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嘘つきな関係(48)

2009/07/30 (木)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

マンションのリビングで電気も点けずに、独りグラスを片手にソファーにもたれ掛かる。
カランと溶けた氷が音をたてて崩れた。
ボンヤリと薄暗い部屋にたたずむ蓮。
もう、何杯目かのウイスキーを仰ぐ。
数日前なら、蓮の体を心配するキョーコが酒の飲みすぎを怒っていた。
だが、今は怒る声さえ懐かしい。
数ヶ月前に戻っただけ・・・・・・・・。
なのに、心にポッカリと穴が開いたような虚無感に襲われる。

「俺にはどうする事も出来ないのか・・・・・・。」

苛立つ声に答える声はない。
グラスを割れんばかりに握り締める。
自分の携帯を見て、また一つため息をついた。
不破家に行った次の日、蓮の所に一本の電話が鳴った。
慌ててでると、かかって来て欲しい相手では無かった。
相手は、宝田会長。
どうせ、ロクな用事ではないだろうと思いながらぶっきらぼう電話にでた。

「悪いなぁ、待ち人じゃなくって。」
「何の事ですか?」

期待していた人物ではなかった事と、心中を言い当てられ、口調も自然ときつくなる。
普段なら、何か言い返す所だが、そんな気分にもなれない。

「そんなあからさまに嫌そうに・・・・・・。仕事の話だ。」
「仕事?」

仕事の話と言われれば、気持ちを切り替えなくては。
プライベートで凹んでいても、仕事となれば話は別。

「どういった用件です。俺は社長ですけど今は休暇中です。」
「そんなに、イライラするな。老けるぞ。」
「大きなお世話です。」

宝田会長のいつもの調子で話す言葉につい、いつものように返して気が付いた。
こんなに自分に余裕が無かったのかとひとり苦笑する。
何とはなしに点けていたテレビを消して、会長の言葉に耳を傾ける。

「会長、今なんていったんですか?」
「んっ?電波の調子が悪かったか?だから、最上くんをアメリカ支社の社長秘書にと言ったんだ。」

聞き間違いかと思い、もう一度問いかけた返事に言葉を失う。

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嘘つきな関係(47)

2009/07/27 (月)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

正直、自分の行動が正しかったのか分からない。
眠れないまま、次の朝が来てしまった。
今の自分に出来る事は、後悔しない様にする事。
朝食もそこそこに、会長の呼ばれ部屋を訪れた。
何を言われるのか分からず、緊張で体が強張る。

「キョーコくん、そんなに緊張しなくても・・・・・・・朝から呼び出して悪かったね。」
「いいえ、それよりお話って?」

何を言われるのか、緊張する。
でも、話されたのはキョーコが考えていた事とはまったく違った内容だった。

「私を・・・・・・ですか?」
「そうだ、キョーコくんは優秀だと聞いている。どうかね?悪い話ではないと思うが。」

突然の申し出にキョーコはどう返事をしていいのか分からない。

「まぁ、少し考えておいてくれたまえ。」
「は・・・・い。」

会長の申し出に対し、不安げに返事を返す。
頭を下げ、部屋を出て行こうとした時、さらに会長から追い討ちをかけるような言葉を聞かされた。

「ああ、そうそう。この話は社長には了承済みだから。」

背中で言葉を受け止め、キョーコはもう一度頭を下げると部屋を出て行った。

「本当に大丈夫なのか?」

心配そうに、先ほどのやり取りを隣の部屋で聞いていた周平が顔を覗かせる。

「これは、ビジネスの話だ。お前だって優秀な人材が欲しいって言ってただろ?」
「しかしなぁ・・・・・・・・・・・蓮が承諾するとは思わなかったが・・・・・。」

ため息をつきながら、廊下を歩いていると向こうからマリアが駆け寄ってきた。
天気がいいから庭でお茶でもと誘われ、庭を散策をする事に。

「お姉様、元気ありませんね。」

心配そうに、マリアがキョーコの顔を除きこむ。
こんな小さい子にまで心配させている自分を反省して、キョーコは頬をパンパンと叩き気合を入れる。
急に、自分の頬を叩くキョーコの行動にマリアは驚きを隠せない。

「お、お姉様?」
「あ、ごめんなさい。ちょっと気合を入れてただけだから。」

ヘラリと笑うとマリアもつられて笑う。
広い庭はよく手入れされていて、最上の庭園を彷彿とさせる。
庭の真ん中にある、庵の縁側に2人で腰掛けてメイドが持ってきてくれたお茶を飲む。
残暑はまだまだ厳しいが庵は風が通り抜け心地いい。
のんびりしている場合ではないのだけれど、ここに居ると時がゆっくりと流れていくようだ。

