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Another ★World 1

2009/12/24 (木)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

「ようこそお越しやす。」

女将の挨拶に続き、仲居一同も挨拶をする。
ここは、京都の老舗旅館『松乃園』
女将の横に立つのは、高校を卒業して女将修行をしているキョーコだった。

「キョーコちゃん、次のお客様見えるまで休憩しとき。」
「はい。それじゃちょっと行ってきます。」

女将の言葉にキョーコは一休みしようと、母屋の方歩いていく。
高校を卒業して不破家に入り半年以上過ぎようとしていたが、これがキョーコの毎日だった。

「ショーちゃん、帰ってたの。」

嬉しそうに駆け寄ったキョーコに、ここの跡取り息子ショータローは怪訝な顔をする。
服を着替え、また何処かに出かけようとしていたようだ。

「また、出かけるの?」
「・・・・・・・オレがここにいたって、やることないだろ?なんてったって旅館の主役は女将なんだからな!?」

そう言い捨て、ショータローは出かけようとする。

「ショーちゃん!?プリン作ってあるんだけど!?」

キョーコの言葉に歩みが止まる。

「こんなカッコいいオレが、外でプリンなんて食えねえからな。」

キョーコは引きとめに成功し、久しぶりにショータローを独り占めできる。
ショータローはミュージシャンになるのが夢だったが、両親の激しい反対に合い、渋々跡を継ぐ事になったのだ。
経営学を学ぶ為、大学に進学していた。
キョーコも大学に行きたかったが、高校を卒業すると同時にショータローと婚約した為、いずれ女将になるのだからとショータローの母親に言われ大学進学を諦めたのだった。

「ショーちゃん、大学はどう?楽しい?」
「勉強は大変だけど、仲間がいるからそれなりにやってるよ。」
「あのね、女将さんが今度のお休みにショーちゃんとどこかに出かけてくればって・・・・・・。」

遠慮がちにショータローに話しかけるキョーコの言葉を最後まで聞かず、プリンを食べ終わったショータローは、そそくさと立ち上がる。

「シ、ショーちゃん!?」
「おまえなぁ、オレは忙しいんだよ。勉強しなきゃいけないし、外の付き合いは接客業には必要だろ?だから・・・・わかるよな?」
「そ、そうだよね・・・・・ごめんね。」

その会話はいつもの事だ。
ショータローがキョーコを誘った事はおろか、一緒に出かけた事などほとんどなかった。
誤るキョーコを残しショータローは夜の街に出かけていった。

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Another ★World 2

2009/12/26 (土)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

「今日来るのよね!?」
「そうよ!?私サイン貰うんだ。」

色紙を見せながら、中居達は今日来るお客の事で話題騒然。

「誰が、お世話係になるのかな?」
「えぇ!?私やりたい。」
「私だってやりたい!?」
「あんたたち、静かに!?もうすぐお客様がお見えの時間やで。」

女将に叱咤され、中居達が黙り込む。
そんななか、一台のバスが旅館の玄関に止った。
バスから降りてくるお客さまを女将が出迎える。

「遠い所をようこそ起こしやす。」
「今日から一ヶ月よろしくお願いします。」

監督らしき男性が女将に挨拶する。
そんな中、ひときわ大きな歓声が上がる。
中居達も色めきたったいる。
バスから降りてきたのは、人気、実力共にナンバーワンの俳優だった。

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Another ★World 3

2009/12/28 (月)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

「キョーコちゃん、どうだった!?」

仲居達が休憩している部屋を通り過ぎようとした時、中から声が掛かった。

「どうって・・・・・別に普通でしたよ?」
「そんな事が聞きたいんじゃなくって・・・・・・やっぱり本物はカッコいいわよね。」
「そうよねぇ。羨ましいなぁ~。私も敦賀さんの接客係りやりたかった!?」
「私もぉ~・・・・・。ねぇ、サインとかもらえるかな!?」
「あぁ!?私も欲しい!?キョーコちゃん、お願い、貰ってきてよ。」

