようにも見える。

――――― やっぱり言わない方が良かったのかな・・・・・でも、黙ってるなんて私には出来ない・・・・。

「どんな風にそうなったの?」

少し後悔しているキョーコに、思いもかけぬ蓮の声が聞こえた。
キョーコの顔を覗き込むように、言葉の先を促す。
その顔は、初めて会った時の嘘つき紳士スマイルだった。
その頃の事を思い出し、キョーコはおかしくて笑う。
まさか、あの嫌味な客が最愛の人になるなんて思ってもみなかった。
突然笑い出したキョーコに、蓮は不思議そうな顔をする。

「キョーコ?」
「ごめんなさい・・・・・・蓮さんが出会った時と同じ顔して笑うからつい・・・・・。」
「出会った時って・・・・・・・キョーコが夜の店で働いてた時の?」
「そうです。蓮さん、初めてお店に来た時も、そんな胡散臭い笑顔で笑ってたの思い出しちゃって、つい。」

そう言って目に涙をためて笑う。
蓮も、初めて会った時、確かにそうだったと思い出す。
あの時は、宝田から話を受けキョーコの身辺を調べ、どうせロクでもないチャラチャラした感じだろうと決め込んで店にキョーコを見に行ったのだ。

「あの時は悪かったよ・・・・・・・・・で、話を戻そうか?」

誤魔化そうとして笑った訳ではないのだろうけど、やはり蓮には松太郎と何があったのか聞いておきたかった。
そんな具体的に聞かれても、キョーコだって突然の出来事だったので、余り憶えていない。
うる覚えのまま、ポツリと言葉を漏らす。

「抱きしめられて・・・・・・・その後は?」

蓮に聞かれ馬鹿正直に話すと、蓮はキョーコが話た通りにそっと抱きしめた。
そしてキョーコの説明するとおりに蓮は唇に触れた。
久しぶりの蓮の唇の感触に、体中が熱くなる。

「れ、蓮さん!?」

唇が離れた後、キョーコは唇を手で抑えながら非難の声をあげる。
こんな、公衆の面前でキスされるなんて恥ずかしすぎる。
だが、蓮は動じる様子もない。

「消毒・・・・・・。」
「消毒って・・・・・・・・。」
「消毒したからもう気にしなくても良いって事。」

その言葉に顔が熱くなる。
蓮はポケットから何か取り出し、キョーコの手を取った。

「蓮さん、これって・・・・・。」

キョーコの左薬指には、蓮の部屋を出る時に置いてきたエンゲージリングがはまっていた。

「これは、虫除けみたいな物かな?キョーコはまだ、素直に俺の所に戻れないんだろ?」
「・・・・・・・それは・・・・・・・やっぱり、気持ちの整理をしないと・・・・・・・」

一度にいろんな事が起こったせいで、気持ちが追いつかない。
蓮の所に戻りたいが、やはりちゃんと普通の生活に戻ってから考えたい。

「だから、俺とちゃんと向き合う日まで、これはキョーコが持ってて。」

その言葉に、戸惑いながらも頷いた。

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近況&拍手お礼

2009/08/16 (日)  カテゴリー/独り言

毎日暑いですが、いかがお過ごしでしょうか?
今年は仕事の関係で、お盆休みがありませんでした・・・・・・・・。
家にいるより、職場のほうが涼しくて良いんですけどねヾ(・ε・。) 

ようやく、嘘関もラスト一話となりました。
初めはこんなに長くなる予定ではなかったのですが・・・・・・。
っていうか、私が書くと大概話しが長くなってしまいますが・・・・・・(;¬_¬)

このお話が終わったら、次回は何を書こうか考え中。
でも、書き出すとまた長編になるんだろうと予感してますが・・・・・。
その時は、お付き合い下さいませ。



以下、拍手お礼です。

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嘘つきな関係(52)

2009/08/15 (土)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

連休も明け、社長室で書類を蓮に渡し窓の外を見上げる社。

「蓮・・・・・キョーコちゃん今頃空港だな。」

無言で受け取り、仕事に集中するかの様に書類に目を通している。

「蓮?聞いてるのか?」
「聞いてますよ・・・・・・・。」

顔を上げる事も無く、一言だけ言ってまた黙り込む。
仕方なく、社は1人話を進める。

「アメリカ行ったら、1、2年は戻ってこないんだろ?」
「そうらしいですね。」
「そうらしいって・・・・・蓮、お前なぁ・・・・・・」

淡々と話す蓮に社はだんだん腹が立ってくる。
何も話さない蓮の変わりに、何があったのか奏江が教えてくれた。
キョーコがアメリカへ行く事になった話も。
だからって、そうあっさり諦められるものなのだろうか?

