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嘘つきな関係(30)

2009/04/28 (火)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

車の中でも終始無言だった。
重苦しい空気のまま玄関の鍵を開け家に入る。

――――― 気まずい・・・・・なにか話さなくちゃ・・・・・・・・。

そう思った瞬間、視界が一転した。
いきなり壁に押し付けられ、荒々しく唇を奪われた。
噛み付くようなキスにゾクリとする。

「ん、んん・・・・・蓮さ・・・ん・・・・くる、し・・・・・・。」
「苦しいのは・・・・・俺のほうだよ・・・・・。」

そう呟く蓮が、切ない顔をした。
胸が痛む顔・・・・・・・・。

――――― そんな顔・・・・・・させたい訳じゃないのに・・・・・・・。

「ごめんなさい・・・・・・・。」

キョーコの口からはそんなありきたりな言葉しか出てこなかった。
無言でリビングに向かう蓮の背中を見つめながら、後について歩く。

――――― 怖い・・・・・知らない人みたい・・・・・。

こんな蓮に書ける言葉も見つからないキョーコは戸惑う。

「・・・・・・・・・・・・ごめん。」
「えっ?」

ばつが悪そうに急に謝る蓮に、理解出来ていないように、キョトンとなる。
蓮は怒りに任せてキョーコの唇を奪ってしまった事を後悔していた。
別に謝って欲しかった訳ではない。
ただ、アイツとキョーコが一緒に居る所を見たくなかった。
これは蓮の一方的な嫉妬。
何事も無かったように装いながら、いつもの口調で話しかける。

「とりあえず、夕食にしようか。」
「は、はい。すぐに用意しますね。」

先ほどまでビクついていたキョーコは、蓮の言葉にホッとしたのか慌しく自室に着替えに入っていった。

――――― 良かった・・・・・いつもの蓮さんにもどって・・・・・。

さっきは本当は怖かった。
急に知らない男の人みたいに豹変した事に驚いた。
夕食は何事も無かったかのように、穏やかだった。
いつものように2人で食器を片付け、それぞれの時間が過ぎていく。
もう、今日は何も聞かれないとホッとしていた時、自室の扉をノックされ、一気に緊張が走る。

「キョーコ、ちょっといい?」
「は、はい。」

部屋に招き入れ、ベットに腰掛ける。

「ごめんね。でも、どうしても聞いておきたい事があって?」
「今日の事ですか?」
「んん・・・・・その・・・・不破の家に行くの?」

松太郎が去り際に言っていた言葉。

『親父が一度会いたいから家に来いって。』

蓮が借金を返し始めてから、もうずいぶん訪れていない。

「行こうかと・・・・・思ってます。」
「そっか。それじゃぁ、俺も一緒に行くから。」
「えっ!?」

思わぬ蓮の提案に驚く。
確かに一人で行くのは不安だったけど・・・・・・・。
でも、蓮には聞かれたくない話もある。

「俺が行くと都合悪い?」
「いえ、別にそんなことは・・・・・・。」
「でも、困った顔してたよ、今。」

思わず顔に手をあててしまった。
これでは、困った顔をしていたと云っているようなものだ。

「明後日だったら俺も都合付くから、どうかな?」
「じゃぁ、今から電話してみます。」

キョーコが電話をしている間、蓮はずっと手を握っていた。

「おじさんも予定を空けてくれるそうです。」
「そう、それじゃ決まりだね。」

繋いでいた手をそっと離し、ベットから立ち上がると部屋を出て行こうとする。

「あ、あの・・・・・・・・。」
「んっ、何?」

本当は不破家に行くのが怖くてたまらない。
もし、またあの話がぶり返されたら・・・・・・・・でもこの人にも言えない。

「いえ、何でも無いです。おやすみなさい。」

扉にかけていた手を外し、戻ってくるとキョーコの唇に触れるだけのキスを落とした。

「あんな、気まずいキスをしたままだと眠れないから、おやすみ。」

頭をポンポンと撫ぜて、蓮は部屋を出て行った。
ひとり残されたキョーコは、ひとり顔を赤らめる。

「そんなキスされたら・・・・・眠れないじゃない・・・・・。」

布団にもぐりこむ、キョーコはそう呟いた。


To be continued
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嘘つきな関係(29)