「お姉様・・・・・・・・おじい様から聞いたんだけど・・・・・・その・・・・・・・。」

言いよどむマリアに何が言いたいのか察したのだろ。
キョーコはマリアが言いたかった事を口にした。

「マリアちゃんも聞いたの?私がアメリカに誘われた話?」

コクリと頷くマリアの横でキョーコは考えあぐねていた。
突然、突きつけられたのはキョーコをアメリカ支部の社長秘書・・・・・・・つまり周平の秘書をやらないかと言われたのだ。

「お姉様が居なくなったら、さみしいわ。」
「私もよ、マリアちゃん。」

そんな事を言いながらも、キョーコは一方でいい機会かもしれないと思っていた。
同系列の会社ではあるが、いきなりの話だけに引き抜きとして契約金を前払いで払ってくれるらしい。
それで、借金も返す事が出来る。
1,2年と言う話だし・・・・・・その頃には・・・・・時間が解決してくれるかもしれない・・・・・・・。
そんなずるい事を考えている自分が情けなくなる。
そんな自分に脱力していると、心配したマリアがキョーコを元気付けようと何か閃いたようだ。

「そうだわ!?お姉様、パーティーしましょ。」

「パーティー?」

突然の提案。
マリアは瞳を輝かせながら、キョーコに説明する。

「お姉様がうちに来た歓迎のパーティーよ。いろんな人を呼びましょう。お姉様のお友達とか。」

いろんな人・・・・・・友達と言われ奏江のことが頭に浮かぶ。
しかし、会長の家のパーティーに奏江が来るとは思えない。
そして、もうひとりの人物の顔が浮かぶ・・・・・・・・。

「ねぇ、マリアちゃん・・・・・・・そのパーティー・・・・・・。」

言いにくそうに俯き、口ごもるキョーコが何を言おうとしているのかマリアは敏感に感じ取った。

「お姉様は・・・・・・蓮様と会いたくないの?」
「会いたくないというか・・・・・・。」

松太郎と無理やりとは言え、蓮に顔向けできない事をしてしまったのだ・・・・・・話さなければばれないだろうが、キョーコの性格上それさえも足枷になる。
それに、アメリカ行きの事もある。
そんな心情でキョーコは蓮に会うのが恐かった。

「それなら、蓮様が気づかなければいいのよね。」
「気づかなければ・・・・・・・?」

名案が浮かんだのかマリアは嬉しそうにキョーコに耳打ちした。
その言葉にキョーコは戸惑う。

「本当にそんな事で、私ってばれないかしら?」
「大丈夫よ。私に任せて。」

可愛くウインクすると、マリアはパーティーの準備をする為にそそくさと本宅に戻っていった。
1人残されたキョーコは、庭を眺めながらボンヤリとこれからの事を考える。
アメリカに行くのか、日本に留まり何事もなかったように会社に行くのか。
どちらにしろ、パーティーで蓮に遭遇する事は覚悟しておかなければと思いながらキョーコは重い足取りで部屋に戻っていった。

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嘘つきな関係(46)

2009/07/23 (木)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

冴菜に呼ばれた宝田は周平を伴い病室を訪ねた。

「忙しい所、わざわざありがとうございます。」
「いや、それより・・・・・・お身体の具合は?」

挨拶もそこそこに周平が冴菜を気遣う。

「大した事は・・・・・・そんな事より、今日及び立てしたのは・・・・・他でもない主人の親友だったあなた方に話しておきたい事があったからなんです。」

そう言いながら、冴菜は蓮の方をチラリと見た。

「ああ、彼は私の息子です。」
「確か、蓮くんだったかしら?昔、主人から良く話しを聞いてたのよ。」

そう言いながら、冴菜は懐かしそうに笑った。

「一体、どんな話ですか?よろしければ聞かせてください。」

蓮にしてみれば、初対面に近い冴菜に懐かしいと言われると不思議で仕方ない。
お通夜とお葬式でチラリと見かけた記憶しかないのだから。

「私の娘の事は覚えてるかしら?」
「たしか、キョーコさんとか・・・・・・・・・。」

遠い昔に会った事を思い出す。
父親のお葬式なのに、涙を堪えていた幼い少女。

「ええ、昔、主人が良く『キョーコが大きくなったら周平さんちの息子と結婚させるんだって』って言ってたものだから。」

その言葉に蓮は周平を見る。
見られた周平は、蓮から視線をそらせた。

「まぁ、昔の話だから、気にしないで下さいね。」

そう言って冴菜は弱々しく笑った。

「あの子は父親が亡くなってから、益々泣かなくなりました。本音も弱音も吐かなくなってしまって・・・・・・すべて私のせいなんですけど・・・・・・・・あの子が心の底から笑えるようにしてあげたいんです。」