「キョーコちゃんと、ちゃんと話したのか?」
「話しましたよ・・・・・・ってどうして知ってるんですか?琴南さんですか?」
「ああそうだよ。お前が教えてくれないから、琴南さんも俺も心配してるんだよ。」

話した所で、何も変らないかも知れない。
もっと頼って欲しいのが本音だが、蓮の性格からして自分の中で終わった事を話しはしないだろう。
だからと言って、このまま2人がすれ違っていく事を何も言わずに見守る事など出来ない。

「どうせお前、本音は言わなかったんだろ?キョーコちゃんの為に。」
「・・・・・・・・社さん、あなたエスパーですか・・・・・・。」
「まさか・・・・・お前とは付き合いが長いからな。どうせカッコつけて彼女がアメリカに行きやすいようにしたんだろ?」

どこか疲れた表情を見せ、蓮は社を見た。
どれほど悩み出した結論なのか容易に見て取れる。

「でもな、キョーコちゃんは引き止めて欲しかったんじゃないのか?」
「俺が何を言ったって、彼女の気持ちは揺るぎませんよ。」
「そうかな・・・・・・・俺は2人とも意地になってるだけに思えるけど?」

何処となく、こうと決めたら譲らない所のある2人。
そんな2人だからこそ、誰かが背中を押してやる必要がある。

「蓮はいつからそんなに聞き分けの良い奴になったんだ?お前はもっと強気でこうと決めたら意地でも実行してきたじゃないか?それなのに、今回はえらくアッサリなんだな。」
「社さん・・・・・・・酷い言い様ですね。俺を何だと思ってるんですか?」
「俺はな、もっとわがまま言っても良いと思うぞ。この際会長だろうが、社長の立場だろうが関係ないだろ?この気を逃したらお前はきっと後悔する。」

ビシっと蓮に向かって指をさし指摘する。
その言葉は蓮の胸の奥底に響く。
確かに、今までならなりふりかまわずやってきた。
自分が正しいと思って通りに動いてきた。
いつの間に、自分はこんなに守りには言ってしまっていたのだろう。
社の言葉に、蓮は苦笑する。

「社さん、ちょっと出かけてきます。」
「あぁ、今から行けばギリギリ、アメリカ支社長の見送りに間に合うだろう。後の事は任せとけ。」

蓮が出て行った後、奏江が社長室に入った来た。

「社長、行ったんですか?」
「やっとね。まったく・・・・・手が掛かるよ。」
「その割りに楽しそうに見えますけど?」

蓮が素直に社の話を聞き、キョーコの元へ行った事に、社は満足していた。
後は、2人次第・・・・・・。

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嘘つきな関係(51)

2009/08/11 (火)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

会場に戻ると、マリアは別の人達と話し込んでいた。
蓮を見つけると話を中断して駆け寄ってくる。

「蓮さま、ようこそ。」
「マリアちゃん、こんばんは。」

丁寧にお辞儀をして、マリアはにっこりと笑った。
蓮も、優雅にお辞儀をしてマリアに挨拶する。

「ところで、さっきマリアちゃん男の子と一緒に居なかった?」
「男の子・・・・・・・居ましたけど、それが?」

何かを隠すように、少し動揺しているようにも見て取れる。
聞かれたくなかったのだろうか?

「もしかして、マリアちゃんのボーイフレンド?」
「違います!?私は蓮さま一筋よ!?」

物凄い勢いでそう言い切られた。
確かに、昔からマリアは蓮を慕っている。
それは、キョーコと付き合い始めてからも変わる事はなかった。
それどころか、2人が付き合っている事を喜んでくれていた。

「でも、蓮さまにはお姉様が・・・・・ってごめんなさい・・・・・・。」

ハッとなって、マリアは余計な事を言ったと思い、慌てて謝る。
キョーコと蓮が何かの事情で別れた事は、大人達の会話で薄々気づいていた。

「謝らなくても良いよ。彼は友達?」
「友達といえば友達だけど・・・・・なんていったら良いのか・・・・・・。」

上手く言葉が出てこないのか、歯切れの悪い言葉が返ってきた。
余り聞かれたくないのだろうか?