2009/04/27 (月)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

こんなにエレベーターが遅いと感じた事はない。
帰宅する社員を押しのけて出口に走っていく。
社員達が何事かと振り返るが、かまってられない。
そのぐらい余裕がなかった。
外に出てもキョーコの姿はもう無かった。
もちろんアイツの姿も。
とりあえず社長室から見えた、キョーコが歩き出した方向へ走る。
走りながら、キョーコならどうするか考える。

――――― きっと・・・・誰かに見られない、でもすぐに人が居そうな所に居るはず。

手に持った携帯を、何度も鳴らしながら走る。

――――― どこに居るんだ・・・・・・キョーコ・・・・・・・。

祈る気持ちでもう一度携帯を鳴らすと、声の主は何も無いかのように電話に出た。

『キョーコ、今どこに居るの?』

余裕の無いその声に、電話の向こうでキョーコが驚いているようだった。

『えっ、どうかしたんですか?』
『どこに居るの?』

余裕のない蓮は、強い口調で聞く。
驚きながらも、キョーコは近くの公園と云った所で電話は切れた。

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2009/04/25 (土)  カテゴリー/感謝

取り急ぎお礼

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独り言&拍手お返事

2009/04/24 (金)  カテゴリー/感謝

いつも読みに来てくださる皆様、ありがとうございます。
前にも書きましたが、旅に出ていて創作できませんでした。
でも、前に書いてた分はUPしましたが・・・・・。

温泉に入りながら色々ネタを考えていて、閃いたので夏ぐらいにはUPできればいいなぁ~なんてのんきな事を思ってます。

久しぶりにスキビのゲームオフィシャルサイトにお邪魔してきました。
少しずつUPされてますね。
プレイヤーはキョーコになってスキビの世界に参加する形だそうです。
ノベル型アドベンチャーゲームと書いておりました。
選択肢を選び物語を進めていくって事ですかね?
きっと、攻略本とかもでるのでしょうか?
それはそれで楽しみ~。

限定版の特典は
・オリジナルサウンドCD(BGM・OP/ED(ショートver)・挿入歌(フルver)入り)
・オリジナルストラップ(坊人形)
だそうです。

興味のある方はいってみてください。


以下拍手お礼です。

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本誌感想

2009/04/22 (水)  カテゴリー/独り言

私事ですが、旅に出ていました。
旅先で荷物になるのを承知で花ゆめ買ってしまいました。
だって・・・・・読みたかったんだもん。
続きはネタバレです。

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嘘つきな関係(28)

2009/04/22 (水)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

今日は奏江が、どうしても外せない仕事があるため仕方なく一人で帰る事に。
このところ、帰りは奏江か蓮と帰宅する事が多くなった気がする。
奏江がメールで“今日は社長と帰りなさい、いいわね。”って書いてたけどキョーコはその言葉を守らなかった。

――――― たまには、一人もいいかもね。ちょっと寄り道して買えろっかな。

そんな事を思いながら会社を出たところに、一番会いたくない奴が立っていた。

――――― モー子さんの云う事、聞いてれば良かった・・・・・・。

あからさまに嫌な顔をし、横を通り過ぎようとした時、腕を掴まれた。

「キョーコ、待てよ。俺は話があって来たんだ。」
「あんたと話すことなんて・・・・・。」

周りの目線が一気にこっちに集中する。

「わかったわ、とにかく場所を変えましょう。」

そう言ってショータローの腕を振り払うとキョーコは歩き出した。

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嘘つきな関係(27)

2009/04/20 (月)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

キョーコと想いが通じ合ってから暫くして、蓮を悩ます事が起きていた。
今週に入ってから、会社の外に“虫”が来るようになった。
“虫”といっても害虫のでは無い。
否、蓮にとってもキョーコにとっても害虫かもしれないが。
時刻は17時。
もうすぐ帰宅時間になる。
今日も害虫は会社の前にやってきている。