そう言って、周平と宝田会長を見た。
その目には何か決意したような力強さが感じられた。
何かに気づいたのだろう。

「蓮、悪いが喉が渇いた。何か飲み物を買ってきてくれないか?」
「・・・・・・・・・・分かりました。ちょっと行って来ます。」

そう言って蓮は仕方なく病室を後にした。

「本題に入りましょうか。あなたは病人なんですから。安静にしていないといけないでしょう。」
「・・・・・・・・・ご無理を承知でお願いします。最上邸がもうすぐ借金の抵当に入ってしまいます。きっと・・・・・・・私では買い戻すことはできません。」

冴菜は少し震える声で、淡々と話していく。
その言葉を、2人は黙って聞いている。

「お願いします。最上邸を・・・・・・・・彼の愛した庭園を・・・・・・買い取って欲しいんです。」

思いもかけぬ頼みに、周平も宝田会長も驚きを隠せない。

「冴菜さん・・・・・・それはどう言うことかね?」
「私は・・・・・・キョーコを厳しく育てていました。彼女には厳しい母親だったと思います。その分主人がキョーコに愛情を注いでいました。でも、彼が亡くなって・・・・・・私は彼の好きだった最上邸と庭園を守りたかった。その為には・・・・・・・・・。」
「彼女を盾にしたのかね?」

濁した言葉を宝田会長にズバリ言い当てられ、冴菜は気まずさから俯いた。

「酷い母親だと、自分でも思っています。不破家は私の友人の家で・・・・・・・主人と同じように、私も子供同士を結婚させたいねなんて、昔話してました。借金の申し出にも快く快諾してくれて・・・・・・。」
「その代償にキョーコさんとの婚姻をと?」

宝田会長の言葉に冴菜は黙って頷いた。
周平もなんと言っていいのかわからず、窓の外を見る。
病室とは違う、清々しい青空。

「あの頃は・・・・・それがキョーコの為だと思ってました。キョーコも松太郎くんの事を慕っていたようですし・・・・・・・・・。」
「結婚すれば、借金も返さなくてよくなるうえ、最上邸も守れると?」
「それは親のエゴじゃないのか!?子供には子供の生き方がある!?」

冴菜の身勝手さに激怒したのは周平だった。
蓮もかつて、周平の息子というだけで周りからのプレッシャーや重圧は大きかった。
そんな物から解放する為にも、蓮には自由に生きるように諭した。
跡を継ぐのではなく、自分のやりたい事をやるように・・・・・・・・・。
その結果、父親とは関係なく今の地位を確立していったのだが。
だからこそ、周平には冴菜の身勝手な行動が我慢ならなかったのだ。

「まぁ、落ち着け・・・・・・・。お前が怒っても仕方ないだろう。」
「・・・・・・・・・あぁ、そうだった。話を戻しましょう。」

宥められ、周平は怒りを押しとどめる。
冴菜はその様子を切実に受け止め、祈る気持ちで彼らに訴える。

「・・・・・・・・・あの子を不破家から・・・・・・・最上の家からも解放してやってほしいんです。」

両手を組んで握り締めながら、ベットの上でそう呟いた。

「そのために、最上邸をわたしに買って欲しいと?しかし・・・・・不破家への借金はどうするのかね?」
「家を売ったお金と・・・・・・・・後は私の保険金で、少しは額も減ると思います。後は・・・・・・・。」

その言葉には重みがあった。
そこまで死を意識し、苦肉の策で主人の親友を頼ったのだろう。

「そんなに・・・・・・悪いんですか?」

気遣う周平に、冴菜は笑顔で顔を上げた。

「もし死んだらの話です。私にはもう、主人の好きだったあの家を守る力はありません。だから・・・・・せめて主人の親友であるあなた方に買ってもらいたかったんです。」
「話はわかりました。しかし・・・・・・・たとえ親友の奥さんの頼みでも・・・・・・。」
「それなら・・・・・・キョーコを・・・・・・。」