仲居達から、好き放題言われてキョーコは困惑してしまう。

「そんなに有名な方なんですか?」

その言葉に一同からブーイングが飛んだ。

「キョーコちゃん、知らないの?」
「どんなドラマに出ても高視聴率!?抱かれたい男連続ナンバーで殿堂入りしたくらいなんだから。」

蓮を賞賛する声を聞いてもピンとこない。
そんなキョーコに仲居達は蓮のドラマの話から雑誌の切り抜きまで、色々見せてくれた。

「あんたら、またこんな所で油売ってからに・・・・キョーコちゃんまで!?」
「す、すみません。」

女将に見つかり、皆クモの子を散らすように持ち場に戻っていった。

「あの・・・・女将さん。」
「なんや?」
「どうして、私があの俳優さんの接客係なんですか?」

キョーコの疑問に女将は笑いながら答えてくれた。

「キョーコちゃんやったら、他の子みたいに騒がへんし、あのお客様は有名やさかいに。若女将としての予行練習やおもて、しっかりおきばりやす。」
「はい。」

女将さんの言葉にキョーコは複雑な気持ちで頷いた。

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Another ★World 4

2010/01/04 (月)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

「ねぇ、聞いた?」
「聞いた、聞いた。坊ちゃんの事でしょ?」

朝から、仲居達が噂をしている。
仲居のひとりがショータローがキョーコではない女性と腕を組んで歩いていたというのだ。

「婚約してからよね。坊ちゃんが派手に遊ぶようになったの。」
「そうそう。大学入ってからよね。」
「キョーコちゃん、かわいそう・・・・・・。」

誰もが同情しながらも、興味本位で話している。
周りが見ても、ショータローの行動は目に余ったものがある。

「嫌なら、断ればよかったのに。」
「そうよね。まだ、遊びたいんなら婚約し無くったって良かったんじゃないの?」

口々に仲居達は、勝手な話を口にする。

「でも、女将さんがキョーコちゃんの事気に入ってるんだから仕方ないわよ。」
「それ、言えてる。昔から女将にする為に、今まで色々教えてきてるんでしょ?」
「キョーコちゃんは坊ちゃんの事、好きみたいだけど・・・・・坊ちゃんはどうなんだろ?」

仲居達は、キョーコが話しを聞いている事にまだ気が付いていなかった。
客室のタオルの在庫を探しに来て、仲居達の話し声に入り口から動く事が出来なかったのだ。

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Another ★World 5

2010/01/09 (土)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

「蓮、どうかしたのか?」

旅館に戻ってきていた蓮達はそれぞれ部屋に戻る所だった。
急に立ち止まった蓮に社が声をかける。

「えっ・・・・ああ・・・・今ちょっと、急に思い出したことがあったもので・・・・・・・・。」
「へぇ・・・・・。何?」

興味ありげに社が聞き返す。
が、蓮はその返事を笑顔で濁した。

「それじゃな、蓮。明日の朝食は7時だから。」
「はい。それじゃおやすみなさい。」

扉を閉めたものの、蓮は先ほど思い出した事をどうしても確かめたくて仕方なかった。
時刻は11時を過ぎた頃。
この時間なら、誰にも合わないだろう。
蓮は、部屋にあった懐中電灯を手に、こっそりと部屋を抜け出した。

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Another ★World 6

2010/01/13 (水)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

「ショータロー!?あんたは、いっつもいっつも・・・・・・どこをほっつき歩いとんのや!?」

夜遅く家に帰ったショータローは、女将に見つかり怒鳴られていた。

「っんだよ!?うっせえなぁ。ちゃんと勉強してるんだからいいだろ?」

悪びれもなく、ショータローは女将にそう言いながら、キョーコが用意した夕食に手を伸ばす。
キョーコはいつも、いつ帰ってくるか分からないショータローの為に仕事の合間をぬって、夕食を用意していた。

「行儀の悪い!?たまには旅館の手伝いしたらどうなん。キョーコちゃん、見てみ。」
「アイツは女将修行とやらを好きでやってるんだろ。それでいいじゃないか。そんな事よりキョーコは?」

この時間なら、家にいるはずのキョーコの姿が見えない。
たまにはかまってやろうと思ったのに。
キョーコに限って遊びに出歩くような事は絶対に無いだろうが、やはり姿が見えないと気にはなる。