――――― 不安材料はさっさと片付けるにかぎる・・・・・・。

「先手を打ったほうがいいかもな。」
「えっ、蓮、なんか云ったか?」
「いえ、・・・・・・・・あぁ、社さん・・済みませんが琴南さん呼んでもらえますか?」

コンコン

「失礼します。社長お呼びでしょうか?」
「もうすぐ就業時間終わる所悪いね、琴南さん。」
「いえ、仕事ですから。で、用件はなんでしょうか?」

相変わらずの社交辞令。
でも、奏江には話しておいたほうがいいだろう。
いつ襲ってくるともわからない“害虫”を“駆除”するためにも。

「実は、折り入って相談したい事があるんだけどいいかな?」
「いいですけど、話は単刀直入にお願いします。外野がうるさいですから。」

外野とは他の秘書課の同僚の事だろう。

「そういうの気にするタイプだったっけ?」
「一々、何の話したのとか、詮索されるのがわずらわしいんです。」

心底うんざりしているのだろう言葉に気にせず話を進めることに。

「実は、数日前から会社の外にいる“アレ”のことなんだけど?」

窓の外を見ながら奏江に話しかけると、奏江も窓際にやってきた。

「ああ、“アレ”ですか。今月入ってから毎日来てますね。」
「さすが、琴南さん。目ざといね。」
「あんなに派手な男が似つかわしくない場所に居たら、大抵の人は認識すると思いますけど?」

棘のある言葉で、それがどうしたのかと奏江は蓮を仰ぎ見る。

「大抵の人ね・・・・・。って事は、気付いてないの?」
「ええ、まったく・・・・・かわいそうなくらい。」

同情するかの様に大きく首を振りながら肩をすくめる。

「俺の時間許す限り、彼女と一緒に帰るようにしてるんだけど・・・・・・どうしても抜けれない事があるからね。」
「でしょうね。で、私にどうしろと?」
「出来れば一緒に帰ってもらいたいんだ。」
「云われなくても、そうしてますからあしからず。」

まったく、敵ながら・・・・・いや、敵には回したくないタイプだ。
頭が切れるだけに、対応を誤ればこちらが痛い目を見る。
さすが、キョーコが気を許す相手だけの事はある。

「2人ともそんな所に立って、何してるの?」

仕事の資料を持って戻ってきた社は、窓際にたたずむ2人を訝しげに見ながら問いかける。

「何って、アレですよ。」
「アレって?」
「アレの事ですよ。社さん。」

琴南さんに促され、窓際に行き窓の外を見やると、オフィイス街には似つかわしくない格好の人間がベンチに座って居る。

「アレって・・・・・確かキョーコちゃんの?」
「そう、キョーコの幼馴染くん。」
「あんな所で何やってんだ?」

社の言葉に、2人は怪訝な顔を返す。

「それはこっちが聞きたいですよ。」
「本当に。」
「とにかく、社さんも彼の行動には気をつけていてください。」

――――― この2人・・・・・仲悪い割りにキョーコちゃんの事になると結託するよな・・・・・。

絶対敵にまわしたくないタイプである。
かくしてある意味、最強の2人がタッグを組んだのであった。

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桜花乱舞(後) ~sideK

2009/04/17 (金)  カテゴリー/Seasons

キョーコバージョンの方が短いも?
ネタバレ注意です。
それでは続きをどうぞ。

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桜花乱舞(前) ~sideK

2009/04/17 (金)  カテゴリー/Seasons

『桜花乱舞』のキョーコバージョンです。
蓮バージョンから読むほうがわかりやすいかも?
同じく本誌ネタバレありなのでご注意ください。
では、続きをどうぞ。

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桜花乱舞(後) ~sideR   *おまけつき*

2009/04/16 (木)  カテゴリー/Seasons

『桜花乱舞』後編です。
はっきり言って長いです。
前、中、後にすれば良かった・・・・・。
ネタバレにはお気をつけください。
それでは続きをどうぞ。

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桜花乱舞(前) ~sideR

2009/04/15 (水)  カテゴリー/Seasons

花見の季節なので書いて見ました。
本誌を読んでいない方には、ネタバレになってしまうのでご注意下さい。
そして、あまりに長くなったので前編、後編にしました(汗)
それでもいいから、読んでやろう!!
という優しい方は続きをどうぞ。