その言葉に再び周平は目を見開いた。

「冴菜さん・・・・・あなたは、また同じ事を繰り返すおつもりですか?」
「・・・・・・・・他の方になら、こんな事は言いません。あなた方が主人の親友だからこそ、お願いしているんです。あの人の忘れ形見を、あなた方なら守ってくださるんじゃないかと・・・・・・勝手なお願いなのは重々承知しています。」

その言葉に、宝田会長は笑い始めた。
いきなり笑い出すボスを訝しく思いながら周平はボスを見る。

「冴菜さんの決意はよく分かった。その条件で契約しましょう。」
「ボス!?何を言い出すんですか!?」

突然の快諾に周平は驚く。
娘をまた借金のかたにしようとしているのに・・・・・・・。

「不破家には、冴菜さんが書いたキョーコさんとの婚姻を了承する誓約書がある。それを無効する為には・・・・・・・・・・。」
「より最近の誓約書が必要と言うわけか!」

ようやく快諾した意味を理解し、冴菜を見ると彼女も同じ事を考えていたのだろう。
黙って頭を下げた。

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嘘つきな関係(45)

2009/07/18 (土)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

車は大きな門をくぐり抜け、まだまだ走り続ける。

「お姉様、着きましたわ。」

車を降りると、そこは大きなお屋敷だった。
マリアは勝手知ったると言うように、キョーコを案内して行く。

「マリアちゃん・・・・・・此処って?」
「ここは私の家よ。」
「マリアちゃんの家?ねぇ・・・・・おじい様って何をやってる人なの?」

恐る恐る聞くと、マリアは不思議そうな顔をした。

「お姉様、知らないの?おじい様はLMEの会長よ。」
「えぇぇぇぇ!?うちの会長!?」

キョーコの驚きの声は屋敷中に響く。

「お姉様、もしかして知らなかったの?」

コクコクと頷くとマリアは大いに驚いていた。

――――― あんなに派手なのに気づかなかったお姉様って・・・・・。

「おじい様、お姉様をお連れしました。」

マリアと共に入った部屋に居たのは、“桜の妖精”などと名乗ったいつかの紳士だった。
なぜか隣には蓮の父親の姿もあった。

「マリア、ありがとう。キョーコくん、久しぶりと言うべきかな?まぁ、座りなさい。」

戸惑いながらも促されるまま、ソファーに腰を下ろす。
マリアは席を外すように言われ、気になりつつも部屋を出て行った。

「そんなに緊張しないで、楽にして?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・あの、どうして私を此処に?」

チラリと周平を見やりながら、疑問を口にする。
しかし、会長は先に自分の事を話し始めた。

「自己紹介がまだだったかな。マリアに聞いたかと思うが、私は君が勤めているLMEの会長の宝田だ。彼の事は・・・・・もう知っているか。」
「はい、昨日お会いしましたから・・・・・・・。でも、マリアちゃんのおじい様で会社の会長さんだったんですね。さっき知りました。私、桜の木下で会った時も気が付かなくて・・・・・・すみませんでした。」
「まぁ、社長の顔を知ってても会長の顔を知らない社員なんて沢山居るからな。」

そういって豪快に笑うが、キョーコはその様子に苦笑する。
その社長の顔すら知らなかったのだから。

「で、話を戻そう。なぜ、君を此処に呼んだかと言うと・・・・・・・実はな、君のお父さんと約束したからなんだ。」
「約束ですか?」
「ああ。娘が困っていたら少しでいいから手を貸して欲しいとな。」

またしても、知らない所での“約束”。

「・・・・・・・あの・・・・・・父とは?」
「君のお父さんとは学生時代からの付き合いでな、奴には色々助けられた。」

懐かしむように、どこか遠くを見ながらそう話す。
周平も懐かしそうに、頷いている。

「そうそう、最上家へ養子で入るって行った時も驚いた。」
「アイツは急に決めて、周りを驚かせるのが好きだったからな。」
「それで・・・・急にいなくなるんだから・・・・・・・。」