「いいよ。無理には聞かないから。それより彼女が何処にいるか知らないかな?」
「それは・・・・・・会場の中には居るはずなんですけど・・・・・。」

何か隠している口ぶりに蓮はマリアに悪い事をしたかなと思っていた。

「マリアちゃん、ごめんね。自分で探すよ。」
「蓮さま・・・・・・ごめんなさい。」
「俺こそ、彼女がここに居る事を教えてくれただけでも、マリアちゃんには感謝してるよ。」

お礼を言われ、マリアは恥ずかしそうに笑う。

「私ね、蓮さまとお姉様は一緒に居るべきだと思うの・・・・・・・。」
「ありがとう、マリアちゃん。」

マリアと別れ、会場の端で1人佇む。
キョーコを探そうと、招待客の観察を始める。
ふと、視線の先に会長とマリアの友達の少年が話しているのが見えた。
少年は楽しそうに話しながら、照れているのか頭を手で撫でる仕草をしている。
その仕草は、よくキョーコが照れた時にする仕草と似ていた。

――――― まさかな・・・・・。

よく見れば、背格好もフトした仕草もキョーコの姿とダブル。
もう少し近付こうとした時、蓮に気づいた招待客達にあっという間に取り囲まれてしまった。
キョーコを探しているどころではない。
仕方なく、営業スマイルを課をに貼り付け相手をしていく。
話しながら、先ほどの少年を見ると丁度中庭に出て行く後姿が見えた。

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嘘つきな関係(50)

2009/08/08 (土)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

美少年・・・・・・と言われても見渡す限り、仮面をしているのでよく分からない。
とりあえず、マリアに聞いてみようとそちらに足を運ぶ。
マリアは少年と楽しそうに談笑していた。

――――― 確かに美少年っぽいが・・・・・・・・。

あと、少しの所で蓮は声を掛けられた。

「よお、お前も来てたのか?」
「父さん・・・・・・・なんですかその格好は?」

一瞬会長かと思うほどの仮装。
周平はマタドールの格好をしていた。

「似合うか?ボスが貸してくれたんだが・・・・・。」
「俺にコメントを求めないで下さいよ。急いでるんで失礼します。」

気づけばマリア達の姿は食事の置いてあるテーブルへと移動していた。
急ぎそちらに向かおうとして、またも周平に引き止められる。

「何なんですか?」
「蓮・・・・・少し向こうで話さないか?そう時間は取らせないから。」
「・・・・・・・・・ふぅ・・・・・・。分かりました、父さんと会長には言いたい事もありますし。」

キョーコがここに泊まっているのなら、急ぐ必要もないかと思い直し、蓮は周平について会場を後にした。

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嘘つきな関係(49)

2009/08/04 (火)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

鏡に向かい、キョーコは自分の姿に不安になる。

「マリアちゃん・・・・・本当に私だってバレない?」

そばに居るバンパイアの仮装をしたマリアに問いかける。
マリアは両手を胸の前で握り合わせて瞳を輝かせている。

「お姉様・・・・・・ステキだわ。蓮様にも引けをとらないほどよ。」
「そ、そうかな・・・・・・・・。」

鏡に映るのは、少年の姿のキョーコ。
そう、このパーティーの趣向は仮装仮面パーティー。
奏江が嫌がるはずだ。
マリアがキョーコに提案したのは変装して仮面をつければ蓮にはバレないという事だった。
今のキョーコは何処からどう見ても少年。
マリアに言わせれば、今のキョーコは美少年らしい。

「でも・・・・・お姉様を元気付けるはずのパーティーだったのに・・・・・・。」
「そんな寂しい顔しないで。私まで寂しくなっちゃう。」
「だって・・・・・・アメリカに行くなんて・・・・・。」

キョーコは色々考えた末、今朝宝田にアメリカ行きの返事をしたのだった。
最初は周平も会長も驚いていたが、善は急げと連休明けに周平と共にアメリカに行く事になった。
周平は何か言いたそうにしていたが、会長に引っ張られて話が出来なかった。

「これを着ければ完成ね。」

マリアから手渡された仮面をつければ、本当に誰だかわからない。
これなら、蓮に見つかることもないだろう。

「お姉様・・・・・・・私、謝らなければならないことがあるの・・・・・・・。」
「なぁに?」

俯き、言葉を震わすマリアの前にしゃがみ込み視線を合わせる。
マリアは仮装のマントをギュっと握り締めた。

「蓮様にね、お姉様が今うちに泊まっている事・・・・・・話しちゃったの。」
「・・・・・・・・・・・・そう。話しちゃったんなら仕方ないわよ。マリアちゃん、気にしなくていいのよ。顔を上げて、ね。」

少し涙ぐむマリアの涙をそっと拭う。
別に、マリアを責めるつもりなど、サラサラない。

「折角楽しいパーティーが始まるんだから、そんな顔してたらダメよ。」
「お姉様・・・・・許してくれるの?」
「許すも何も、マリアちゃんは何も悪くないでしょ?さ、行きましょ。」

パーティー会場にはいろんな格好の招待客達が集まっていた。

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