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感謝!!O(≧▽≦)O

2009/04/14 (火)  カテゴリー/感謝

読みに来て下さっている方も、ありがとうございます。
読みに来てやったぞ!?な証に、ポチっと拍手を押していただくと、大変励みになりますので、よろしくお願いします。
まぁ、こんなのに、拍手なんてやれねぇ~っと思われているかも知れませんが・・・・・・。(腐)



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嘘つきな関係(26)

2009/04/13 (月)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

ゆっくりと意識を浮上させながら、ボンヤリする頭で考える。

――――― 体がだるい・・・・ここ、どこだっけ?

寝返りを打つのも億劫な気だるさ。
疲労しているのに、不思議と心地いいのは、体を包む温かさのせいだろうか?
その温かさを確かめるべく、視線だけ向けた先に蓮の寝顔があった。

「・・・・・!?」

急激に意識が浮上する。

――――― そうだ・・・・昨日、私・・・・・敦賀さんと・・・・・・。

昨夜、蓮との濃密な出来事を思い出し急に恥ずかしくなる。
なんとか腕から抜け出そうともがいてみても、ビクリとも動かない。
諦め、俯くと胸に無数の鬱血の跡・・・・・それは蓮がつけた烙印。
それを見るだけで顔が熱くなる。

「おはよう、キョーコ。」
「お、お、お、////////おはようございます。

突然目を覚ましたその人は、キョーコの挙動不審さにくすくす笑いながら、優しく髪を梳いていく。

「よかった、夢じゃなくて・・・・・・」
「えっ?何がですか?」
「朝起きて、キョーコが居なかったら・・・・・どうしようかと思った。」
「・・・・・いますよ、ここに。」
「でも、今どこかに行こうとしてただろ?」

――――― この人・・・・いつから起きてたの?

一通りの行動を見られていたのかと思うと、だんだん腹立たしくなってくる。

「もう!!知りません!!離して下さい!!」
「やだ。」

少し拗ねたように反論される。

「・・・・やだって、あなたは子供ですか!!」
「だって・・・・手を離せばどこかに行ってしまいそうだから・・・・・・。折角捕まえたのに・・・・・。」

急に切なそうな顔になり、抱きしめる手に力が入る。
まるで、大事な宝物を手放さないように。

「どこにも行きませんよ。」
「ホントに?」
「本当です。だから、この手を離して下さい!!」

ゆっくりと腕の拘束を解きながら、優しく額にキスを落とされた。

――――― 幸せなひと時、こんな時間がずっと続けばいいのに・・・・・。

キョーコは心の中でそんな言葉を呟いていた。

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嘘つきな関係(25)

2009/04/11 (土)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

目の前にいる人があの時の少年だったなんて・・・・・・・。

――――― そういえば、名前も聞いてなかったっけ。

確かに大きくなったら会おうと云って別れたけど・・・・・・こんな再開って・・・・・・・・。
抱きしめられた体が熱い。

「どうして教えてくれなかったんですか?」

抱きしめられたまま、キョーコは蓮に問いかける。

「それは・・・・・・・もし俺の事を思い出したら、辛い思いでも思い出すだろ?それが嫌だったから・・・・・だから、言い出せなかった。」

切なそうにそう言って、キョーコの髪をなぞる。

「そんな事・・・・・。」
「思い出して辛くない?」

伺うように、キョーコの顔を覗き込む。
その表情はどこか悲しそうで・・・・キョーコは首を横に振った。

「あの石も・・・・あの時会った少年も・・・・・私の中では大きな支えになってました。あの時、泣いてもいいって私に言ってくれたのは・・・・あの少年だけだったから・・・・。」

『だから、それが敦賀さんで良かった。』

その言葉は蓮によって遮られた。
やさしくキョーコの唇を塞ぐ蓮。
その行為に答えるように、キョーコはもう何も言わなかった。
言わなくても、こうして唇を重ねるだけで伝わってくる。