「あんたなぁ、仮にも婚約者やろ。なんなん、その言いぐさ・・・・・・。キョーコちゃんは今、敦賀さんの接客中や。ロケで夕食の時間もバラバラやさかい。」
「敦賀って、俳優のか?そういや仲居達が騒いでたな。他にも芸能人が泊まってるって。でも、キョーコにそんな大役務まるのか?」

小馬鹿にしたように、そう言いながらご飯をおかわりする。

「キョーコちゃんはちゃんと役目を果たしてます。果たしてないのはあんたやろ?キョーコちゃんほったらかして・・・・・・・。たまにはどっかに連れてったったらええのに。」

ブツブツ小言を言いながら、ご飯をよそおい、ショータローに渡す。

「いいんだよ。アイツはこのオレ様と結婚できる事が最大の幸せなんだから。」
「あんた、心配せえへんのか?あの日本一男前の俳優さんと今、一緒におるねんで?」

女将の言葉に、ショータローは一瞬面食らった後大笑いし始めた。

「おふくろ・・・・・なに馬鹿なこと言ってんだよ。あのキョーコだぞ?あんな地味で色気が無い女、俳優が相手にするわけ無いだろ。」

勝ち誇って様にショータローはそう言って腹を抱えて笑っている。
それと対照的に、女将は頭を抱えてため息を付いた。

「そんな事言うて、そのうち愛想つかされてもしらんよ。」

女将は自分の息子ながら、好き勝手をしている目の前の男に呆れていた。
キョーコに好かれている事を言い事に、夜遊びを繰り返す。
最近では、ぎおんで遊んでいると耳に入っていた。
キョーコの気持ちを考えれば、かわいそうで仕方ない。

「キョーコがオレに愛想を尽かす訳ねえだろ?なんてったってオレの事が大好きなんだから。」

自信満々の息子の台詞に呆れる女将。
これ以上息子と話してても腹立たしいと思い女将は部屋を出て行った。

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Another ★World 7

2010/01/17 (日)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

「敦賀さん、昼食をお持ちしました。」

ノックの返事と共に、蓮が扉を開けてくれた。

「ありがとうございます。私まで一緒に昼食をさせてもらってすみません。」
「ひとりで食べても味気ないしね、気にしないで。」

キョーコは自分の食事も蓮の部屋へ運び入れる。
ダメ元で聞いたてみたら、快くオッケーしてくれたのだ。
静かな午後のひととき。
たわいない会話をしながら食事をする。

「なんだか気を使わせたみたいで悪かったね。」
「いえ、いいんですよ。実は社さんから頼まれてたんで。」

キョーコの何気無い言葉に、蓮は先程とは違う笑顔でキョーコに微笑む。
本当は、探していた少女がキョーコとわかった時、うれしかった。
その少女に、一緒にお昼を食べようと言われて喜んでいたのに・・・・・。
社に頼まれたと暴露され、キョーコの意思ではなく仕事上の事だった事に蓮は面白くない。
―――――でも、そういう子だったっけ?
何事にも一生懸命で責任感か強い。
今回も社に頼まれて仕事の一環としてやっているのだろう。
面白くないがそれもまた仕方の無い事。

「ところで、最上さんは休みの日とか何してるの?」
「休みの日ですか?」

唐突に聞かれて、キョーコはうろたえる。
休みの日に出かけた事などほとんど無い。
ショータローと婚約してからもそれは変わる事は無かった。

「これといって何も。敦賀さんはお忙しいし、有名人だから目立っちゃいますよね。」
「そうなんだ・・・・・。変装しても、体の大きさは変えられないからね・・・・・。」

そう言って苦笑する蓮を見てキョーコはなんだかおかしくて笑った。
こんなに声に出して笑ったのは久しぶりかもしれない。

「そうだ!?最上さんに頼みたい事があるんだけど。」
「頼みたい事?何ですか?」
「うん。前々から一度やってみたかった事があるんだ。」

蓮の頼みにキョーコはあわてて首を振る。
そんな頼み、聞けるわけが無い。
芸能人と街を歩くなんて・・・・・・。

「やっぱり無理?そうだよね、婚約者がいるのにほかの男となんて・・・・無理だよね。ごめん、聞かなかった事にして。」

その言葉にキョーコの中にある思いが浮かぶ。
蓮には悪いが、いいキッカケかもしれない。

「やっぱり・・・・・行きましょうか?せっかくですし・・・・・・・。」
「ほんとに?だったら女将さんと婚約者に了解もらったほうがいいかな?」
「それなら大丈夫です。」