周平の言葉に3人とも沈黙する。
彼らには彼らの思い出があるのだろう。
キョーコの知らない父の話。
暫くの沈黙の後、気を取り直して会長が話し始めた。

「時に、キョーコくんは不破家を出て、行く当てはあったのかね?」
「それは・・・・・・・・・。」

チラリと周平を見やる。

「親友の家にでも、泊めてもらおうかと思ってたんです。」

その言葉に、心なしか周平がガックリしているように見える。
会長はどこか少し楽しそうに微笑した。

「どうだろう、暫く此処にいてはどうかな?」
「えっ・・・・・・でも・・・・・・・。」

急な申し出に戸惑う。
いくら父の親友で、マリアの祖父と言えども、昨日、今日あった人の家に泊まるなどと。

「遠慮することはない。マリアも喜ぶ。」
「でも・・・・・・・・。」
「では、こう言うのはどうだろう。此処にいる間マリアの勉強でも見てもらおうか。」

何か理由をつければ、キョーコも居やすいと思ってくれたのだろう。
その厚意だけでも、キョーコには十分すぎる程だった。

「・・・・・・・・・・・ギブアンドテイクですね。それなら住む所が決まるまで、お世話になります。」

そう言って深々と頭を下げた。
確かに、行く当てなどあるわけではない。
聞きたい事は沢山あるが、着いてそうそう聞くわけにもいかずキョーコは部屋に案内された。

「お姉様、暫くは此処にいられるのね。」

嬉しそうにマリアが部屋に入ってそう言った。
本当に嬉しそうに慕ってくれるマリアにキョーコは笑顔になる。

「暫くお世話になるわね。その代わりマリアちゃんに勉強を教える事になってるからよろしくね。」
「お姉様が勉強を教えてくれるなんて大歓迎よ。」

子供なりに気を使ってくれているのか、マリアはキョーコの身に何があったか聞かなかった。
もちろん、大好きな蓮の話さえも・・・・・・・。

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近況&拍手お礼

2009/07/14 (火)  カテゴリー/感謝

『嘘つきな関係』・・・・・・・・・50話までいってしまいました。
50話ぐらいで終わるつもりだったんですけど、50話を超えてしまいました。
すみません・・・・・・もう暫くお付き合いください。

そして、いつの間にやら1000HIT超えてました!?
最近あまりUP出来ないにもかかわらず、遊びに来てくださる皆様、ありがとうございます。
がんばって書いてますので、最後までお付き合いくださいね。

なかなか梅雨が明けませんね。
最近エコという事で、自転車に乗ってるんですが・・・・・・今日帰ろうと自転車に乗ったら漕ぎ難くて、変な音がするので良く見ると後輪がパンクしていました。
只でさえ雨が降り始めて、急いで帰ろうとしていたのに・・・・・・仕方なく自転車を押しながら傘をさしていつもの3倍の時間をかけて帰ってきました。
今日の占い一位だったのに・・・・・・・・・。
まぁ、こんな日もありますよね。


以下、拍手お礼です。

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嘘つきな関係(44)

2009/07/09 (木)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

朝から蓮達が訪問してきたり、松太郎に告白されたりと、キョーコの頭の中はパニックだった。
部屋で悶々と考えるが、何をどうしていいのかさっぱり分からない。
気分転換に部屋を出て、松太郎の母親の所へと向かう。

「キョーコちゃん、どないしたん?」

いきなり訪ねてこられ、松太郎の母親はどうしていいのか戸惑っている。

「実は、茶室をお借りしたいんです。」
「茶室を?ええけど・・・・・・うちも行ってもええやろか?」

久しぶりに入る茶室。
最上邸には劣る物の、それなりに立派な茶室。
キョーコは懐かしみながら部屋に入った。
お湯の沸く音と畳の香り、そして規則正しいお茶をたてる音。
それだけでキョーコの心は落ち着きを取り戻していく。

「相変わらず、キョーコちゃんのたてるお茶はおいしいわ。」
「ありがとうございます。」

お礼を述べて、自分もお茶を飲む。
昔は無理やりやらされていたはずなのに、今はこんな事で心が落ち着く。

「キョーコちゃん、これからどうするつもりや?」
「えっ?これからですか?」

茶碗の淵をなぞりながら、松太郎の母親はキョーコを見ずにそう話す。
当主との約束がある為か、後ろめたいのだろう。

「キョーコちゃんが迷ってるのは分かってるで。うちはキョーコちゃんにここに居て欲しい。でも、それはあくまでうちの勝手な考えや。」
「・・・・・・・・・・・・おばさま・・・・・・・私、正直分からないんです。どうしたらいいのか。」

どうすれば、誰もが傷つかずに済むのか。
どうするのが一番いいのか。
分からないからこそ、ここに心を落ち着かせに来たのだ。

「正直、借金の事はこの際置いといて、ほんまは松太郎との事を考えて欲しい所やけど・・・・・・うちはキョーコちゃんの事も実の子供みたいに思ってきたんよ。そやから・・・・・・キョーコちゃんのしたいようにするんが一番やと思うで。」