「本当にいいの?」

心配そうな瞳でそう問いかけられる。
でも、キョーコはその言葉に頷いた。

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嘘つきな関係(24)

2009/04/09 (木)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

“悲しみを吸いとってくれる石”
それは私とあの日出逢った少年しか知らない話。
その少年に出会ったのは、お父さんが亡くなった日だった。
それは突然の出来事。
キョーコが憶えている父との会話。

『明日は水族館に行こうか。キョーコにお父さんの友達を紹介してあげるから。』

そう云って会社に向かう父の笑顔。
その日、父はキョーコと同じ年頃の女の子がトラックに撥ねられそうになった所を助けようとして帰らぬ人となった。
泣きじゃくるキョーコの横に、母は居なかった。
母は涙一つ見せずに、父の葬儀の準備を黙々とこなしていた。

「キョーコ・・・・・大丈夫か?」
「ショーちゃ・・・・・・ん・・・・・・ グスン クスン ・・・・どうしてお父さん・・・・・・かえって・・・・こないの・・・・・・・。」
「・・・・・・・・、そ、それは・・・・・・・・・・・・・。」

わんわん泣くキョーコを心配して、いつもはオレ様のショータローが、その日は優しかった。
でも、どう接していいのかわからず、ただおろおろしながらキョーコを見ていた。
ショーちゃんを困らせたくない・・・・・・そう思ったキョーコは広い庭園の隅で、声を押し殺した泣いていた。

「君が、キョーコちゃん?」

突然声を掛けられた。
未だに泣きじゃくりながら、声がした方を向くと、そこに見知らぬ男の子が立っていた。
しゃがみこむキョーコにあわせ、横に座ると私の頭を撫ぜる。

「あなた・・・・・・だぁれ?」
「俺?俺はお父さんの友達だよ。」
「・・・・・・ともだち?」

父の友達といえば普通、父と同じ歳くらいの“おじさん”。
どう見てもその少年はキョーコより少し年上に見える。

「そうだよ。お父さんにキョーコちゃんの事を頼まれたんだ。」
「お父さんに?」

“お父さん”そのキーワードでまた泣き出しそうになる。

――――― 知らないお兄ちゃんにまで、迷惑がかかる・・・・・・・

涙をぐっとこらえると“フワッ”温かい何かに包まれた。

「キョーコちゃん、我慢しなくてもいいんだよ。今日は泣いても誰も怒らないから・・・・・・・。」

その少年に抱き締められ、“泣いてもいい”そう云われた瞬間、再び声をだして泣き始めた。

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嘘つきな関係(23)

2009/04/07 (火)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

スピーチを終え壇上から降りると、物凄い人に囲まれた。

――――― 面倒だ・・・・・早く彼女の所に戻りたいのに。

イラつきながらも何時ものように、何食わぬ顔で紳士的に対応しながらも彼女を探す・・・・・が見当たらない。

――――― どこにいったんだろう?

相変わらず娘を紹介されたり、良くわからないが有名な女優に話しかけられたり。
まぁ、そうこうしてるうちに見つかるだろうと思っていた期待を、大きく打ち破ってマリアが駆け込んできた。

「蓮様!!お姉様を助けてあげて。」

普段冷静なマリアが、息を切らせて駆け寄ってきただけで何かがあったのであろう事は明白。
しかも、彼女を助けてなんて・・・・・・・。
マリアと共に戻るとプールサイドで人だかりが出来ている。
分け入った先に待っていたのは、驚きの光景だった。

――――― あれは、確か高円寺財閥のお嬢さん・・・・・・?