キョーコは昨晩、社に頼まれた事を女将さんに相談していたのだった。

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Another ★World 8

2010/01/21 (木)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

着いた所は山の中の寺。
蓮の頼み・・・・・座禅をしてみたかったらしい。

「こんにちは。予約した最上です。」
「ようこそ、こんな山の奥まで。お二人でしたね。どうぞお上がりください。」

お寺の人に案内され庭園の見える場所に通された。
座禅の説明を聞き、実際に座り方や、呼吸の仕方手の合わせ方などを教えてもらう。
キョーコも座禅体験は初めて。
蓮と一緒に、真剣に話を聞き入る。
15分はど説明された後、いよいよ座禅にった。

「肩の力を抜いて、背筋を伸ばして・・・・・・。鼻からゆっくり吐いて・・・・・吸って・・・・・・。」

言われるまま、心を無にし精神統一をする。
静かな室内。

「何も考えずに、ただ座っているだけでいいんですよ。難しく考えないで。」

人間、何も考えない方が少ないだろう。
キョーコは何も考えないでおこうと思いながらも、ショータローの事が気になって仕方なかった。
一緒にいた女(ひと)は誰なのか。
どうして蓮と出かける事を止めてくれなかったのか。
婚約してこのまま不破家に入って、果たして自分は幸せになれるのか。
ショータローは自分の事を本当はどう思っているのか。
いままで、それが当たり前だと思っていた事が、次から次へと溢れてくる。
その時、お坊さんがキョーコの後ろに立ち、警策(きょうさく)で、肩を叩いた。

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Another ★World 9

2010/01/28 (木)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

「暗いから大丈夫だとは思いますけど・・・・・・。」

蓮が行ってみたいといったのは川べりの土手。
カップルが等間隔で座ることで、それなりに有名な場所。
薄明かりと、間隔があるのと自分達の事に夢中なカップル達は蓮とは誰も気づいていない。

「どうして、ここなんですか?」
「なんとなく・・・・・・。有名みたいだったから。」

4月にはさくら祭りも開催される土手で、キョーコは蓮と並んで土手に座っていた。
有名といっても、観光とかではないと思われるが・・・・・。

「それに、こんな事でもない限りこれないしね。」
「敦賀さんって・・・・・・彼女とかいないんですか?」

言った後にキョーコはハッとなる。
―――――芸能人にそんな事聞くなんて・・・・・・。

「すみません。そんなつもりじゃなかったんですけど。」

まだ何も言っていないキョーコに、蓮は不思議顔で尋ねる。

「そんなつもりって、どんなつもり?」
「えっ、いえ、だからその・・・・・興味本位とかじゃなくって、彼女と来ればいいのにって思っただけで・・・・ってやっぱり有名人だと無理ですよね。」

自分でも、バカな事を聞いたと思い、慌てて自分で言った言葉に自分で突っ込む。
そんなキョーコの慌てっぷりがおかしいのか、蓮は肩を揺らして笑った。

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Another ★World 10

2010/02/01 (月)  カテゴリー/Another★World 全48話完結

連れて行かれたのは個室で料理が頂けるおしゃれなイタリアンのお店だった。
キョーコは密かに、一体いつ予約したのかと小首を傾げる。

「どうかした?」
「いえ・・・・・・先斗町にこんな素敵なお店があるなんて知りませんでした。」

雑誌にも載っていなさそうな隠れ家的なお店。
路地の奥まった所にある為、地元の人間でも知っているかどうか。

「ここは、役者仲間から聞いたんだ。食事もおいしいし、雰囲気もいいからのんびり出来るって聞いてね。」

確かに、食事もおいしいし接客も申し分ない。
仕事柄、接客が気になったしまうキョーコにも感心する所があった。

「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです。」
「俺も楽しかったよ。何もかも初めてづくしで。」

お互いに久しぶりにのんびり出来たと今日の出来事を振り返っては笑いあった。
ショータローの事も、旅館の事も忘れ久しぶりに自分の時間を満喫できた。

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