掛けてくれる言葉とは裏腹にその表情は暗い。
昔から知っている人の、こんな顔を見るのは初めてで、キョーコは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
キョーコは茶室に心落ち着かせ来たはずなのに、結局考える事が増えてしまった。

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笹飾り

2009/07/07 (火)  カテゴリー/Seasons

仕事が終わり、資料をもらう為事務所に来るとロビーにはでかでかと笹飾りが飾られていた。

「蓮、これってキョーコちゃん達が飾りつけしたらしいよ。」
「そうなんですか・・・・・・・最近忙しそうなのに大変ですね。」

笹飾りを見上げながら、なんとなくキョーコが書いた短冊がないか探してしまう。
飾りは短冊だけでなく、折り紙で作られた飾りも沢山あった。

「まぁ、まだラブミー部だから仕方ないよ。」
「確かにそうですけど・・・・・・・。」

キョーコの書いた短冊が見つからなかったので、諦めて俳優セクションの向かう。

「蓮様~!?」

向こうから、マリアが片手に小さな笹を持って走ってきた。
小さな笹には飾りつけされており、ロビーにあった飾りのミニュチュアのようだ。

「マリアちゃん、それどうしたの?」
「これですか?これはお姉様に貰ったの。」

嬉しそうに、蓮に笹飾りを見せてくる。
蓮はマリアから笹飾りを渡さた。

「お姉様、みんな忙しいから、代筆でお願い事を短冊に書くお仕事してるのよ。」

笹飾りには、キョーコの字で、マリアのお願い事が書いてあった。
『蓮様とずっと一緒に居られますように。』
この文字をキョーコが書いたのかと思うと、蓮は複雑な気持ちになる。

「蓮、俺が資料貰っといてやるから行ってみれば?」
「いえ、俺が頼んだ資料ですから・・・・・・。」
「でも蓮様、早く行かないと笹がなくなっちゃうかも。わたしが貰った時、お姉様がもうすぐ終われるって言ってましたし。」

その言葉に、蓮は社に資料の回収を頼みいそいそとキョーコが居るであろうフロアーに急いだ。

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嘘つきな関係(43)

2009/07/02 (木)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

松太郎とのやり取りに、ため息をつきつつ車に戻る。
周平に何か聞かれるだろうと思っていたが、何も聞かかれる事はなかった。
それはそれで、不気味である。
そう思いつつ、蓮は車に乗り込んだ。

「待たせてすみません。ホテルまで送ります。」
「いや、そんなに待ってないからかまわんよ。それより、ボスの家に行ってくれないか。」

暫く車を走らせながら、謝るとそう切り返された。
その言葉に胡散臭げに聞き返す。

「ボスって・・・・・・会長の家ですか?」
「そうだ。折角、日本に来たんだから久しぶりに会いたい。」
「・・・・・・・あなた達・・・・・なにか企んでるんじゃないですよね?」

この2人が揃えば、とんでもない事もしかねない。
蓮は大いに警戒する。
助けてもらうのはありがたいが、ありがた迷惑な所もあるのは事実。

「そんな・・・・胡散臭い物を見るような目で見ないでくれ。オレはただ、旧友に会いに行くだけだよ。」
「それならいいですけど。ホテルの部屋はどうします?」
「それならもう手配してある。今日からボスの家に世話になるから。」

内心、用意周到でと思いつつも何食わぬ顔で蓮は周平を宝田邸まで送り届けた。

「会っていかないのか?」
「どうせ、会ってもろくな事言ってこないでしょう。話は父さんからして下さい。俺はまだ行く所がありますから。」

絶対に遊ばれると分かっている相手にわざわざ会う必要も無いだろう。
それに、今日の話を聞きたい2人が待っている。

「そうか・・・・・・それじゃ、蓮またな。」
「はい。今日はありがとうございました。」
「いや、子供が助けを求めているのに手を差し伸べるのは当然だろう。それが親って物だ。そもそもお前は・・・・・・・・・・・・・・・・。」

――――― まずい・・・・・・また熱い話が始まりそうだ・・・・・・

危険を察知した蓮は、熱弁を振るい始める周平をなんとか話を誤魔化してし足早に車に戻って行った。

「よう、久しぶりだな。」
「ホントに、電話じゃ良く話してるけど、日本に来るのもあの日以来かもしれないな。」

久しぶりに旧友と再開し、積もる話もあるからと早速部屋に通された。

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