事の経緯はある程度聞いていただけに、首謀者は彼女だと察する。
その取り巻き経ちはビクビクしながらプールを見ている。
そう、“彼女”がプールの中にいたのだ。
何かを探すように何度も潜っている。

――――― とにかく止めさせなくては、この水温では体を壊してしまう。

次に浮上した時に彼女に声を掛けようとしてその声が止まる。
何かを見つけたキョーコは、ホッとした表情を浮かべた瞬間、水中へ消えていった。

「キョーコ!!」

上着を脱ぎ捨てプールに飛び込む。
水中ではキョーコが息苦しそうに、足をおさえながらもがいていた。
もう少しの距離、キョーコは空気を失ったのかもがく事を止めた。
もう一度息継ぎをし、キョーコに口付け空気を送り込むと意識を取り戻し慌てふためいている。
プールサイドに上がると、騒ぎを聞きつけたホテルマンがタオルを渡してくれた。

「お姉様、蓮様!!」

マリアが真っ青顔で駆け寄ってくる。

「ゴホゴホ・・・・・マリアちゃんごめんね。」
「お姉様、無事でよかった。」

安堵の色を浮かべ涙ぐむ。

「何があった?」

蓮の問いかけに、ビクリと体を震わせながら腕の中で言葉を捜している。
キョーコより早く答えたのは、高円寺絵梨花だった。

「私達は止めましたのよ。なのに彼女ったら、私達に泳ぎが得意だから見せるとかいって、急にプールに飛び込むんですもの!!」
「う、うそですわ!!貴方がお姉様の指輪を・・・・・・・・・。」
「敦賀さんは子供に言うことを信じますの?」

取り巻き達は、蓮にバレタのではないかとビクビクしている。
一方絵梨花は何食わぬ顔で惚けてみせる。
蓮は腕の中でキョーコが震えているのに気付いた。
顔も血の気が無く、唇も真っ青だ。

――――― これ以上話しても無駄だろう。

抱きかかえたまま、蓮は立ち上がった。

「とにかく、話は後だ。すみませんが部屋を用意してもらえませんか?」
「敦賀さん、私なら大丈夫ですから・・・・・・降ろしてください・・・・・・・・。」
「ダメだ。君は溺れかけたんだから。足も攣ってるんだろ?あんまり心配させないで。」

有無を言わさずキョーコを抱えたまま部屋に案内してもらいバスルームまで運ぶ。
湯船には先ほど頼んでおいたので、お湯が張ってある。
彼女をゆっくりと床の上に降ろした。

「とにかく、湯船に浸かって身体を温めるのが先だ。話はその後で聞くから。着替えは、今手配させてるから。」
「で、でも・・・・・敦賀さんだってびしょ濡れじゃないですか!!敦賀さんが先に使ってください。」
「俺は後で使うから先入って。」
「でも!!」
「わかった。じゃぁ一緒に入ろうか?」

ここで押し問答していたら2人とも風邪を引いてしまう。
恐ろしいくらいにっこり笑ってキョーコにそう告げると、真っ青な顔が少し赤くなった。

「わ、分かりました。一人で入らせていただきます・・・・・・・。」
クスッ、ここはスィートだからバスルームがもう一つある。俺はそっちを使うから。ゆっくり温まりなさい。」

そう告げるとバスルームの扉を締めた。

「まぁ、俺は一緒に入っても良かったんだけどね・・・・・・・・。」

そんな独り言を云いながら、もう一つのバスルームへと向かった。

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嘘つきな関係(22)

2009/04/05 (日)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

マリアを庇うようにしながら、キョーコはお嬢様達と対峙しる。

「話ってなんですか?」

彼女達はクスクスと笑いながらキョーコとマリアを取り囲んでいる。
その中でもリーダー格のお嬢様に問いかけた。

「私は、高円寺絵梨花。高円寺財閥の一人娘よ。」

自己紹介されても、そういった方面に疎いキョーコには分からない。

「は、はぁ。で、そのお嬢様が私になにか?」
「回りくどい言い方は好きじゃないからはっきり云うわ。あなた、敦賀さんと別れてくださらない?」
「そうよ、そうよ、別れなさいよ!!」

絵梨花と共に囲っている残りの4人もと口々にキョーコを罵倒する言葉を浴びせてくる。

「あなた、本当に敦賀さんと釣り合っていると思っているの?」
「そんなこと・・・・・・・。」

絵梨花の言葉に胸が締め付けられる。
確かにあの場所にいること自体、場違いで本来なら隣に並ぶ事も許されない人。
声も掛けることの出来ない、姿を見ることしか出来ない事こそ、本来あるべき関係。

「どこのお嬢様か知らないけど、貴方の様な方が敦賀さんの隣に立って恥ずかしくないのかしら。」
「そうよね。いきなり現れて、なにが婚約者よ。」
「私達はみんな、敦賀さんと結婚するために今まで躾けられてきたのよ。それを泥棒猫みたいに・・・。」
「なんてことない普通の子じゃない。敦賀さんもこんな人のどこがいいのかしら。」

その言葉で彼女達が敦賀さんが、今までしてきたお見合い相手なんだろう事がわかる。
私の事を小馬鹿にしたように薄ら笑いながら口々に悪口を云う。

「貴方達、いい加減になさったら!!蓮さまが選ばれた方なんだから、貴方達が文句を云う資格なんてありませんわよ!!」

声の主はマリアちゃんだった。
さすが恋敵を一掃してきたことがあるだけに、堂々としたものだ。

「なんですの、あなた。」
「もしかして、妹さんかしら?」
「よくもまぁ、姉妹そろってこんな所までノコノコこれたものね。」

彼女たちはマリアの事を知らないのか、口々に暴言を吐く。

「あなた、邪魔ですわ。」
「きゃぁ!!」
「マリアちゃん!!」

絵梨花の言葉と共に、マリアが周りにいたお嬢様達によって拘束されてしまった。

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嘘つきな関係(21)

2009/04/03 (金)  カテゴリー/嘘つきな関係 全53話完結

蓮のスピーチをよそに、マリアとデザートをいただく事に。
みんな蓮のスピーチに夢中で・・・・・・いや、スピーチではなく蓮に見惚れている。

――――― どうせ私が聞いても分からない話しだし。

暢気そんな事を思いながら、キョーコはケーキを口へと運ぶ。

「これおいしい!!マリアちゃんのタルトはどう?」
「このフルーツタルトもおいしいですわ。お姉様一口いかが?」

マリアちゃんとお互いのケーキを食べあいっこする。
さすが高級ホテルのスイーツ。
そんじょそこいらのケーキとは違う。

――――― あーこんな美味しいケーキ、モー子さんや大将やおかみさんのも食べさせてあげたいな。

そんな事を思っていると、どうやら蓮のスピーチが終わったらしい。
壇上を降りてくる蓮に一斉に女性達が群がる。
彼女達は口々に賞賛の声を上げ、少しでも蓮に近付こうと必死だ。
自分の娘を売り込もうと親達も必死。
一緒に写真を撮ったり、テレビで観た事のある有名人などもその輪の中にいる・・・・・。

――――― こうして改めて見ると、本当に私とは次元の違う世界の人なのね。それに、全然婚約者らしい事もしてないし。

さっきまでケーキで浮かれていた自分が情けなくなる。
普通のお嬢様なら、ホテルのケーキ一つで喜び、大口を開けて食べるなんて事はしないだろう。

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The day of the opportunity ~sideR

2009/04/01 (水)  カテゴリー/Seasons

敦賀蓮初のスクープ!!
そんな話題がLMEの事務所を駆け巡った。
ことの発端は、今まで見た事の無いある一冊の雑誌。
それが無造作に休憩室に置かれていたことに単を発する。
それを見たLMEの社員達がこれは一大事と社長に進言を求めに言ったのだが・・・・・・

「これは事務所内だけのイベントみたいなものだから他言無用だ。いいな!!」

そう告げられLMEにだけこの噂が蔓延している。

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The day of the opportunity ~sideK

2009/04/01 (水)  カテゴリー/Seasons

敦賀蓮初のスクープ!!
そんな話題がLMEの事務所を駆け巡った。
ことの発端は、今まで見た事の無いある一冊の雑誌。
それが無造作に休憩室に置かれていたことに単を発する。
それを見たLMEの社員達がこれは一大事と社長に進言を求めに言ったのだが・・・・・・

「これは事務所内だけのイベントみたいなものだから他言無用だ。いいな!!」

そう告げられLMEにだけこの噂が蔓延している。

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